美容師として長くキャリアを重ねる中で、次のステップをどうすべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
今回インタビューしたのは、長年美容師として第一線で活躍するオートクチュールヘアサロン「ITAYA」代表・板谷裕實さん。40年以上サロン経営をしながら著名人のヘアメイクやセミナー講師などの活動を経て、今年1月にme by,,銀座店で新たなスタートを切りました。
本記事では、美容師としての信念やキャリアの転機、そしてセカンドステージとしてme by,,を選んだ理由など、ベテラン美容師にとって参考になるキャリアのヒントを詳しく伺います。
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振り返ると楽しいことばかりだった。長年第一線で活躍する美容師人生
―長年第一線で活躍されている板谷さんですが、美容師を志したきっかけを教えてください。
板谷:もともと何かを創ることが好きで、若い頃は写真を撮ったり、絵を描いたり、デザイン画を描いたり、いろいろな表現をしていました。特にポートレートの撮影が好きで、写真家のアヴェドンやサム・ハスキンスの作品をよく見ていました。
そして、どうすれば女性を美しく撮れるかを考えていたら、ヘアとメイクが重要だと思い至り、美容師になることを決めました。
―「美しいものを作りたい」という想いが強かったのでしょうか。
板谷:自分が作りたいものを作るというより、その人がいかにして一番美しく見えるかを大切にしています。
美しさの定義は人それぞれ違いますよね。誰かが見て「美しい」と思うものと、自分が感じる「美しさ」は必ずしも同じではありません。だから、自分にとって心地いいものが美しいものかもしれませんね。
それで、写真やファッションを見ているうちに、「もう少しこうしたらきれいに見えるかな」と考えるようになりました。そこから美容という分野に自然と興味が移っていきました。
今の美容は形から入ることが多いと思いますが、僕の場合は逆で「似合うかどうか」から入ります。たとえば「前髪を少し下げたほうが似合うかな」などの感覚的地点から始まり、テクニックはその次になります。
―美容師としてのキャリアの中で、転機になった出来事はありますか?
板谷:31〜32歳の頃ですね。当時すでにサロンを経営していましたが、ミーハーな性格なので、芸能関係のヘアメイクにも挑戦してみたいと思っていました。
そんなときにご縁があり、ファッション誌の広告ページのヘアメイクを担当する機会をいただきました。その仕事が評価されて、雑誌で特集を組んでもらうことになり、そこから自分の作品が注目されるようになりました。
出版の話や講習の依頼も増え、活動の幅が一気に広がっていきましたね。
―長いキャリアを振り返って、大変だったことや印象に残っている出来事はありますか?
板谷:大変だと感じたことはありません。楽しいことばかりでした。それくらい美容師という仕事を常に楽しんできました。
特に印象に残っているのは、赤坂から南青山にサロンを移転した際に、ある婦人誌で10ページにわたる特集を組んでもらえたことです。僕が提案したテーマのヘアスタイルを女優さんにスタイリングする企画で、とても嬉しかったです。

美容室経営とスタッフの育成で大切にしたこと
―長くサロンを経営されていますが、スタッフ育成で意識していたことはありますか?
板谷:一番はやる気じゃないでしょうか。
どれだけ意欲があるかで、教育する側のサポートの質も変わりますよね。教わる側も教える側もお互いが協力し合い、常に協調性を持って美容に向き合うことを大切にしていました。
スタッフは多いときで15〜16人ほどいました。想像がつかない人も多いかと思いますが、今のように求人媒体やSNSはなく、新聞で募集していた時代です。営業の日はもちろん、お休みの日もサロンにいて1日中電話を待って、ようやく1本かかってくるかどうかの世界です。そのような採用が難しい時代でも、働きたいと言って来てくれる人がいてありがたかったですね。
美容師人生最後のキャリアに選んだ「me by,,」での出店
―今回、最終キャリアとして「me by,,」で出店されたのは、どのような理由があったのでしょうか?
板谷:最初は六本木からスタートして、赤坂、表参道、南青山、青山一丁目と、さまざまな場所でサロンを構えてきました。ただ、僕は美容室の経営よりも、美容師の仕事そのものが好きなんです。お客様に飽きられないように、自分に刺激を与え続けるためにも、常に新しい環境を求め続けてきた結果ずっとプレイヤーで居続けることができています。
とはいえ、年齢を重ね、大勢のスタッフを抱えて続けてサロンを拡大していく時期ではなくなってきました。それでも、美容師としての仕事は続けたいという気持ちはこれまでと変わらず強く持っています。そこで、自分のペースで働ける形を探していたときに出会ったのがme by,,だったのです。
最初は自分で小規模の物件を借りて、小規模なサロンを開くつもりでいたので、me by,,のような形態のサービスを利用するとは思っていませんでした。美容室が集まる店舗のスタイルは初めてだったので、正直少し迷いもありました。シェアサロンとの違いをお客様にどう説明したらいいか、考えることもありましたね。
しかし、仕組みを詳しく知るうちに、非常に合理的で自分の理想とする働き方にぴったり合っていると感じ、me by,,での出店を決めました。
―実際にme by,,銀座店を利用されてみていかがですか?
板谷:とても快適です。
正直、これまで出店してきたエリアは六本木、赤坂、表参道、南青山、青山一丁目なので銀座という場所での出店は正直まったく選択肢にありませんでした。
しかし実際に移動してみると、駅から近くお客様にも来ていただきやすい場所でした。僕のお客様は若い頃から銀座になじみのある方が多く、「青山よりも落ち着く」とおっしゃってくださいます。逆に移動してお客様は良かったのではないでしょうか?
me by,, の部分だけでなく、ビルも新築でとてもきれいです。
審美眼の高いお客様からも「エレベーターの手すりが皮だったね。すごいところで出店したね!』と、とても好評です。「新しいことに挑戦されていて素敵ですね」と声をかけていただけることもあり、ポジティブな反応がほとんどです。
―内装にもこだわりが感じられますね。
板谷:清潔感とラグジュアリー感を意識しました。白を基調に、余計なものを見せないようにしています。照明もセット面が明るくなるように調整しました。
前のサロンからそのまま持ってきたものもありますし、飾っている絵は自分で描いたものです。何か飾りたいなと考えた時に、なかなかイメージに合うものが見つからないということは多いかと思います。ですので自分で描いた絵を飾ることにしました。愛着もありますしね。以前この絵はTシャツやウィッグのデザインにも展開し、販売もしていました。
―改めて「me by,,」のような形態のサロンをどう感じますか?
板谷:とても良い仕組みだと思います。
若い美容師が小規模で独立するにも、僕のように長年のキャリアを活かしてセカンドステージを築くにも最適な環境だと感じています。
仮にサロンを閉めることになったときも、原状回復のための負担が通常のサロンの出店よりも少なく、柔軟に対応できるのも魅力だと思います。これまでに何度かサロンを移転してきましたが、そのたびに原状回復にかなりの費用を支払ってきたので、すごく大きいポイントだと断言できます。
だからこそ、me by,,のように初期費用や退去時の負担が少なく、柔軟に動ける仕組みは本当にありがたいです。経営面でも無理がなく、これからの時代に合ったサロンのあり方だと思います。
初めてのサロン経営はもちろん、初めて出店するエリアで小さく始める方にも良いサービスでしょうね。
独立を目指す美容師へのメッセージ
―最後に、独立を考えている美容師さんにメッセージをお願いします。
板谷:やはり仕事を好きでいてもらいたいですね。美容を通じてお金を稼ぐことももちろん大事ですが、僕の場合は自然に仕事を楽しんでいるうちに収入がついてきて、長く続ける上でも重要なことだと感じました。
もちろん、人それぞれタイプは違いますので一概には言えませんが、自分の仕事への姿勢が結果としてお客様の満足や自分への報酬にもつながると思います。
僕自身も、倒れるまで生涯現役で美容師を続けたいです。

新たなステージへの挑戦を後押しする「me by,,」
長年のキャリアを通じて、「お客様に似合う美しさ」と「品のある仕事」を追求し続ける板谷さんの言葉は、長く働き続ける上でのヒントや考え方の指針になるでしょう。
「me by,,」は、サロン経営で培った経験を活かしつつ、年齢やライフステージに応じた柔軟な働き方を可能にする環境です。生涯現役で美容師として活躍したい方のセカンドステージをしっかりサポートします。
独立やキャリアの次の一歩を考える美容師にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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