オーナーから突然告げられた――
「サロンが倒産します」
これからどこで働けばいい?
お客様には何と伝えれば…?
急すぎる知らせに、今後について焦りますよね。
でも、「美容室 倒産」は人ごとではありません。
2024年度には全国で197件ものサロンが姿を消し、平均すると「約2日に1件」のペースで倒産が発生。売上を上げるスタイリストであっても、資金繰りや後継者問題、SNS炎上など、オーナー側の外的要因で職を失うリスクは常に潜んでいます。
本記事では、倒産直後に必要な法的・金銭的手続きからメンタルケア、さらに美容師の転職やシェアサロンといった新しい働き方まで、データと事例を交えてコンパクトに解説。倒産を“終わり”ではなく“チャンス”に変えるための最低限ステップを、ここで押さえましょう。

第1章:美容室倒産の“今”をデータで把握する
① 2023年・2024年の倒産件数推移と業界トレンド
2023年度(2023年4月〜2024年3月)に発生した美容室の倒産件数は182件でした。2024年度(2024年4月〜2025年2月末)には197件と前年同期比+ 8.2%で過去最多を更新し、このペースは「約2日に1件」にあたります。コロナ禍からの来店客数回復が進む一方で、人手不足や資材・光熱費高騰、競合増加といった“三重苦”が経営を圧迫しています 。
② 倒産原因TOP3(人材不足/集客難/後継者不在)
帝国データバンクの分析によると、2024年度の倒産原因上位は以下の通りです。
- 人材不足…スタイリストやアシスタントの確保が困難
- 集客難…割引競争の激化でカット代は5年で約4%増に留まる
- 後継者不在/高齢化…オーナーの高齢化で後継体制が未整備
③ 業態別に見る倒産リスクの偏り
業態別:負債1,000万円以上の法的整理による倒産のうち、9割超が個人経営の小・零細サロンで、チェーン店に比べて事業継続力が低い実態があります。
※参考データ:帝国データバンク「美容室」の倒産動向(2024 年度)
第2章:倒産後に必ずやるべき法的・金銭的手続き3ステップ
① 失業保険(雇用保険)申請フローと注意点
- 退職後10日~2週間で会社から**離職票(被保険者資格喪失届・離職証明書)**を受け取る。
- 居住地を管轄するハローワークで「求職の申込み」を行い、離職票を提出。
- 受給資格決定後、待期期間(7日間)と説明会参加を経て、4週間ごとの失業認定申告で失業手当が振り込まれます。
② 未払い給与・退職金の請求権
- 賃金請求権は、原則として支払日翌日から3年間(当分の間)行使可能で、退職金は5年以内が時効です。
- 未払給与がある場合は、まず雇用主に内容証明郵便で請求し、解決が難しければ労働基準監督署や弁護士へ相談しましょう。
③ 失業中の生活&再就職サポート活用法
- 職業訓練受講給付金(教育訓練給付金)
雇用保険の被保険者期間が一定以上あれば、ハローワークの指定講座受講中に支給を受けられます。月額最大約10万円が給付され、スキルアップしながら収入を確保可能です。
- 公共職業訓練(ハロートレーニング)
失業保険を受給中であれば無料で受講できる公的講座。美容師としての即戦力スキルや、独立に必要な経営知識を補えます。自治体によっては美容師免許取得コースもあり。
- 住居確保給付金
失業で家賃負担が厳しくなった場合、市区町村の生活福祉課に申請すると、市区町村ごとに定める額を上限に実際の家賃額を原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)の家賃補助が受けられます。生活の基盤を守りつつ次のステージを準備できます。
- 創業・起業支援補助金
シェアサロンやフリーランスとして独立を考えるなら、商工会議所や自治体の「創業補助金」「女性起業支援金」などを活用しましょう。最大200万円前後の資金援助を得られ、初期投資の負担を大きく軽減できます。
失業直後は働く場がなくても、これらの公的サポートをフル活用することで、収入を確保しながら再就職準備や独立へのステップを踏むことができます。
第3章:倒産ショックからの立ち直り&ネットワーク活用法
① 精神的ダメージへの対処法(セルフケア/専門家相談)
- 厚生労働省「こころの耳」では、セルフチェックやオンライン相談窓口、メンタルヘルスに関するeラーニングが無料提供されています。
- 無料で弁護士相談できる窓口も活用を。
② 業界コミュニティ・同業者ネットワークの使い方
- **全美連(全日本美容業生活衛生同業組合連合会)**は47都道府県の美容組合を統括し、経営指導や技能講習、共済制度を提供する公的団体です。
- 地方組合や青年部への参加で、最新ノウハウ共有や経営支援が受けられます。
③ SNS・オンラインサロンで得られる情報・支援
美容師向けオンラインサロンや美容室の求人関連のSNSも現代は多数存在しています。情報交換や深夜の相談も可能です。
そして何より、いちばん頼りになるのは“美容師の友人・知人”です。
日頃から築いてきた仲間のネットワークに「今こういう状況で…」と相談すれば、思わぬ働き口を紹介してもらえる可能性が最も高いでしょう。
第4章:倒産リスクを“雇われない”働き方で回避する
① シェアサロン(面貸しサロン)とは?メリット・デメリット
シェアサロンは既存サロンのセット面を利用料を支払い借りる仕組み。利用料は「月額固定制+歩合制」「時間制」「月額制」が一般的です。
👉こちらの記事でも解説中!『美容師向けシェアサロン完全ガイド|メリット・デメリット・比較表付きで徹底解説!』
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② フリーランス/業務委託で働く5つのポイント
- 指揮命令関係を明確に
業務委託契約は労働法が適用されず、自主的に業務を遂行する点が雇用契約との大きな違いです。 - 社会保険・年金は自分で管理
雇用保険・厚生年金が適用されないため、国民健康保険や国民年金への加入が必須です 。 - 確定申告・青色申告で税務優遇
開業届を提出し、青色申告承認申請を出しておくと65万円の控除が利用可能 。 - 収入変動に備えた資金計画
月間売上の増減が直に手取りに影響するため、生活費の3~6か月分を最低限の貯蓄として確保。 - 集客責任を自ら負う
SNS発信、チラシ配布、口コミ紹介など、自分で集客チャネルを複数持つことが成功の鍵。
4.3 自分で集客・単価設定するためのSNS活用術
- InstagramやTikTokでビフォーアフターを投稿し、ストーリーズで予約リンクを設置。
- LINE公式アカウントの「リッチメニュー」や「ステップ配信」で顧客接点を強化。
- YouTubeやnoteを使った技術解説でファン化を図るなど、多様な発信が効果的です。
第5章:美容師転職で失敗しないために押さえる3つのポイント
① 顧客基盤の見える化――LINE・Instagramで予約管理
- 顧客情報はLINE公式アカウントやInstagram DMでまとめ、ExcelやGoogleスプレッドシートで管理すると転職後もスムーズに引き継ぐことができます。
- メルマガやステップ配信でリピート率を高め、顧客離れを防止。
② キャリアビジョンの明確化――安定派/自由派/独立派
- 安定志向:大手チェーンや企業サロンで福利厚生と教育制度重視
- 自由志向:シェアサロンや業務委託でワークライフバランス重視
- 独立志向:個人事業主として自店舗開業を目指す
それぞれのメリット・デメリットを整理し、5年後・10年後の目標を描きましょう。
③ 転職先サロンの倒産リスクを見抜く4つのポイント
- スタッフの定着・入れ替わり状況を観察
直近1年で退職者が多いサロンは要注意。面接時や見学時に「最近どれくらい人が辞めていますか?」と率直に聞いてみましょう。先輩スタッフにさりげなく「勤続年数はどれくらいですか?」と質問し、平均勤続年数を把握。
- 客入り・予約状況をチェック
Web予約や電話で埋まり具合を確認。空きだらけなら集客に苦戦している可能性があります。公式LINEやSNSでの最新投稿・ストーリーの反応(いいね数・コメント数)も参考に。
- オーナー・店長との面談で聞くべき質問
「この1年で新規顧客数はどれくらい増えましたか?」「価格改定(値上げ)やメニュー刷新の予定は?」「今後の出店・改装計画はあるか?」
→ 経営ビジョンを確認し、資金繰りや将来性を肌感覚で掴みます。
- 店の設備・家賃感をチェック
狭すぎないか、古びた什器が多くないかを見て、家賃負担の重さやメンテナンス状況を推測。家賃相場を下調べした上で「この立地でこの広さなら家賃は妥当か?」を判断しましょう。
第6章:倒産後も活躍している美容師の事例
- ケース1:サロン閉店→シェアサロン独立
前職:都内サロン勤務
突然オーナーより今月末でサロンを閉店すると通知があり、お客様の予約も入っているため翌月から勤務できるサロンを探しました。同じエリアの業務委託サロンやシェアサロンをいくつか見学し、シェアサロンの利用を決め、フリーランス美容師として独立。
顧客様にはDMとお電話で全員に連絡し、次回来店いただく店舗のご案内をし、無事ほとんどのお客様が独立後もご来店。マンツーマン施術と個室空間の満足度が高く、独立後の方がお客様の喜びの声が高いという結果に。
- ケース2:サロン閉店→正社員サロンでスタイリストに
前職:都内サロン
1人のスタッフのSNSでの炎上により営業継続が困難な状態に。SNSで目にしたサロンの求人に応募し、無事働く場所を確保。
元々SNSで集客し予約経路もDMだったため、急な移動も問題なくクリア。何が起きるか分からないのでお客様と繋がる連絡手段の確保は大切だと感じたそう。
第7章:2025年版おすすめシェアサロン比較ランキング
サロン名 | プラン |
SALOWIN | 半個室型:月5万円+売上の20% 個室占有型:25万円 |
GO TODAY Share salon | 半個室型:月5万円+売上の25% 個室占有型:月22.5万円+売上5% |
EMANON | 半個室型:月5万円+売上の20% 個室占有型:25万円 |
JAM | 月25.3万円〜固定 |
まとめ:倒産リスクをチャンスに変える7つの要点
倒産の“今”を正確に把握する
2024年度(2024年4月~2025年3月末)の美容室倒産件数は197件、平均“約2日に1件”のペースで発生しています。データを知ることで、いつ・どこで・誰に起こってもおかしくないという“当事者意識”が生まれます。
法的・金銭的手続きを即対応
失業保険の申請、未払い賃金の請求権行使、助成金・補助金の活用は、倒産後すぐに取り組むべき必須タスクです。準備が早いほど、手元資金と精神的余裕が確保できます。
メンタルヘルスとネットワークが復活の鍵
セルフケアや専門窓口を活用しつつ、同業組合やオンラインコミュニティで悩み共有と情報交換を。孤独感を抱えず、同僚や先輩とのつながりから次のヒントを得ましょう。
“雇われない”新しい働き方でリスクヘッジ
シェアサロンは初期費用を抑えつつ、売上還元率の高いプランや集客サポートが充実。業務委託・フリーランス化で技術収益を最大化し、自分の裁量で働ける環境を手に入れましょう。
転職成功は“目に見える”準備から始まる
顧客リストのデジタル化、SNSフォロワー数・反応率の定量化、志向に合ったキャリアプランの明文化。これらをクリアにすると、次のサロン面接でも自信を持ってアピールでき、ミスマッチを防げます。
事例から学ぶ“再起のストーリー”
都内シェアサロンで月商100万円を達成したKさん、地方出張型で生活満足度を向上させたYさんなど、「自分の技術があれば道は開ける」ことを示す成功事例が数多く存在します。数字とプロセスを具体的にトレースして、自分なりの再起プランを描きましょう。
行動リストを“今すぐ”動かす
本記事冒頭の行動リスト10項目を、1週間以内にコンプリートすることを目標に設定。タスクを細分化し、カレンダーに落とし込むことで、「いつ何をやるか」が明確になり、自然と前進できます。
倒産は確かに“予期せぬ衝撃”ですが、それを経験した美容師ほど「自分らしい働き方」を見つけやすいものです。データでリスクを理解し、法的手続きを迅速に済ませ、メンタルとネットワークを整えたうえで、自ら働き方を選択する。このサイクルを回し続けることで、サロン倒産という逆境を、キャリアの大きなステップアップに変えていきましょう。あなたの次の一歩を、この記事が強力にバックアップします。
