「頑張っているのに利益が残らない」「売上はあるのにお金が足りない」――そんな悩みを抱える美容室経営者は少なくありません。その原因の多くは、「数字が見えていないこと」にあります。
本記事では、美容室の経営に欠かせない5つの数字をわかりやすく解説し、売上・利益・スタッフ育成の課題を可視化する方法を紹介します。数字が苦手でも、明日から使える実践的なヒントが満載です。
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なぜ「美容室経営の数字」がカギになる?
例えば、ある美容室が毎月50万円の売上を上げているとします。しかしその内訳がわからなければ、どの部分を伸ばせばいいのかも分かりません。経営改善に必要なのは、「顧客数」、「客単価」、「来店頻度」の3要素に分解して考える力です。
仮に、顧客数を10人増やして、単価を1,000円上げて、来店頻度を0.25回上げたとすれば、売上は一気に80万円を突破します。こちらは、理論値ではなく、戦略的なアプローチによって実現可能な現実です。
顧客を増やすための施策
①接客力の強化
カウンセリングやヒアリングを強化して、お客様との信頼関係を構築することで、来店頻度の増加に繋がります。
②SNSやニュースレターで、継続的に接点を持つ
リピート率の向上には、継続的なアプローチが不可欠です。LINEの公式アカウントや、Instagram活用が効果的です。
③単価向上の仕掛け
オプションメニューの提案や、グレードアップメニュー導入により、自然な客単価アップを図ることができます。
美容室の経営で押さえるべき「5つの数字」とは?
美容室の経営で成功するには、技術や接客だけでは不十分です。大切なのは、「数字」に基づいた経営判断です。感覚だけで経営を続けていると、売上や利益の改善ポイントが見えなくなります。
ここでは、美容室の経営者が最低限押さえておくべき「5つの数字」を分かりやすく解説します。どれも難しい計算は必要ありません。これらを把握するだけで、サロンの改善点が見えてきます。
1. 売上金額
売上は経営の基本中の基本です。日別、月別、年別で記録しましょう。売上を見る際は、ただの金額だけでなく、「どのメニューからどれだけの売上が出ているか」、「新規とリピーターどちらが多いか」なども分析することで、改善のヒントが得られます。
また、売上だけに注目するのではなく、「利益が残っているかどうか」まで、確認することが重要です。売上が多くても、経費で消えてしまえば意味がありません。
2. 顧客数(新規・既存)
来店してくれたお客様の数を把握して、新規と既存に分けて管理します。例えば、「今月は50名来店、そのうち新規が10名、既存が40名」といった具合に、割合をチェックしましょう。
新規が少なければ、集客方法の見直しを、既存の割合が下がっていれば、リピート対策が必要です。顧客数の推移を見ることで、集客・定着のバランスが整っているかがわかります。
3. 客単価
客単価は、「売上 ÷ 顧客数」で算出できます。例えば、1か月の売上が100万円で、顧客数が100名なら、客単価は1万円です。こちらの数字が上がれば、同じ人数でも売上が増えることになります。
また、客単価を上げるには、メニューの提案力や物販力が重要です。トリートメントやヘッドスパなどの追加メニュー、シャンプーの販売などが代表的な施策です。自然に単価を上げる工夫が、経営の安定に繋がります。
4. リピート率
リピート率は「どれだけのお客様が再来店してくれているか」を示す重要な指標です。新規客がリピーターになれば、集客コストを抑えて安定した売上が作れます。
具体的には、「新規客が30人、そのうち翌月に10人来店すれば、リピート率は約33%」と計算できます。リピート率が低い場合は、接客やアフターフォロー、LINEなどでの再来店促進を強化してみましょう。
5. 顧客別の売上
どのお客様が、いくらの売上を作ってくれているのかを把握すると、経営はより安定します。上位顧客を把握することで、特別なサービスやフォローが可能になりますし、離反を防ぐ対策も打てます。
また、スタッフが複数いる場合は、スタッフ別に顧客ごとの売上を見てみると、それぞれの得意分野や、改善点も見えてきます。顧客管理システムやPOSレジを活用すれば、簡単にデータを抽出できます。
5つの数字で経営は変わります。美容室の経営で最初に管理すべき数字は、以下の5つです。
- 売上金額
- 顧客数(新規・既存)
- 客単価
- リピート率
- 顧客別売上
これらを毎月記録・確認するだけで、経営の課題が可視化されて、打つべき施策が明確になります。数字を見る習慣を身につけることが、売上と利益を安定させる第一歩です。
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数字を知れば美容室の経営は変わる
売上=経費になっていないかを確認しましょう
「毎月忙しく動いているのに、利益が残らない」と感じたことはありませんか? その場合、売上が経費にすべて吸収されてしまっている可能性があります。
損益分岐点の把握は必須
経営において、「損益分岐点」は極めて重要な指標です。
美容室の損益分岐点とは、売上が固定費と変動費の合計と等しくなり、利益も損失も発生しないラインのことを指します。
こちらのポイントを下回ると赤字、上回れば黒字になるので、経営において非常に重要な指標です。家賃や人件費などの固定費、薬剤費などの変動費を正確に把握して、自店舗の損益分岐点を知ることで、目指すべき売上目標や価格設定、集客戦略の根拠を持つことができます。
収支改善や成長戦略を考えるうえで、必ず押さえておくべき数字です。
例えば、売上が100万円、経費が同じく100万円(固定費40万円、変動費60万円)であれば、利益はゼロになり、そちらが損益分岐点になります。
こちらの分岐点を下回ると赤字、上回ると利益というシンプルな構造です。まずはこちらのラインを把握して、利益が出せていない現実から、目をそらさずに向き合いましょう。
美容室経営の数字の重要性を理解して、最低限の5つの数字を管理することが、美容室を安定的に継続・発展させる鍵になります。数字に苦手意識があっても、まずはノートやシンプルな表で、管理から始めてみましょう。
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美容室の経営の数字|実践的な見直しポイント
ここからは、実際の数字を見直すためのポイントと、数字に現れにくい「お客様の感情」や「サービスの質」などを、どうやって数値化するかについて解説します。
①「利益が出ない」の正体を数字で可視化する
美容室経営において、「頑張っているのに利益が出ない」という悩みは非常に多いです。その原因の多くは「数字を把握していない」、「数字に基づく経営判断をしていない」ことにあります。ここからは、実際に見直すべき数字と、その活用方法について掘り下げていきます。
②理想のサロン像を数値化する
まず、「自分がいくら利益を得たいのか」、「スタッフにどれだけの給与を出したいか」を明確にして、それを叶えるための売上目標を設定します。
経費には、必ずオーナー自身の人件費を含めることが大切です。美容室の経営の数字管理において、自分の給料が抜け落ちたままでは、経営が成り立ちません。
③具体的な数値を設定する
例:月の目標値
- 利益目標:50万円
- 必要売上:130万円(固定費40万+変動費40万+利益50万)
- 必要客数:130人
- 客単価:10,000円
- 施術回数:週5日×1日7人×4週=140人→達成可能
こちらの様に、美容室経営の数字を具体的に分解して把握することで、実現可能な目標が設定できます。
④売上の構造を分解して分析する
「売上=客数×客単価×来店回数」という基本式をベースに、さらに詳細な内訳を分析しましょう。美容室経営の数字の本質は、表面的な売上額ではなく、「どこから売上が生まれているか」にあります。
◼︎具体的に見るべき項目
- 新規売上/既存売上/固定客売上
- メニュー別売上(カット、カラー、パーマ等)
- 媒体別集客数と売上(Google、ホットペッパー等)
- 物販売上とその割合
- スタッフ別の売上貢献度
◼︎ランキング管理で強みを把握する
例えば、物販で上位のアイテム、リピート率の高いメニュー、売上貢献度が高いスタッフなどを明確にすることで、「何に力を入れるべきか」、「何を改善すべきか」が見えてきます。
⑤リピート率と客単価の最適化
リピート率や客単価は、媒体別、スタッフ別、月別、顧客属性別などに分解して、分析することが可能です。特定の媒体からの来店者のリピート率が高い場合、その媒体への広告投資を増やす判断ができます。
重要視すべき視点
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「忙しいのに利益が出ない」場合の原因
稼働率が高いのに、利益が少ない場合は、「単価が低い」、「施術に時間がかかりすぎている(時間単価が低い)」といった原因が考えられます。こちらの様な場合は、単価の見直しと、来店サイクルの調整を並行して行いましょう。
①経費構造の再確認
経費は「固定費」と「変動費」に分けて管理しましょう。
美容室の経営では、家賃や水道光熱費などの「固定費」と、薬剤費や販促費などの「変動費」があります。固定費は削減が難しいので、主に変動費の見直しが効果的です。
変動費の見直し例
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②価値を落とさないコスト削減を意識する
経費を削減することは大切ですが、サービスや技術の品質を落としてしまっては本末転倒です。お客様にとっての「価値」を保ちながら、不要な支出だけを見直しましょう。
③可視化しにくい価値の「数値化」
お客様の満足度や接客の質、店舗の雰囲気など、数字に表れにくい要素も、工夫次第で数値化が可能です。数値化によって、主観的な経営判断から脱却できます。
感情を数値化する方法
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④数字と感情のバランスが経営成功の鍵
数字だけに頼らず、現場感覚とのバランスを取りながら、経営判断を行うことが、長期的な美容室経営の成功につながります。数字が示すのは現実、感情が示すのは未来の可能性です。
まとめ
美容室経営の数字を理解して利益を生み出す美容室を目指しましょう。美容室の経営において、数字は「現実」を映し出す鏡です。避けるのではなく、しっかりと向き合うことで、問題点を発見し、改善策を講じることができます。
最低限でも以下の5つの数字を把握して、定期的に見直すことで、あなたの美容室は確実に良くなります。
- 売上金額(1日・1か月・1年)
- 顧客数(新規・既存)
- 客単価
- リピート率
- 顧客別売上
さらに、損益分岐点の把握、経費の適切な管理、感情的な要素の数値化にまで取り組めば、美容室経営は確実に安定します。今一度自店の経営状態をチェックして、未来の成長戦略に繋げていきましょう。
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