美容師として長く活躍し続けるためには、自分に合った働き方を選ぶことが極めて重要です。美容師のキャリアは、サロンの正社員として勤務し、アシスタントからスタイリスト、さらには店長やマネージャーへと昇進していくルートだけではありません。近年は、業務委託やフリーランスとして独立する働き方、シェアサロンを活用した柔軟なスタイル、さらには訪問美容や教育分野への転身など、選択肢が大きく広がっています。
こうした多様なキャリアパスは、美容師の将来性を左右する重要な要素です。特に、働き方によって収入の安定性、自由度、成長機会が大きく異なります。
本記事では「美容師の将来性」という観点から、正社員・業務委託・フリーランスといった雇用形態ごとの特徴やメリット・デメリット、ライフステージに応じた働き方の選び方、そして将来も長く続けられる条件について徹底解説します。これから美容師を目指す人や、現在の働き方を見直したい人にとって必読の内容です。
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【美容師の将来性】美容師の雇用形態別キャリアパス
①サロン勤務型(正社員・契約社員)
美容師のキャリアで最も一般的なのが、サロンに所属する正社員・契約社員としての働き方です。この働き方では、まずアシスタントとして基礎技術を学び、スタイリストへと昇格します。その後、経験を積むことで店長やエリアマネージャー、教育担当など管理職へのキャリアパスが開かれます。
サロンによっては、売上目標達成に応じて歩合給が支給される仕組みがあり、指名数やリピート率を高めることで給与アップを狙えます。全国の美容師平均年収は、おおよそ380万円前後とされており、企業規模や勤務地によって差がありますが、安定性を重視する人にとって魅力的な選択肢です。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
②フリーランス美容師・業務委託美容師などの個人事業主としての独立
美容師の将来性を語る上で、近年注目度が高いのがフリーランス美容師としての働き方です。個人事業主として活動する場合、働く場所や時間を自分で決められるため、ライフスタイルに合わせやすいのが特徴です。例えば、午前中は子育て、午後からサロンワーク、夜は休みにするなど柔軟なスケジュールを組めます。
収入は完全歩合制となり、努力次第で年収1,000万円以上を目指すことも可能です。一方で、集客・確定申告・社会保険の手続きなども自分で管理する必要があるため、自己管理能力が求められます。特に顧客獲得力が美容師としての将来性を左右するポイントとなります。
③サロン経営者というキャリア
経験を積んだ美容師の中には、自身のサロンを開業する人も少なくありません。経営者としてのキャリアでは、自分の理想とするコンセプトや価格設定を自由に決められます。ただし、開業資金の準備、集客、スタッフ採用・教育、経営管理といった施術以外の業務も担う必要があります。
店舗経営はリスクもありますが、成功すれば高収益を得られる可能性が高く、将来のキャリアのゴールとして目指す価値があります。
開業のステップや資金計画については【美容師の独立・開業ノウハウ】で詳しく解説しています。
【美容師の将来性】正社員の安定性と限界(給与・昇給の現実)
正社員という働き方が持つ安定性
美容師のキャリアパスの中で、最も多く選ばれるのが正社員としての働き方です。サロンに所属して働くことで、毎月安定した給与が支払われ、社会保険や厚生年金、雇用保険などの福利厚生が整っている点が大きな魅力です。
特に新人美容師やキャリアをスタートしたばかりの人にとっては、教育カリキュラムや研修制度が充実しているサロンに所属することで、基礎技術をしっかり学べます。労働基準法が適用されるため、残業代や有給休暇の取得も可能で、生活の基盤を安定させやすいのも強みです。
給与水準と昇給の現実
しかし、正社員美容師の給与水準は、他業種と比べると決して高くはありません。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、美容師の平均年収はおよそ380万円前後で、スタイリストデビュー直後の月給は18〜22万円程度、店長クラスでも月給30〜35万円というケースが一般的です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」
給与体系は以下のような仕組みが多く見られます。
- 基本給(固定給):毎月一定額が支給される
- 歩合給:指名数・売上高に応じて支給
- 役職手当:店長やマネージャー職に昇格すると追加
- 賞与:年1〜2回。ただしサロン業績に左右される
このように一定の安定性はあるものの、昇給スピードは緩やかで、大幅な年収アップを期待するのは難しいのが現実です。美容師の将来性を考えるなら、正社員のまま働き続けるだけでなく、歩合給の比率が高いサロンへの転職や、副業・講師活動で収入を補うといった工夫も必要になるでしょう。
昇給・キャリアアップの限界
正社員はキャリアアップの道が明確で、アシスタント→スタイリスト→チーフ→店長→エリアマネージャーといった昇進ルートが用意されています。しかし、管理職ポジションには限りがあり、昇進競争が激しいサロンでは頭打ちになる可能性もあります。また管理職ポジションに空きがないと自分のキャリアアップのタイミングがなかなか見出せないなんてこともあるでしょう。
さらに、給与が勤続年数ではなく「売上貢献度」に連動するサロンが多く、指名数や売上が伸び悩めば昇給も停滞します。結果として、30代後半〜40代になると収入が横ばいになり、将来性への不安を感じ、業務委託の働き方に転向する人も少なくありません。
美容師の将来性を高めるための工夫
正社員として働きながら将来性を確保するためには、以下のような工夫が有効です。
- 指名数を増やす:リピーターを確保し、歩合給を増やす
- 技術の幅を広げる:カラー・ヘアセット・着付けなど専門スキルを習得
- SNS活用:InstagramやTikTokで集客し、個人ブランドを確立
- 資格取得:ヘッドスパやメイクアップなど+αのメニューを提供
こうした取り組みを続けることで、正社員の安定性を活かしつつ、将来的に独立開業やフリーランス美容師への転向をスムーズに行うことも可能になります。
【美容師の将来性】業務委託・フリーランスの自由度とリスク
【自由度の高さ】
- 時間の自由:勤務時間を自分で設定でき、平日休みや短時間勤務も可能
- 場所の自由:面貸し・シェアサロンなど、好きな店舗で働ける
- 収入アップの可能性:歩合率は50〜80%が一般的。売上が上がるほど収入も増える
- メニュー設定:カット料金やメニュー内容を自分で決められ、ブランド構築が可能
- 顧客管理の自由:予約アプリやSNSを使い、自分のファンを育成できる
【リスク・注意点】
- 収入の不安定さ:予約が少ない月は売上ゼロもあり得る
- 集客負担:新規客の獲得やリピーター作りも自分の仕事
- 社会保障なし:雇用保険・厚生年金がなく、病気やケガ時は収入が途絶える
- 経費負担:材料費・家賃・保険・確定申告などを自己管理
- スキル以外の力が必要:マーケティング、経営感覚、コミュニケーション能力が不可欠
美容師として業務委託・フリーランスで働くのは、時間と場所を自由に選び高収入を狙える反面、安定性と保障を失うリスクも大きい働き方です。
成功するためには、①安定集客の仕組み作り、②経費・税金管理、③長期的なキャリア設計が重要になります。
【美容師の将来性】シェアサロンや面貸しの広がりが将来性を支える
①新しい働き方としてのシェアサロン
近年、美容師の将来性を大きく変えているのが「シェアサロン」という仕組みです。これまでは「面貸し」という言葉が主流だったかもしれませんが、シェアサロンはそこにいるスタイリストが全員フリーランス美容師で、全員でシェアする空間になっています。シェアサロンによって異なりますが時間単位や月額制、歩合制で借りて施術するスタイルで、初期費用を抑えて独立できる点が最大のメリットです。
シェアサロンは、フリーランス美容師にとって理想的な環境です。シェアサロンによって異なりますが、光熱費や備品のコストがサロン側が負担してくれることが多く、低リスクで事業をスタートできます。
②面貸しのメリットと課題
面貸し(ミラーレンタル)は、既存サロンの一席を時間単位で借りる形態です。自分の顧客を持つ美容師であれば、開業資金をかけずに独立感覚で働けます。報酬は施術売上の大部分が自分の収入となるため、実力次第で高収入が可能です。
一方で、集客は完全に自己責任であるため、リピーターを確保できないと収入が不安定になります。シェアサロンとほとんど変わらないですが、大きな違いは通常のサロンの一席を借りているので、サロンのルールに従う必要があります。
③データで見るシェアサロン市場の成長
矢野経済研究所の調査によると、日本国内のシェアサロン市場は年々拡大しており、2025年には市場規模が300億円を超えると予測されています。(参考:矢野経済研究所)
この成長は、フリーランス美容師や副業ワーカーの増加と密接に関係しており、将来も拡大が見込まれます。
【美容師の将来性】ライフステージに合わせた働き方の選択肢
20代:基礎スキルを磨く時期
20代の美容師は、技術習得と顧客獲得が最優先です。この時期は正社員としてサロンで働き、安定した研修制度を活用するのが有利です。スタイリストデビューまでにしっかりと基礎を固めることで、その後のキャリアの選択肢が広がります。
30代:働き方の見直しと収入アップ
30代になると、結婚・出産などライフイベントが増え、働き方の見直しが必要になることがあります。この世代では、業務委託やフリーランスに転向して収入アップを目指す人が増えています。
40代以降:無理のない働き方と継続性
40代以降は、体力や健康を考慮した働き方が重要になります。訪問美容やシェアサロンを活用し、勤務時間を調整することで長く続けられる働き方が実現できます。
【美容師の将来性】美容師が長く続けられる働き方の条件
①健康管理と体力維持
美容師という職業は一日中立ち仕事で、シャンプーやブロー、カットなどで腰・肩・手首に負担がかかります。これが原因で体を壊し、離職してしまう美容師も少なくありません。
美容師の将来性を高めるためには、まず健康維持が不可欠です。以下のような取り組みが効果的です。
- 週1〜2回のストレッチや軽い筋トレで姿勢を保つ
- 長時間立ちっぱなしを避けるため、合間に座る時間を作る
- 腰痛や腱鞘炎を防ぐために正しい施術姿勢を身につける
- 整体やマッサージを定期的に受け、体の歪みをリセット
②収入の安定と計画的なキャリア設計
美容師が長く働き続けるためには、生活の安定も欠かせません。特に正社員美容師は昇給が緩やかで、40代以降に収入が頭打ちになりやすい傾向があります。
美容師の将来性を考えるなら、収入を増やすための戦略を持つことが重要です。
- 指名顧客を増やし歩合給を底上げする
- 高単価メニュー(ヘッドスパ・髪質改善トリートメント)を提案
- 副業(メイク講師、オンライン講座、SNSマーケティング)で収入源を多様化
- 将来的な独立に向けて開業資金を計画的に積み立てる
また、ライフステージに合わせて正社員から業務委託・フリーランスへ転向するなど、柔軟にキャリアをシフトすることで収入とプライベートのバランスを整えやすくなります。
③顧客基盤とリピーター獲得
どの雇用形態であっても、顧客が安定していれば仕事を長く続けやすくなります。リピーターが多いほど、売上も安定し、精神的なプレッシャーも減少します。
顧客基盤を強化するための方法
- SNS(Instagram、TikTok)でヘアスタイルを発信し集客
- LINE公式アカウントやDMで顧客フォロー
- 口コミサイトでレビュー依頼し評価を高める
- 一人ひとりの顧客カルテを丁寧に記録し、次回提案に活かす
④働き方と環境の柔軟性
長く続けられる美容師は、ライフステージや体力に合わせて働き方を変える柔軟性を持っています。また、休暇が取りやすいサロン、残業が少ないサロンを選ぶことも、長く働くための重要な条件です。
⑤メンタルケアとモチベーション維持
美容師は接客業でもあるため、顧客対応や人間関係でストレスを感じやすい仕事です。モチベーションを保つためには、自己成長や達成感を感じられる環境に身を置くことが大切です。
まとめ|美容師の将来性を左右する働き方|正社員・業務委託・フリーランス比較
美容師という職業は、正社員・業務委託・フリーランス・シェアサロン活用など多様な働き方が存在し、将来性を高めるためにはその時々の状況に合った選択が不可欠です。
20代は技術を磨き、30代で収入と働き方のバランスを見直し、40代以降は健康と継続性を重視する。この流れを意識することで、長く安定したキャリアを築けます。
これから美容師を目指す人も、既に働いている人も、自分のキャリアの選択肢を定期的に見直し、スキルアップと顧客基盤の強化を続けることが、美容師としての将来性を高める最大のポイントです。
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