美容室の経営において、「開業したいけど何から始めるべき?」「思ったより集客が伸びない…」といった悩みは非常に多く聞かれます。
美容技術だけでは成功できない、でも経営の何を重視すればいいかわからない。そんな方のために、本記事では美容室経営で重視すべき6のポイントを「開業準備」「運営」「改善」の3フェーズに分けて詳しく解説します。
この記事を読めば、美容室経営における“成功の勘どころ”が明確になります。
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1. 美容室を開業する前に必要な経営準備とは?
美容室を開業するうえで最も大切なのは、「サロンを開くだけ」で満足しないことです。多くの方が物件探しや内装などの“目に見える部分”に意識を向けがちですが、経営の基盤づくりはそれ以上に重要です。経営準備とは「開業後の安定経営を支えるための土台」を整えることを意味します。
まず第一に必要なのは、ターゲット顧客の明確化です。20代女性を狙うのか、メンズに特化するのか、白髪染め世代を取り込むのかによって、メニュー・価格・内装・立地すべてが変わってきます。次に重要なのが立地の選定です。人通りが多くても「美容室が密集している激戦区」では差別化が難しく、思ったように集客できないこともあります。
また、開業資金と資金繰り計画の精度も欠かせません。内装費・設備投資・広告費・生活費・運転資金まで含め、開業から6か月分の資金を確保しておくのが理想です。その際、創業融資を活用する場合は事業計画書の作成が必須となるため、税理士や金融機関に早めに相談しておくと安心です。
さらに、メニューと単価の設計も経営視点で考える必要があります。カット・カラーの比率、リピート率を意識した回数券やサブスクなども検討材料になります。
このように、美容室の開業前には「戦略を持った準備」が欠かせません。成功しているサロン経営者は、例外なく開業前にしっかりと経営視点の準備を行っています。
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2. 美容室経営に欠かせない6のポイント
美容室の経営において、お客様のリピート率を左右する最重要ポイントの一つが「サービスと技術の一貫性」です。開業後すぐの集客以上に、“もう一度来たい”と思ってもらえる体験の設計が経営の生命線となります。
以下の点を意識して、一貫性を確保する仕組みを整えましょう。
① 技術と接客の「バラつき」をなくす
→ 担当するスタイリストごとに、カットやカラーの仕上がりに差が出ていませんか?接客態度や言葉遣いにも統一感があるか確認を。スタッフ間で最低限の技術・サービスレベルを揃えることで、お客様は安心して再来店できます。
② 接客フローやマナーを「仕組み化」する
→ 挨拶・カウンセリング・クロージングなど、基本的な接客手順をマニュアル化・共有することで、一人ひとりの接客スキルに左右されにくい安定感のあるサービスが実現します。
③ SNSの印象と現場の体験を一致させる
→ InstagramやHPで「落ち着いた空間・丁寧な接客」を打ち出しているなら、実際の雰囲気や対応もそれに沿っている必要があります。ブランディングと体験にギャップがあると、期待を裏切られた印象を持たれます。
④ サロン全体で「ブランドの空気感」を共有する
→ おしゃれ・リラックス・清潔感など、サロンが提供したい価値をスタッフ全員で理解し、内装や制服、BGM、香りまで一貫性を持たせましょう。
⑤ 「指名」だけに頼らず、お店としての品質を守る
→ 指名制度があるとはいえ、「どの人に当たっても満足できる」という安心感は経営を安定させる大きな要素です。
⑥ スタッフへのフィードバックやロープレを習慣化する
→ 技術や接客は、経験とともに差が広がっていきます。月1回のフィードバック面談やロープレを定例化することで、全体の品質を底上げできます。
サービスや技術は、目に見えない「体験価値」として伝わります。その価値をブレさせないようにする仕組み作りが、美容室経営の成功に直結するのです。
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3. 開業初期に意識すべき戦略
美容室経営において「売上」や「集客」よりも難しいと感じる方が多いのが、**スタッフマネジメント(人材管理)**です。
スタッフが辞めてしまう、人間関係が悪化する、教育に時間がかかる…。こうした悩みは避けて通れません。だからこそ、仕組みとして“育ちやすく辞めにくい環境”を整えることが重要です。
① 「目的共有」と「理念の可視化」
→ スタッフにとって「何のためにこのサロンで働いているのか?」が明確であることは非常に重要です。経営者の価値観や目指す方向性を言語化し、日々の会話や朝礼で繰り返し伝えるようにしましょう。
② 評価制度と昇給基準を明確にする
→ 「何を頑張れば評価されるのか」がわからないと、スタッフは不満を持ちやすくなります。売上・指名・協調性などの観点を組み合わせた、定量+定性の評価シートを活用すると効果的です。
③ 1on1面談の習慣化で不満を“未然に”察知
→ 月1回、15〜30分でもよいので、個別に話す時間を持ちましょう。小さな不安やモヤモヤが溜まる前に言語化してもらうことで、退職やトラブルを未然に防げます。
④ 教育フローは“属人化”させない
→ 教育が人によってバラバラだと、スタッフも混乱します。新卒〜中堅〜スタイリストまで、段階ごとに統一された教育カリキュラムやチェック表を整備しましょう。
⑤ 成果だけでなく“プロセス”も評価する
→ 売上や数字に表れにくい努力(後輩のフォロー、掃除、気配りなど)も評価対象に含めると、サロン全体の空気がよくなります。
⑥ 「指導」と「強制」は違うと心得る
→ マネジメントでは、相手の自主性を引き出す声かけがカギです。「こうしなさい」ではなく、「どう思う?」「なぜそうしたの?」という問いかけを増やすことで、自立型スタッフが育ちやすくなります。
スタッフが辞めないサロンには、「給与の高さ」だけではなく、心理的安全性と成長環境が整っています。
人が辞めずに育つ美容室こそ、地域で信頼され、長く愛されるサロンへと成長していきます。
4. メニューと価格設定の戦略
美容室経営で「売上はあるのに利益が残らない」「単価を上げたいが値上げが怖い」といった悩みは非常によく聞かれます。
その多くは、メニュー構成と価格設定の戦略が曖昧なことに原因があります。以下の6つのポイントをもとに、自店に合った価格戦略を考えてみましょう。
① 地域の市場価格と自分の価値を照らし合わせる
→ 価格は“相場”だけで決めると赤字に陥りやすくなります。まずはエリアの平均単価を調査し、そのうえで自分の強みやサロンの価値(技術・空間・接客など)に応じた価格設定を行いましょう。
② 利益率から逆算して価格を設定する
→ カット1人あたりの所要時間、人件費、材料費、家賃などをもとに、最低限必要な単価を計算します。
例:「1人あたりの施術でいくら利益が出るか?」という逆算視点を持つことで、価格に根拠が持てます。
③ 「売りたいメニュー」を軸に構成する
→ 自分が得意で単価が取れる技術(例:ショートカット、髪質改善、ブリーチなど)を主力メニューに据えると、利益率が高くなりやすいです。そこに“導線メニュー(例:クイックカット)”を組み合わせて客層を広げましょう。
④ セットメニューで客単価を引き上げる
→ カット+カラー、カラー+トリートメントなどのセット化で「自然な単価アップ」を実現します。また、メニュー表は“単品”より“セット”が選びやすく見えるようデザインすることがポイントです。
⑤ 価格だけで選ばれない理由を明確にする
→ SNSやHP、店内POPなどで「なぜこの価格なのか」「他と何が違うのか」をきちんと伝えることで、値段への不安を払拭し、価格に納得してもらえるようになります。
⑥ 値上げのタイミングは“内容の改善”とセットで
→ 価格を上げる場合、タイミングと告知の仕方が肝心です。新しいサービスやトリートメント導入など、「値上げ=価値アップ」と感じてもらえる工夫をしましょう。
価格とメニュー設計は、「経営者としての自信」と直結しています。
“なんとなくこの値段”ではなく、数字・価値・地域性から導き出された戦略的価格を設定することで、経営の安定感は一気に高まります。
5. 美容室の売上を伸ばす実践施策5選
美容室経営で最も悩みが多いのが「どう集客するか」「お客様が定着しない」という課題です。
しかし、集客にお金や労力をかける前に、“リピートにつながる仕組み”を作ることが何よりも大切です。以下の6つを意識すれば、安定した集客基盤が築けます。
① 新規集客とリピート施策を“セット”で考える
→ 新規が来るだけでは経営は安定しません。初回来店後に「次も来たくなる仕組み(再予約の提案・LINEフォロー・スタンプカードなど)」が用意されているかが重要です。
② SNSは“自分を売る場”と割り切る
→ InstagramやTikTokでは「技術」よりも「人柄・世界観・共感」の発信が刺さります。来てほしいお客様像に合わせた投稿を意識し、自分らしさを見せましょう。
③ Googleマップ対策で“通りすがり”を取り込む
→ 美容室検索の約半数はGoogleから。「マップに出る」「クチコミが多い」「写真が整っている」ことで来店動機につながります。無料でできる対策なので必須です。
④ 再来を促す“自然な声かけ”を習慣に
→ お会計時や施術後に「次はこのくらいの時期がいいですよ」と伝えることで、次回の来店イメージが湧きやすくなります。できれば再予約につなげるのがベストです。
⑤ “技術以外の体験価値”を意識する
→ 接客の心地よさ、BGMの落ち着き、アロマの香り、インテリア…これらの“なんとなく好き”が再来理由になります。「また会いたい」「また来たい」は技術だけで生まれません。
⑥ 広告費をかけすぎず“育つ導線”を作る
→ ホットペッパーやSNS広告は強力ですが、ずっと頼ると利益が減り続けます。口コミ・紹介・LINE・Googleなど、長期で効く仕組みを併用していきましょう。
集客は“単発”ではなく“仕組み”です。
「来てくれて終わり」ではなく、「また来てくれる仕組み」「紹介が生まれる仕組み」まで設計することで、広告に頼らない強い美容室へと成長できます。
6. 経営数字の見える化と改善ポイント
美容室経営をしている多くの方が「売上はなんとなくわかるけど、利益が出てるかどうかはよくわからない…」という状態に陥りがちです。
しかし、経営が伸び悩むサロンの多くは“数字を見ていない”ことが原因です。数字は経営の羅針盤。以下の6つを意識すれば、感覚ではなく根拠ある経営判断ができるようになります。
① 最低限見るべき数字を絞る
→ 美容室経営においてまず押さえるべき指標は次の5つ。
「月間売上」「客単価」「来店人数」「リピート率」「材料費率」。
これらだけでも、現状の課題が見えてきます。
② 損益分岐点を知る=安心して経営できる
→ 家賃・人件費・材料費・光熱費などを足して、「月に何万円売り上げれば黒字か?」を把握しましょう。
これがわかれば、売上が低くても焦らず戦略を立てられるようになります。
③ 人件費率を常に意識する
→ 売上に対して人件費が何%かを出すことで、雇用の適正化・給与バランスが見えてきます。目安は50%以下が健全とされる傾向があります。
④ 売上の内訳を分析して強みと弱みを把握
→ カットが強い?カラーが伸びてる?トリートメントが売れていない?
どのメニューが売上を作っているのかを把握すれば、何を伸ばすか・何を改善するかが明確になります。
⑤ 毎月1回、数字を見る“習慣”をつける
→ 月末に「売上報告を見る」だけでなく、Googleスプレッドシートや会計ソフトで記録し、前月比較・前年比較などをすることで、経営の精度が上がります。
⑥ 税理士・コンサル・経営パートナーを持つ
→ 数字に苦手意識があるなら、自分で抱え込まず、第三者の力を借りることも戦略の一つです。
信頼できる税理士やコンサルに相談し、月次チェックの仕組みをつくると安心です。
「数字が見える経営」は、感覚に頼る経営よりも圧倒的に強いです。
苦手でも、最低限の数字を“習慣的にチェック”するだけで、赤字や経費過多を未然に防げるようになります。
7. まとめ|成功する美容室経営者の共通点
- 感覚ではなく「数字と行動」で判断する
- 自分1人ではなく「チーム」を育てている
- 施術ではなく「顧客体験」を提供している
- 定期的に“見直す習慣”を持っている
- 経営も技術と同じように“学び続けている”
開業前の不安や、経営中のモヤモヤは誰にでもあるものです。
でも、正しくポイントを押さえて動けば、必ず経営は改善できます。
美容室経営の成功は、「感覚」よりも「戦略と仕組み」で決まります。
ぜひ本記事をヒントに、自分らしいサロン運営を実現してください。
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