美容師としてキャリアを積む中で「自分の美容室を持ちたい」と考える方は多いでしょう。しかし、美容室の独立開業にあたっては、美容師免許以外に必要となる資格や手続きがあることをご存じでしょうか?
「美容室 独立 資格」で検索する方が増えている背景には、管理美容師資格の必要性や保健所・消防署への届出といった複雑な手続きが関わってくるからです。
本記事では、美容室の独立開業を目指す方に向けて、必要となる2つの資格とその取得方法、さらには保健所への申請手続きまでを網羅的に解説していきます。
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美容室独立に必要な資格は?美容師免許と管理美容師資格の条件を解説
美容室を独立開業する際に必ず必要となる資格が「美容師免許」です。美容師免許は国家資格であり、美容師養成施設で2年以上の課程を修了し、国家試験(筆記・実技)に合格することで取得できます。
こちらの資格がなければ、カットやパーマ、カラーといった美容施術を行うことが、法律で禁止されています。
ただし、美容室の経営者として、店舗を運営するだけで自ら施術を行わない場合、美容師免許は必須ではありません。しかし、実際には自ら施術に携わるケースが多いため、美容師免許の取得はほぼ必須といえるでしょう。
さらに、従業員を2名以上雇用する場合には、「管理美容師資格」も必要となります。管理美容師とは、美容所の衛生管理責任者として設置が義務付けられている資格で、美容師免許取得後に3年以上の実務経験を積み、所定の講習会を受講することで取得できます。
こちらの2つの資格「美容師免許」と「管理美容師資格」が、美容室独立開業における基本かつ重要な資格です。将来的に店舗を拡大する予定がある方は、早い段階で両資格の取得を計画しておくことが大切です。
美容室独立で必要な管理美容師資格とは?取得条件と講習内容を解説
美容室の独立開業を目指す際、「美容師免許」さえ持っていれば、すぐに開業できると考える方は少なくありません。しかしながら、実際には、美容室を経営していく過程で「管理美容師資格」が必要になる場面が出てきます。
では、こちらの「管理美容師」とはどのような資格なのでしょうか?
管理美容師とは、美容所(美容室)において、衛生管理の責任者となる資格を持つ美容師のことを指します。
美容室を清潔かつ安全に運営するためには、法律で定められた衛生基準を遵守しなければなりません。そのため、常時2人以上の美容師を従業員として雇用する場合、管理美容師を設置する義務が生じるのです。
つまり、最初は一人で経営していても、店舗拡大やスタッフ増員を予定しているなら、いずれこの資格が必須になります。
管理美容師資格を取得するには、美容師免許を取得後、実務経験を3年以上積む必要があります。その上で、都道府県知事が指定する管理美容師講習会を受講し、修了証を受け取ることで正式に資格を取得できます。
こちらの講習会は、年に数回しか募集されず、定員も限られているので、早めのスケジュール調整が求められます。
管理美容師資格を取得することで、美容所の衛生管理に関する知識を体系的に学べるだけでなく、将来的な店舗経営において従業員を雇う際の必須条件を満たすことができます。美容室独立を考えるなら、美容師免許だけでなく管理美容師資格の取得計画も立てておくべきです。
美容室独立に必須!美容師免許と管理美容師資格の取得条件と流れ
美容師免許は国家資格であり、取得するには国家試験に合格する必要があります。試験を受けるための条件として、厚生労働省が認定する養成施設(美容専門学校など)で、2年以上学ぶことが求められます。
通学課程の場合は、昼間部や夜間部で2年以上、通信課程の場合は3年以上の学習期間が設けられています。学科・実技の両面で専門知識を身につけ、国家試験の筆記試験と実技試験の両方で、合格点を獲得することが求められます。
国家試験の内容と合格基準
美容師国家試験は、筆記試験と実技試験に分かれています。筆記試験では、衛生管理や関係法規、文化論、技術理論などの分野から出題され、合格基準は60%以上の正答率で、全科目無得点がないことが条件です。
一方で、実技試験は「衛生上の取り扱い試験」と「基礎的技術試験」に分かれており、それぞれにおいて減点方式で採点されます。衛生試験は20点以内、基礎技術試験は課題ごとに、30点以内の減点であることが合格ラインになります。
管理美容師資格を取得する条件と流れ
美容室の独立を目指す際に欠かせない資格のひとつが「管理美容師資格」です。美容師免許があればサロンの開業は可能ですが、店舗を拡大しスタッフを雇用する際には、この管理美容師資格が必須になります。
ここでは、管理美容師資格を取得するための条件と具体的な流れについて詳しく解説します。
まず、管理美容師資格を取得するためには、前提条件として「美容師免許」を取得していることが絶対条件です。美容師免許は国家資格であり、厚生労働大臣が指定する美容師養成施設で、2年以上学んだ後、国家試験(筆記・実技試験)に合格することで取得できます。
次に、美容師免許を取得した後、「3年以上の実務経験」を積む必要があります。ここでいう実務経験とは、美容師として実際にサロンで働き、施術や接客を行った経験のことを指します。アルバイトやパート勤務でも構いませんが、3年以上の継続的な勤務実績が求められるため、短期間での資格取得はできません。
3年以上の実務経験を経た後、都道府県知事が指定する「管理美容師講習会」を受講します。この講習会は、全国各地で年に数回実施されており、1回の講習日程は通常3日間です。
受講費用は1万円前後で、内容としては、美容所の衛生管理に関する法律や衛生的な施設運営のノウハウ、感染症対策、スタッフ指導方法など、店舗運営に不可欠な知識を学びます。
講習を修了すると「管理美容師資格認定証」が交付され、正式に管理美容師として登録されます。こちらの認定証は、美容所開設届の際に保健所へ提出が求められる大切な書類になります。
注意点として、講習会の受講資格を得るためには、実務経験を証明する「実務証明書」の提出が必要です。
こちらの証明書は、勤務先の美容室のオーナーや、店長に発行してもらう必要があります。フリーランスで働いている場合や、個人事業主として活動している場合でも、確定申告書の写しなどで実務経験を証明できれば、受講資格を得ることが可能です。
こちらの様に、管理美容師資格を取得するには、美容師免許取得→3年以上の実務経験→指定講習会の受講という3つのステップが必要です。美容室独立を考えている方は、早めにこちらのスケジュールを把握して、計画的に行動することが成功への鍵となります。
美容室開業に必要な資格と保健所申請の流れ|必要書類チェックリスト付き
美容室の開業には、資格だけでなく、行政への届出も不可欠です。例えば、東京都新宿区で美容室を開業する場合、まずは新宿区保健所で美容所の届出を行う必要があります。開業する地域によって手続きが異なるので、事前に各自治体の保健所に確認することが重要です。
美容所届出の流れとしては、以下の様なステップが一般的です。
保健所への事前相談が成功のカギ
美容所の開設届出を行う際、保健所への事前相談が強く推奨されています。こちらの相談は任意ですが、施設の構造や設備が、衛生基準に適合しているかどうかを確認する重要なプロセスです。
事前相談を行わずに内装工事を進めると、現地検査の際に基準を満たしていない箇所が発覚し、修正工事が必要になるリスクがあります。そのため、設計段階で保健所に図面を持ち込み、アドバイスを受けることが成功のカギになります。
美容所開設の届出書類とは?
保健所への事前相談を経て内装工事が完了したら、いよいよ美容所の新規開設届を提出します。この際、提出が求められる書類は、以下の通りです。
- 施設の構造及び設備の概要がわかる平面図
- 美容師名簿(従業員名簿)
- 医師による結核及び皮膚疾患に関する診断書
- 美容師免許証の原本
- 管理美容師資格認定講習修了証書の原本(該当者のみ)
これらの書類を提出後、保健所の職員による施設検査が実施されます。
現地検査と開設許可までの流れ
開設届を提出すると、保健所の職員が施設の現地検査に訪れます。こちらの検査は、書類上で申告された通りに設備が設置されているか、衛生管理基準を満たしているかを確認するものです。
検査日程は、書類の提出後2週間前後が目安です。検査を無事に通過すれば、保健所長より「検査確認済証」が交付され、美容所の開設が正式に許可されます。
【保存版】美容室独立開業チェックリスト|消防届出・開業届・保険加入まで
消防署への届出も忘れずに行いましょう
美容室の独立資格を取得して、保健所での届出手続きが完了したとしても、それだけで開業できるわけではありません。
特に忘れがちなのが、消防署への届け出です。美容室ではドライヤーやパーマ器具など、火災リスクのある電気設備を多用するので、防火対象物としての届け出が求められるケースがあります。
具体的には、美容室の規模や立地によって「防火管理者」の選任や「消防計画書」の提出が必要になります。延べ面積が300平方メートル以上の施設や、地下に設置される店舗などが該当します。
これらは地域の消防署で異なるため、開業前に必ず所轄の消防署で確認しておきましょう。
開業届の提出|美容室独立には税務署への届出も必須
準備が整ったら、次は税務署への「開業届」の提出です。開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、開業後1カ月以内の提出が推奨されています。
こちらの開業届を提出することで、個人事業主として税務署に登録されます。提出は義務ではありませんが、青色申告を希望する場合は提出が必須になります。
また、各種助成金や補助金の申請時にも必要書類として求められることがあるので、早めに提出しておくことをおすすめします。
青色申告承認申請書の提出も忘れずに
美容室を独立開業する際は、税務署への開業届と合わせて「青色申告承認申請書」の提出も重要です。これにより、青色申告特別控除(最大65万円控除)が受けられるだけでなく、赤字を翌年以降に繰り越せるなどのメリットがあります。
青色申告を選択することで、節税効果が期待できるので、美容室の経営において資金繰りの助けとなるでしょう。
賠償責任保険や共済制度の加入も検討しましょう
美容室の独立資格を取得して、行政手続きが完了したら、次は万が一に備えた保険加入も検討しましょう。お客様への施術中に、万が一の事故が発生した場合に備えて、賠償責任保険に加入しておくことが、リスクマネジメントの基本です。
また、小規模企業共済に加入することで、将来の退職金の積立や、経営難時の資金繰り支援を受けられる場合があります。いずれも開業届の提出が加入条件になるので、必要に応じて早めに手続きを進めましょう。
美容室独立時の資格・手続き以外で注意すべきこと
美容室の独立資格や行政手続きに、目を向けるのはもちろん大切ですが、実際の店舗運営に関わる準備も、同時に進める必要があります。特に以下のポイントは、開業前にしっかりと計画しておくべきです。
- 店舗の立地選びと賃貸契約
- 内装工事や設備導入計画
- 資金調達(融資・助成金申請)
- 集客戦略(ホームページ・SNS活用)
- スタッフ採用・教育計画
美容室の独立開業は「資格があればすぐにできる」ものではなく、多くの準備と戦略が必要です。
美容室独立を目指すならスケジュール管理がカギである
美容室の独立資格の取得、行政手続き、店舗準備など、多岐にわたる作業を効率よく進めるには、スケジュールの管理が重要です。特に以下のようなスケジュールを組むと、スムーズに開業まで辿り着けるでしょう。
- 資格取得(美容師免許・管理美容師資格)
- 事業計画書作成
- 物件選定・賃貸契約
- 内装工事と同時に保健所・消防署との相談
- 設備導入・スタッフ採用
- 開業届・青色申告申請
- プレオープンと集客開始
特に保健所・消防署とのやり取りは、工事のスケジュールに大きく関わるので、早めに相談を始めることが成功への近道です。
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美容室の独立開業に必須な資格のまとめ
美容室の独立と資格に関する手続きは、美容師免許の取得から始まり、管理美容師資格の取得、保健所・消防署への届出、そして開業届の提出など、段階的に行う必要があります。
また、資格や届出以外にも保険加入や集客戦略、スタッフ採用といった経営面での準備も欠かせません。しっかりとした事業計画とスケジュールを立てて、各種手続きを順序よく進めることが、美容室独立成功への大きな一歩になるでしょう。
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