忙しい日々の中で、体と心をすり減らしながら働く美容師の方も少なくありません。特に女性美容師は正社員や業務委託サロンで長時間勤務する中で、体力面や働き方に悩む方は多いでしょう。
今回お話を伺ったのは、美容師として17年のキャリアを持つ、SALOWIN恵比寿店の北村弓枝さん。恵比寿のサロンでの長年の経験を経て、2024年12月にフリーランス美容師として独立されました。
忙しさや体力的な限界を感じ、自分らしい働き方を模索してきた北村さん。SALOWINのシェアサロンを活用することで、自由で充実した働き方を実現した方法や、お客様との関わり方など、リアルな体験談を語っていただきました。
お客様も自分も大切にするためにフリーランス美容師に
―これまでのご経歴を教えてください。
北村:美容師になってから17年ほどになります。これまでに3社で経験を積み、直近では恵比寿のサロンで業務委託として10年間勤務していました。
2024年の12月にフリーランス美容師として独立し、現在で約10ヶ月が経ちます。
―フリーランス美容師に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?
北村:前のサロンは予約サイトを通じた集客が中心で、10時から20時までの間に1日12名ほど施術することもありました。マンツーマン対応ではありましたが、一人ひとりを丁寧にというよりも、いかに時間内で効率よく回すかに必死で、毎日がまるで運動会のようでした。
営業時間中に休憩はほとんど取れず、シフト希望も1ヶ月前に提出したら変更できないルール。スタッフはみんな同じように余裕がなかったので、体調不良や忌引きで休んだ人に対してもどこか冷たい空気が流れていました。
給与形態は歩合制で、指名が50%、フリーが40%。体力的にも精神的にもかなりハードでしたし、収入の限界も感じていました。
せっかく指名してくださるお客様をもっと大切にしたい想いが強くなる一方で、体力面や将来の働き方に対する不安を感じ始めたタイミングでもありました。
数をこなして経験を積みたい20代の頃ならありがたい環境かもしれませんが、顧客様が増えてきて一人ひとりのお客様を大切にしたい当時の自分にとっては、もう合わない環境なのかなと感じていました。
ちょうどその頃、SALOWINの方から恵比寿店に空きがでたので見学してみませんか?とお誘いをいただいたんです。そこで初めてフリーランス美容師という働き方やシェアサロンという場を知り、すごく魅力的に感じたので、実際に見学させてもらうことにしました。
―実際にSALOWINを見学されてみていかがでしたか?
北村:内装が自分好みで、設備もとても整っていて素敵だなと感じました。
本部スタッフの方の対応も丁寧で、不安に思っていたことや質問にもすぐに答えていただけました。最初はフリーランス美容師として本当にやっていけるのか不安もありましたが、背中を押してくださいました。
また、もし集客に苦戦してもサポート体制があると聞き、安心できたことも大きかったです。全国的に展開しているので会社としての信頼感もありましたし、思い切ってSALOWINでフリーランス美容師に挑戦してみようと決意しました。
―フリーランス美容師になって、働き方や生活に変化はありましたか?
北村:一番大きいのは、やはり時間の使い方です。今は週5勤務で10時〜20時の営業ですが、予約が入っていなければ17時や18時に帰れる日もあります。
空いた時間で東洋医学の勉強をしたり、トリートメントの研究をしたり、学びたいことがあればそのセミナーに参加したり、自分の成長のために時間を有意義に使えるようになりました。
プライベートでも月に1回は旅行に行く余裕ができ、先週も家族で軽井沢に行ってきました。かわいい盛りの姪っ子や甥っ子にも毎月会えるようになって、すごく幸せです。
周りのフリーランス美容師の方も同じように適度にリフレッシュしながら働いている方が多いので、「休まず働かなきゃ…!」と感じることはありません。自分のペースで働きながら、しっかり休みを取れる環境は本当にありがたいです。
以前は季節の変わり目に体調を崩したり、手荒れがひどくなったりすることがあったのですが、SALOWINに来てから体調を崩すこともなくなりました。先日、お客様にも「北村さん、この時期体調崩しているイメージだけど元気ですね!」なんて言われました。(笑)
「明日仕事か…」と思うこともなく、毎日前向きに楽しく働くことができています。

美容師仲間との交流やSALOWINのサポートで得られる学びの機会
―同じ店舗のフリーランス美容師さんとの交流はありますか?
北村:あります!
恵比寿店には10人ほどの美容師さんが利用しています。バックルームで仕事やプライベートの話をしたり、お互い空いたタイミングでお茶やランチに行くこともありますね。12月には店舗の美容師さんみんなで忘年会をしようという話もでています。
最初はフリーランス美容師になると、他のスタッフとの関わりがあまりないのかと思っていましたが、ちょうど良い距離感で、心地よいコミュニケーションが取れています。
入ったばかりの頃、たまたま私がレジの入金係になったのですが、生粋の機械音痴でやり方がわからなくなってしまって、緊張しながらも他の美容師さんに助けを求めたら、「全然大丈夫ですよ」と仕事中に手を止めてまで丁寧に教えてくださいました。みなさん本当に優しい方ばかりです。
前のサロンだったら忙しさのあまり、嫌な空気になってしまうかもと思う場面だったので、その優しさにすごく感動しました。そこから自然と会話が増えて、いいきっかけになりました。
みなさんそれぞれ独立して働かれているので、知識やお客様への向き合い方がとても勉強になります。薬剤に詳しい方が多く、おすすめの薬剤を聞いたり、使わなくなった薬剤を譲ってくださることもあります。そのお礼にコーヒーを渡したりと、ちょっとしたやり取りもあります。
SNSが上手な方や、常に予約がいっぱいの人気美容師さんも多いので、やり方を聞いたりもしますが、接客の様子を近くで見ているだけでも学びが多いです。とてもありがたい環境だと感じています。
―逆に、フリーランス美容師として働くうえで、デメリットを感じることはありますか?
北村:やはり自分から情報を取りに行く姿勢は必要ですね。集客やSNSの発信など結果を出している美容師さんとコミュニケーションを取ったり、学ぶ姿勢を持つことが大切だと感じます。
ただ、SALOWINは学びの場もしっかり用意されているのでありがたいです。以前SNSに発信について本部の方に相談をしたら勉強会の場を用意してくれました。恵比寿店のメンバー5人ほどで本社に伺って、実際に結果を出している別の店舗の美容師さんからInstagramの運用ノウハウについて教えていただきました。とても参考になる内容で、学んだことを実践したらフォロワーが300人ほど増えました。
フリーランス美容師といっても、自分からしっかり声を上げればサポートしてもらえる環境があるのは、すごく心強いと感じています。
―SALOWINに移動してから、お客様は変わらず来てくださいましたか?
北村:以前のサロンに通ってくださっていたお客様のうち、約8割の方は変わらず来てくださっています。
2割ほどは離れてしまいましたが、業務委託のときよりも値段は下げないと決めて、カットが7,000円、カット・カラー・トリートメントで17,000円〜にしているので、スピーディーで安い施術を求める方が離れてしまうのは仕方ないと思っています。
その分、私を求めて来てくださるお客様にはしっかり時間を取り、一人ひとり丁寧に施術させていただいています。
―移動する際、お客様に直接ご案内はできましたか?
北村:できませんでした。前社に退職の意思を伝え、12月末まで働く予定だったのですが、11月末での退社という形になりました。業界ではよくある話かもしれませんが、10年働いた会社でこのような扱いを受けるのはすごくショックで、悔しさもありました。
しかし、その悔しさが「新しい環境で頑張ろう!」というモチベーションにもなりましたね。
ご挨拶できなかったお客様もいるので、今まで顔出ししていなかったInstagramで、アイコンを顔写真に設定し、名前はフルネームに変更し、プロフィールを整備しました。すると「予約しようとしたのにいない!」となったお客様がWEB上で検索して見つけてくださり、Instagram経由で予約してくださいました。とても嬉しかったです。
―移動後のお客様の反応はいかがですか?
北村:最初は半個室という空間が少し閉鎖的に感じられないか心配でしたが、お客様からは「こっちの方が断然落ち着く」と好評です。周りを気にせず相談できたり、お仕事が忙しい方も多いので施術中にPCを開いて軽くお仕事される方もいらっしゃいます。
駅近で通いやすい立地も喜ばれています。坂道が少しきついのですが、「これも健康のバロメーターだね」と笑ってくださるお客様もいます(笑)。
女性のお客様は、髪を整えるだけでなく癒やしを求めて美容室に来られる方も多いので、SALOWINの空間はそのニーズにぴったりだと感じます。特に、美髪や艶髪への意識が高い恵比寿の30〜40代の女性のお客様とは、とても相性が良いです。
半個室になったことで、カウンセリングや仕上げの提案をゆっくり行えるようになり、そこからお客様の紹介が増えたのも嬉しい変化ですね。
―紹介でお客様が増えるのは嬉しいですね。
北村:そうですね。お友達やパートナーを紹介してくださる方も多いですし、私と同世代のお客様は会社で管理職をされている方も多く、あるお客様は「チームの印象も大事だから、みんなお願いしたい」と言って部下の方を6人も紹介してくださいました。
「北村さんにお願いしたい」と言っていただけるのは本当に嬉しいですし、信頼の証だと思っています。
オンライン集客で出会うお客様とはまた感覚が異なり、紹介で来てくださるお客様には、より大きなやりがいと責任を感じます。
―売上の変化はありますか?
北村:2割ほどの失客はありましたが、それ以上に紹介で新しいお客様との出会いが増えたので、最終的にはプラスになっています。
以前は1日に12人ほど施術していましたが、今はマンツーマンで4人程度。それでも時間をしっかり取ってカウンセリングや提案ができているので、店販の購入や単価アップにもつなげることができています。
忙しさに追われていた頃よりも収入は増え、心身ともに余裕が生まれ、すごく楽になりました。今の働き方にして本当に良かったと思います。
今後の展望とフリーランス美容師を目指す方へのメッセージ
―今後の展望はありますか?
北村:SALOWINの個室占有型シェアサロンブランドのSuiteにすごく魅力を感じています。
もし恵比寿エリアにSuite店ができたら、そちらに移って施術の幅を広げていきたいと思っています。今までは髪の施術中心でしたが、ヘッドスパやリラクゼーションなど、より幅広くお客様に喜んでもらえる環境を作りたいです。
また、休みがしっかり取れる分、プラスアルファの仕事もしていきたいと考えていて、インナービューティーの勉強も始めました。
東洋医学では、食べ物やお茶で体の不調を整える方法があったり、アーユルヴェーダでは人を「風・水・火」の3タイプに分けて、それぞれに合った健康法があるんです。サウナや筋トレも合う人と合わない人がいますし、みんなが水を2リットル飲めば良いわけではありません。
こうした知識を学ぶことで自分自身もアップデートできますし、お客様がより美しく健康になれるご提案ができたらいいなと思っています。
女性は7年ごとに体やライフスタイルが変わると言われています。年齢によってそれぞれ違いがあり、容姿だけでなく内面も整えることが大切です。中身が整うと肌や髪にも元気が出てきます。
お客様の大切な時間とお金をいただいているので、「今日ここに来て良かった」と思ってもらえるような仕事を、これからも追求していきたいです。
―最後に、フリーランスを目指す方や不安で一歩踏み出せない方に向けて、メッセージをお願いします。
北村:私もフリーランス美容師になるときは、不安が先にありました。
でも、実際に時間と心の余裕ができてみると、フリーランス美容師になってからの方がお客様が満足してくれているのがはっきりわかります。もし迷っている方がいたら、ぜひ挑戦してほしいと思います。
自分自身がそうだったのですが、女性美容師は意外と「自分の店を持ちたい」と思っていない方も多いですよね。正社員や業務委託で体力的に限界を感じたときに、SALOWINのような環境があるのは本当にありがたいと思います。
自分で出店するよりもリスクは最小限で、自分のやりたい形を実現できるのがシェアサロンの魅力です。
もし困ることがあっても、SALOWIN本部のフォローが手厚いので、独立はするのですが孤独感はありません。だから、今の時代に合った自分も満足しながらお客様にも満足してもらえる働き方ができると思います。
そして、美容師はもっと自分を大切にすべきです。私が美容師を始めた17年前から「身を粉にして働くのが当たり前」という考え方が、未だに根強く残っています。
でも、お客様はそこまで求めていないと思います。実際、以前は「北村さん休んでますか?」と心配されることもありましたが、最近は「北村さん、多幸感がありますね!」と言ってもらえるくらいです。(笑)
自分を大切にしても収入はなくならないし、全く悪いことではありません。お客様だって素敵な美容師さんに大切な髪の毛を任せたいですよね。お客様の希望を叶えるためには、まず自分のプライベートや心を健康に保つことが大事です。そこがもっとクリアになれば、美容師は本当に素敵な仕事になっていくと思います。

SALOWINで叶える自由で充実した働き方
フリーランス美容師は、北村さんのように自由で自分らしい働き方を実現しながら、やりがいやお客様満足度も高めることが可能です。
体力的・精神的に無理なく働ける環境は、結果的にお客様の幸せにもつながるものです。
SALOWINのサポートや学びの環境を活用すれば、独立しても孤独を感じず、お客様により質の高い施術を提供できます。
今の働き方に限界を感じている方は、この機会に自分の働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

