将来は独立し自分のサロンを開業したい。と考えている人も多いと思います。美容師として働いている多くの人々にとって、独立して自分のサロンを開業することは夢の一つです。しかし、独立には多くの挑戦が伴い、計画的な準備と実行が必要です。美容室は全国で25万軒あり、コンビニエンスストアよりも多い出店数になっています。そんな中で独立し、経営し続けるためには事前準備が不可欠です。本記事では、美容師が独立を目指すための徹底ガイドをご提供します。
1.目標設定とビジョンの明確化
まず最初に、美容師として独立する理由と目標を明確にすることが重要です。これが起点となって事業計画を作成していくためです。また、経営は調子がいい時ばかりではありません。目標・ビジョンが明確になっていないと、「売上が下がった」「人が辞めた」など、マイナスなことが発生した時に考えがブレて良い判断ができなくなることもあるので、独立することで何を達成したいのか、どのようなサロンを作りたいのかを考えましょう。
- 目標設定: 例えば、複数店舗出店したい、地域で最も信頼されるサロンを目指す、特定のスタイルや技術に特化するなど。
- ビジョンの明確化: サロンのコンセプトや提供するサービス、ターゲットとする顧客層を具体的に描きます。
目標設定とビジョンの立て方に関しては『美容師の独立で最初に考えるべきビジョンの作り方〜4STEP〜』で詳しくお伝えしていますので、ぜひご確認ください。
2. 市場調査と競合分析
次に、市場調査を行い、自分のビジネスに適した場所を選びます。また、競合他社の分析も重要です。
- 市場調査:どの地域にサロンを開業するのが最適かを調査します。人口構成、経済状況、美容業界の動向を確認しましょう。もちろん、現在働いているサロンの近くであることが望ましいので近隣での出店ができれば理想的ですが、現勤務先の美容室とのトラブルも懸念されるので事前に退職時のルール確認が必要です。『【美容師退職時の誓約書】法的拘束力と潜むリスク6ポイントを徹底解説』にて基本知識を確認しましょう。
- 競合分析:近隣のサロンの強みと弱みを分析し、自分のサロンがどのように差別化できるかを考えます。「美容室開業時に考えるべき集客で勝つための『ウリ』の決め方」でも考え方をご紹介しています。上記同様に内部リンクの記事を作成」
3. ビジネスプランの作成
成功するためには、詳細なビジネスプランが不可欠です。しかしながら、”ビジネスプランの作成“といっても、ほとんどの方が「何から始めるのか?」「どう作れば正解なのか?」と不安を感じるのではないでしょうか?詳しくは『美容室開業で90%以上の経営者が不安を抱える、理由と事業計画の作り方』でお伝えしていますので、以下ではのポイントのみをご紹介します。を含めたプランを作成しましょう。
- 事業概要: サロンのコンセプト、提供するサービス、ターゲット市場などを記載します。
- 市場分析: 市場の動向や競合状況を分析し、自分のビジネスの位置づけを明確にします。
- マーケティング戦略: 集客方法や広告戦略、プロモーション活動について計画を立てます。
- 財務計画: 開業に必要な初期費用、運転資金、予想収益、損益分岐点などを詳細に記載します。
4. 資金調達
ビジネスプランに基づき、開業に必要な資金を調達します。一般的に資金調達には以下の方法があります。
- 自己資金: 貯金や退職金を利用する。
- 銀行融資: 銀行からの借り入れを検討する。
- 政府の助成金や補助金: 美容業界向けの助成金や補助金を活用する。
- 出店費用が無料や格安になるサービスを活用する。
それぞれのメリット・デメリットはこちらです。
資金調達方法 | メリット | デメリット |
自己資金 | ・利息不要 ・柔軟性: 資金の使い道に制約がなく、自由に使える。 ・信用向上: 自己資金を多く投入することで、外部からの信用度が高まる。 |
・リスク負担: 自己資金が尽きると、経済的なリスクを全て自分で負う。 ・資金不足: 事業計画にもよりますが、自己資金だけでは不足する場合がある。 ・緊急時の対応: 緊急時の資金調達が難しくなる。 |
銀行融資 | ・資金調達: 自己資金の3倍の目安で必要資金を借入することができます。 ・信用力向上: 銀行からの融資を受けることで、ビジネスの信用度が上がる。 ・返済計画: 長期的な返済計画が立てられる。 |
・リスク負担:現預金が減少するので、経済的なリスクを全て自分で負う。 ・審査の厳しさ: 銀行の審査が厳しく、必要な資金を確保できない場合がある。 ・返済義務: 毎月の返済義務が生じ、キャッシュフローに影響を与える。 |
政府の助成金や補助金 | ・返済不要: 助成金や補助金は基本的に返済不要。 ・信用力向上: 政府の支援を受けることで、ビジネスの信用度が高まる。 ・費用軽減: 事業費用の一部をカバーできるため、自己負担を軽減できる。 |
・申請手続きの煩雑さ: 助成金や補助金の申請には多くの書類や手続きが必要。 ・競争率: 支援を受けるための競争が激しく、必ずしも受給できるわけではない。 ・用途の制約: 助成金や補助金の使い道に制約があり、自由度が低い場合がある。 |
出店費用が無料や格安になるサービス活用 | ・初期費用・物件調達不要:事業計画に合わせてサービス提供事業者が一括で担う。(『ALL SHARE』) ・材料費削減:割引率高く材料発注可能(「『ALL SHARE』『me by,,』) |
・固定費の継続発生:利用料金となるため返済完了の概念がない |
このように資金調達には一般的には大きく4パターンあるのですがそれぞれメリット・デメリットがあります。ご自身の思考に合う資金調達先を選択しましょう。
5. 法的手続きと許可取得
サロンを開業するには、各種許可や登録が必要です。地域によって必要な手続きが異なるため、詳細を確認しましょう。
- 営業許可: 美容室としての営業許可を取得します。
- 健康保険や労働保険: 従業員を雇用する場合、健康保険や労働保険への加入が必要です。
- 税務登録: 税務署に開業届を提出し、必要な税務登録を行います。
6. 店舗の選定と設備投資
サロンの場所選びは非常に重要です。立地条件や賃料、周囲の環境を考慮して選定しましょう。
また、設備投資も大きな費用がかかるため、計画的に行います。
- 店舗選び: 交通の便が良く、ターゲット顧客が集まりやすい場所を選びます。
人気のエリアでの物件探しは難易度が高く、理想の物件に出会うまでに時間もかかるので、余裕をもった計画を立てる必要性があります。 - 設備投資: 高品質な美容機器や内装に投資します。顧客がリラックスできる環境を整えることが大切です。
7. スタッフの採用と育成
優れたスタッフはサロンの成功に欠かせません。採用基準を明確にし、必要なスキルを持ったスタッフを採用しましょう。また、定期的な研修や教育を通じてスキルアップを図ります。
- 採用基準の設定: 求める人材像を明確にし、採用基準を設けます。美容業界も他業界と同様に人材不足が課題になっているため、採用にも一定の時間・費用がかかることを想定しておく必要性があります。
- スタッフの教育: 美容室はサービス業の側面があり、顧客満足度を担保して高いリピート率を保つためにも、接客マナーや技術研修を定期的に行い、スタッフのスキルを向上させる必要性があります。ます。
8. 集客とマーケティング
サロンを開業したら、集客が重要です。効果的なマーケティング戦略を立て、顧客を引きつけましょう。
- オンラインマーケティング: SNSやウェブサイトを活用して、サロンの魅力を発信します。広告モデルのポータルサイトを利用することも有用です。
- プロモーション活動: 開業キャンペーンや紹介制度を導入し、新規顧客を獲得します。
- 口コミの活用: 顧客の口コミを積極的に利用し、信頼性を高めます。
9. 経営管理とサービス向上
サロンの運営が軌道に乗ったら、経営管理とサービス向上に力を入れます。顧客満足度を高めるための取り組みを継続的に行いましょう。
- 経営管理: 売上管理や経費管理を徹底し、効率的な運営を行います。経営者自身で管理することは、時間的にも知識的にも難しい側面があるため、税理士と契約し、財務諸表の作成や管理を行うのがおすすめです。
- サービス向上: 顧客のフィードバックを取り入れ、サービスの質を向上させます。ウェブサイト上の口コミや顧客アンケートを活用するのも良いでしょう。
10. 持続的な成長と展望
最後に、サロンの持続的な成長を目指しましょう。新しい技術やトレンドを取り入れ、常に進化し続けることが大切です。
- 技術研修:セミナーへの参加やディーラーからの提案の機会を活かし、 最新の技術やトレンドを取り入れ、常に新しいサービスを提供していくことも重要です。
顧客関係の強化: 紹介特典や、次回予約制度の導入など、リピーターを増やすための施策を講じ、顧客との関係を強化します。
まとめ
美容師が独立して自分のサロンを開業するためには、計画的な準備と実行が不可欠です。本記事では、独立に向けた10の重要なポイントを紹介しました。まずはしっかりと計画を立てることが夢を叶える第一歩を踏み出す重要なステップになります。独立への道のりに少しでもお役立ちできることを願っています。