美容室やサロンにとって、平日昼の時間帯は比較的来店が少なく、遊休時間となりがちです。しかし、この時間を戦略的に活用することで、売上アップだけでなく新規顧客獲得やSNS拡散などの副次効果も得られます。
本記事では、平日昼の空き枠を収益化する方法として「体験メニュー」「撮影利用」「モデル施術」の3つのアプローチを中心に解説します。価格設計や予約導線、ターゲティング、データ管理まで網羅し、遊休時間を収益化するためのフレームワークを提供します。
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平日昼の空き枠を収益化する3つの方法
①スクール体験(学び目的)
美容師やアシスタント、専門学生を対象とした学び目的の体験は、収益だけでなく教育とリード獲得に重きを置く設計がポイントです。
提供内容
- 講師付き実習
- 1日スクール
- 体験カット
価格帯
5,000〜15,000円(所要2〜3時間)
運用ポイント
- 体験後に本コースへの入会導線を設計
- 例:「体験参加者限定で入学金50%OFF」
- 例:「本講座申込で当日割引」
- 利益よりもリスト収集や再来率アップを目的に運用
- 平日昼の空き枠を教育と収益化の両立の場として活用
スクール体験は、サロンの教育価値を伝えつつ、将来的な顧客やファンを獲得するための戦略的な枠として機能します。
②撮影利用で副収益と宣伝効果を狙う
美容室の空間や設備は、撮影用途でも価値化できます。
利用対象
- 美容師、フォトグラファー、インフルエンサー
- SNS発信やポートフォリオ撮影
価格例
1時間あたり2,000〜3,000円(最低2時間)
ポイント
- 平日昼などデッドタイムを優先設定
- SNS投稿やタグ付け条件を設け、自然な口コミ拡散を促進
収益の柱というより、「稼働率を上げる副収益」として設計するのがポイント。さらに、撮影利用者がサロンをSNS投稿することで、自然な口コミ拡散も狙えます。
例:「#〇〇サロン撮影」でタグ付け投稿した方は次回利用10%OFF。
③モデル施術で技術向上+SNS拡散
スタイリストやアシスタントの練習と同時に、SNS発信による宣伝効果も狙えます。モデル施術は単価を抑える代わりに、SNS露出と実践経験の獲得が目的。「無料で集客」ではなく「低価格×条件明示」で持続的な枠運用を行うのが安定します。
提供内容
- カット、カラー、パーマなどのモデル施術(時間制)
価格例
材料費+技術料の一部(1,000〜3,000円程度)
ポイント
- SNS掲載や仕上がり条件を明示(例:「SNS掲載許可必須」「仕上がり保証なし」「練習中スタイリスト対応」)
- 低価格でも価値を伝え、持続的な運用が可能
- リピート率や口コミ拡散の導線と組み合わせる
価格設計と付加価値戦略
1. 目的別の3階層モデル
平日昼の空き枠活用では、サービス目的に応じて価格を段階的に設定するのが理想です。
| 目的 | 内容 | 価格帯 | ポイント |
| スクール体験 | 講師付き実習・体験カット | 5,000〜15,000円 | 本コースへの導線設計 |
| 撮影利用 | 空間・設備貸出 | 2,000〜3,000円/時間 | 副収益+SNS拡散効果 |
| モデル施術 | 技術練習・SNS発信 | 1,000〜3,000円 | 条件明示でトラブル回避 |
2. 付加価値で低価格でも利益確保
- 講師付き体験 → 学びの価値を提供
- 内装や自然光 → 撮影需要を喚起
- 施術データ・撮影素材提供 → モデル側にメリット
- SNS掲載・タグ付け条件 → 宣伝費換算としてコスト相殺可能
また、モデル施術では「撮影+SNS掲載+タグ付け」を条件にすることで、宣伝費換算としてコストを相殺することも可能です。単なる「格安サービス」ではなく「PR兼体験枠」として価値を保つことができます。
予約導線の最適化
予約率を最大化するための基本構成は次の通りです。
基本設計
- 予約ページを用途別に分ける(スクール体験/撮影/モデル施術)
- 3クリック以内で予約完了
- カレンダー連携+自動リマインドで来店率向上→「Googleカレンダー連携」「前日通知」を自動化しドタキャン防止。LINE公式のステップ配信で、来店前の「持ち物案内」「当日の流れ」も自動送信可能。
- MAツールで初回予約後の自動フォロー→撮影利用後には「SNS掲載タグ案内+再利用割引クーポン」を自動発行。
これにより、単なるスケジュール管理ではなく「リピート導線の自動化」が実現します。
データで改善する収益化
美容室の集客やスクール運営、モデル施術などにおいて、「予約導線」は売上を左右する最重要ポイントです。しかし、多くのサロンでは「予約フォームを設置しただけ」「LINEを案内しているだけ」で終わっており、実際にどこで顧客が離脱しているのか、どの枠が収益を生みやすいのかを把握できていません。
美容室の集客やモデル施術では、「予約導線」が売上を左右する重要ポイントです。感覚ではなく、データで判断することで改善サイクルを回せます。
1. KPIで成果を可視化
予約導線を改善するために、以下の指標を定期的に追跡します。
| 指標 | 計算式 | 目安 |
| 予約ページ到達率(閲覧率) | 予約ページ訪問数 ÷ 全体アクセス数 × 100 | 20〜35%以上 |
| 予約完了率(送信率) | 予約送信数 ÷ 予約ページ到達数 × 100 | 40〜60%が標準、70%以上で優秀 |
| 来店率 | 来店者数 ÷ 予約完了者数 × 100 | 70〜80% |
| リピート率 | 2回目来店者 ÷ 初回来店者 × 100 | 50%前後 |
| SNS拡散率 | SNS投稿件数 ÷ モデル施術・撮影利用者数 × 100 | 任意設定 |
※本データは参考目安です。実際の店舗状況や地域、スタッフ構成によって数値は異なります。
2. 予約導線の改善プロセスを数値で管理する
これらのデータを毎月追跡し、「ボトルネックがどこか」を可視化することが成功の鍵です。以下のようなデータ管理シートを設けて、各フェーズの改善を定量的に進めましょう。
| フェーズ | 指標 | 目標値 | 現状値 | 改善施策 |
| 流入 | 予約ページ到達率 | 30% | 18% | LP文言・画像改善、CTA位置変更 |
| 予約 | 予約完了率 | 60% | 42% | 入力項目削減、LINE連携化 |
| 来店 | 来店率 | 85% | 75% | 前日リマインド自動化 |
| 再来 | リピート率 | 50% | 32% | フォローメッセージ・限定特典配信 |
このように「数字で見える化」することで、チーム全体が同じ目標を共有でき、PDCAを素早く回せます。
3. データ連携で自動測定する仕組みづくり
手動で記録するだけでは限界があります。近年では、MA(マーケティングオートメーション)ツールや予約システムの自動連携で、計測・通知・リマインドを自動化できます。
4. 数値を“意思決定”につなげる3つの分析軸
集めたデータを「見て終わり」にせず、施策判断に活かすための分析軸を持ちましょう。
① 集客チャネル別の分析
SNS経由、Google検索、LINE配信など、流入元ごとに予約完了率を比較。→ 例:「Instagram経由はPV多いが送信率が低い」=LP改善が必要。→ LINE経由は予約率が高い」=再来導線を強化する。
② メニュー別の分析
「スクール体験」「撮影利用」「モデル施術」など、目的別に成果を分けて管理。→ 体験枠はリスト獲得重視、撮影枠は拡散重視、モデル施術は練習+口コミ重視と軸を整理。
③ 時間帯・曜日別の分析
Googleカレンダーや予約システムから「平日昼間 vs 夕方」の予約率を比較。→ 平日昼間の空き枠が多ければ、撮影利用や体験枠を集中配置して稼働率を上げる。
5. 法的留意点と運営上の注意
- モデル施術・撮影利用には契約書や許可を明確化
- SNS掲載や写真使用について同意を取得
- 消費者保護・個人情報保護を意識した運営
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まとめ
平日昼の空き枠は、遊休時間ではなく収益化のチャンスです。
- 体験メニューで新規顧客獲得
- スクール体験で教育+リード獲得
- 撮影利用で副収益+SNS拡散
- モデル施術で技術向上+PR
価格設計・予約導線・データ管理を組み合わせることで、短期収益だけでなく中長期的な利益向上も可能です。
また、運営に当たっては法的・契約的なリスクにも注意を払いながら、数値管理(KPI)と情報発信(SEO・SNS)を両輪で回すことが成功の鍵です。
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