美容師という職業は、技術力と経験が積み重なるほどキャリアパスが多様化するのが特徴です。しかし、20代をピークに40代以降は仕事の現場から退く人が増えるといった噂もあり、「美容師としていつまで働けるのか」「年齢を重ねてもキャリアを維持できるのか」と不安を抱える方は少なくありません。
実際、理・美容師の統計を見ると、39歳以下が約8割を占め、40歳以上は2割未満というデータがあります。(参照:ビザポシェア)
ただし、この統計は「常用労働者10人以上の民営事業所」を対象にしており、個人経営や小規模サロンは含まれていません。つまり、現役で活躍する50代・60代美容師の数は過小評価されているのです。
本記事では、「美容師のキャリアパス」にフォーカスし、年代別の働き方や成功例を整理。特に40代以降、45歳~65歳までの現役美容師の実情、年収、働き方の工夫、さらには将来の不安に備える対策まで詳しく解説します。美容師として長く働くための具体的なキャリア戦略を知りたい方に向けた内容です。
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【美容師のキャリアパス】美容師は何歳まで働ける?年齢による現場の実情
美容師という職業は、国家資格を取得すれば年齢に制限なく働き続けられるのが大きな特徴です。実際にサロンでは20代の若手から60代以上のベテランまで幅広い年代が活躍しています。
しかし「何歳まで現場で働けるのか」と問われると、単純に年齢だけでは答えられません。体力、技術、ライフスタイル、そして働き方の工夫によって、美容師のキャリア寿命は大きく変わっていきます。ここでは、年代ごとの働き方の実情を見ながら「美容師は何歳まで働けるのか」を考えてみましょう。
20代:技術習得と体力勝負の時期
20代はアシスタントからスタイリストへと成長していく修行期間です。営業時間外も練習や講習で体力的にハードですが、若さと根気で乗り切れる時期でもあります。この時期にしっかりと基礎を固めることが、その後の長い美容師人生を支える土台となります。現場では長時間勤務が多いため、若さゆえにこなせる部分が大きいと言えるでしょう。
30代:安定と分岐点の時期
スタイリストとして安定した売上や顧客を確保し、チームの中核を担う年代です。同時に結婚や出産といったライフイベントに直面し、働き方を見直す人も増えます。ここで無理に現場中心の働き方を続けると体力的に限界が見え始めるため、「自分は長く現場に立ち続けたいのか」「教育や経営にシフトしたいのか」とキャリアパスを考える分岐点になります。
独立開業を目指す場合は、屋号の決め方や手続きも重要です。美容室の屋号とは?3つの注意点と手続きの流れ、決め方を徹底解説
40代:体力の衰えと専門性の発揮
40代に入ると、1日中立ちっぱなしの仕事に体力の限界を感じる人が増えてきます。若い頃と同じペースで働き続けるのは難しくなりますが、その分、経験値や信頼感が強みになります。カラーのスペシャリスト、髪質改善の専門家、ブライダルヘアの第一人者など、自分の得意分野を絞って活躍する人も少なくありません。現場に立ち続ける場合も、予約数を調整する、アシスタントに補助を任せるなど負担を軽減する工夫が重要です。
50代:教育とマネジメントの比重が増える
50代は美容師として円熟期を迎えます。長年の顧客が固定化されているため売上は安定しますが、サロンワークの比重を減らし、後進育成や経営に力を入れる人が増えます。中には、自分のサロンをスタッフに任せ、自分はパートタイムで顧客対応に専念する人もいます。「無理をして現場に立ち続ける」よりも「長く続けるために役割を変える」という発想が鍵になります。
後進育成や経営に力を入れつつ、フリーランスとして活動する美容師の実例はこちら。インタビューフリーランス美容師の今後とは?出店を目指す立花大輝さんに聞く
60代以降:無理なく働くスタイルへ
美容師は法律上の定年がないため、60代や70代でも現役で働く人は珍しくありません。ただし体力的な制約は大きく、フルタイム勤務や1日数十人を担当するような働き方は現実的ではなくなります。そのため以下のような働き方が一般的です。
- 常連顧客だけを担当し、予約数を限定する
- 週2〜3日勤務でパートやフリーランスとして働く
- 訪問美容に特化し、介護施設や高齢者宅でサービスを提供する
- サロン経営を若手に任せ、自分は技術監修や講師として活動する
- こうしたスタイルなら、体力に応じて無理なく70代まで現役を続けることも可能です。
【実際の現場の声】 現場の美容師からは「60代でフルサロンワークは体がきつい」「でも指名客がいる限りは辞められない」という声が多く聞かれます。また、訪問美容を始めたベテランは「社会貢献を実感できるし、自分のペースで働けるから続けやすい」と話しています。つまり「何歳まで働けるか」は体力や環境よりも、どんなスタイルを選ぶかにかかっているのです。 |
美容師のキャリアパスに迷ったら?年代別の働き方と成功例
美容師は年齢に応じて、キャリアや働き方が変化します。20代ではアシスタントとして基礎技術を身につけ、先輩スタイリストの補助を通じてカットやカラー、シャンプーなどの基本施術を習得する期間です。この時期は修業期間とも言え、技術力だけでなく接客力や美容師としてのマナーも学ぶことが重要です。
30代になると、スタイリストとして指名客を持ち、売上や施術件数に応じた報酬を得る段階に入ります。自身の得意技術や接客スタイルを確立し、顧客満足度を高めることがキャリアアップの鍵です。また、店長やチーフとして後輩指導やシフト管理に携わる美容師も増え、経営感覚を磨く年代でもあります。
40代以降は、体力や家庭環境を考慮した働き方が求められます。都市部では店長やマネージャーとして店舗運営に専念するケース、地方では地域密着型サロンで落ち着いた働き方を選ぶケースがあります。
さらに、自店舗のオーナーとして独立する、またはフリーランスや訪問美容師として自由なスケジュールで働くなど、多様なキャリアパスが存在します。
実際の成功例としては、週の勤務日数を調整しつつ、個人経営サロンを運営する美容師や、フリーランスとしてSNSを活用しリピーターを増やす美容師、訪問美容師として、高齢者施設で安定的に活躍する美容師などが挙げられます。年代に応じて自分に合った働き方を選び、技術と人脈を活かすことが長期的なキャリア成功のポイントです。
20代:基礎を固める成長期、技術習得と経験の幅を広げる時期
20代の美容師にとって最も大切なのは、徹底的に技術の基礎を固めることです。アシスタントからスタイリストデビューを目指す数年間は、シャンプー、カラー、パーマ、カットといった基本スキルの習得に加え、接客力や提案力も磨いていきます。トレンドに敏感でいることも欠かせません。
この時期の働き方の特徴
- サロンワーク中心で長時間労働になりやすい
- 社内・社外のコンテストや講習会に積極的に参加
- SNSやInstagramで発信を始め、集客の基盤を作る
成功例
ある美容師は20代前半からSNSを活用し、自分の得意なカラーリングを発信。デビュー直後から指名客を順調に増やし、25歳で月100万円以上の売上を達成しました。若いうちから情報発信を習慣化することで、自分の強みを早期に確立できる良い例です。
30代:安定とキャリアの方向性を決める時期、売上と信頼を築く
30代はスタイリストとして経験を積み、安定してお客様を抱えられる時期です。同時に「今後どの方向にキャリアを進めたいか」を考え始める分岐点でもあります。プレイヤーとしてさらに売上を伸ばすか、チーフや店長などマネジメントにシフトするか、あるいは独立開業を目指すか、選択肢が広がります。
この時期の働き方の特徴
- チームリーダーや教育担当として若手を育成
- 集客の中心が口コミや紹介に移行し、安定した売上が確保しやすい
- 結婚・出産などライフイベントに合わせた働き方を模索するケースも多い
成功例
30代半ばでマネージャー職に就いた美容師は、教育力を強みに店舗の売上を大幅に伸ばしました。「自分の売上」から「チーム全体の成果」へ視点を切り替えたことで、経営者としての基礎を養い、後に独立した際にもスムーズに軌道に乗せています。
40代:働き方の多様化と専門性の確立。体力から知識・経験へのシフト
40代になると、若い世代と同じように長時間サロンワークを続けるのは負担が大きくなります。その分、長年積み重ねてきた経験や知識を武器に、専門性を高めた働き方が増えていきます。
この時期の働き方の特徴
- サロンワークを減らし、セミナー講師や外部活動へシフト
- 独立・開業する人が増える
- 経営やマネジメントに比重を置き、スタッフの育成に注力
成功例
40代で美容師から「髪質改善の専門サロン」を立ち上げた人は、カラーやパーマよりも髪の健康を重視するお客様の支持を集め、安定した経営を実現しました。体力を補うために「付加価値型サービス」に軸足を置いた好例といえます。
50代:後進育成と長期的な安定。キャリアの円熟期
50代の美容師は、サロンワークを続ける人もいれば、教育者や経営者として後進を育てることに重きを置く人もいます。自分の技術と知識を次の世代に継承しつつ、無理のない働き方にシフトすることが求められます。
この時期の働き方の特徴
- サロン経営を安定させ、組織を任せる体制を整える
- 学校や専門アカデミーで講師として活動する
- 定年を見据えた資産形成や副業に着手する
成功例
50代で自分のサロンをスタッフに引き継ぎ、自らは週3日のみサロンに立ち、それ以外は美容学校の講師として活動している人もいます。労働時間を減らしながら、美容業界に貢献し続けるスタイルは、今後のスタンダードになる可能性があります。
60代以降:無理なく続ける働き方へ。定年後のキャリアパス
美容師には法律で定められた定年がないため、60代以降も働く人が少なくありません。ただし体力的な負担は確実に増えるため、働き方を工夫する必要があります。
例えば、「予約数を制限して常連客だけを担当する」「訪問美容に特化する」「フリーランスとして週2〜3日働く」など、柔軟な選択肢が可能です。
この時期の働き方の特徴
- 常連客中心で少人数制サロンを運営
- 介護施設や訪問美容で地域貢献
- 技術監修や執筆など、現場以外での活躍
成功例
60代で訪問美容にシフトした美容師は、高齢者施設を中心に依頼を受け、地域から厚い信頼を得ています。体力的な負担が少なく、社会貢献度も高い働き方として注目されています。
美容師のキャリアパスを考えるポイント
年代に応じた体力のバランスを考慮する
若い時期はスキルと経験を積み、年齢を重ねたら体力に合わせて役割を変えるのが理想です。
強みや専門性を早めに確立する
得意分野を打ち出すことで、年代を問わず安定した集客につながります。
収入とライフスタイルを見据えて計画する
独立を目指す場合は資金計画、長く働きたい場合は健康管理を重視しましょう。
学び続ける姿勢を忘れない
美容業界は常に変化しているため、学びを止めないことが長期キャリアの鍵になります。
美容師のキャリアパスは、決して「独立開業」だけがゴールではありません。20代は基礎固めと挑戦、30代は安定と方向性の決定、40代は専門性の確立、50代は後進育成、60代以降は無理なく続ける働き方へとシフトしていきます。それぞれの年代に合ったキャリアを描くことで、美容師としての人生を長く豊かに楽しむことができます。
大切なのは、自分自身の体力・価値観・ライフスタイルに合った「美容師のキャリアパス」を柔軟に選び続けること。これからの美容師人生に迷った時は、年代ごとの選択肢を整理し、自分にとって最も心地よい道を見つけていきましょう。
まとめ|美容師のキャリアパスに迷ったら?年代別の働き方と成功例
美容師のキャリアパスは、多様性が魅力です。20代・30代での経験を基に、40代以降も店長・マネージャー、独立開業、フリーランス、訪問美容師、福祉美容師など幅広い選択肢があります。
重要なのは、自分の体力、技術力、ライフスタイル、経済状況に応じて最適なキャリアを選ぶことです。年齢を重ねても、工夫と準備次第で美容師として長く活躍できることを知っておくと、将来への不安を軽減できます。
美容師としてのキャリア形成では、技術力の維持、集客力の向上、経営・管理能力の習得が成功の鍵です。さらに、フリーランスや訪問美容師といった自由度の高い働き方を選択することで、体力的な負担を抑えつつ、安定的な収入や充実したライフスタイルを実現できます。
美容師としてキャリアに迷った際は、年齢や経験に応じた柔軟な働き方を検討して、長期的な視点で自分に最適な道を見つけることが重要です。
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