美容室を開業するとき、多くの人が悩むのが立地選びです。
路面店は「人通りが多く集客しやすい」、空中階は「家賃が安くコスト効率が良い」と見えることが多いですが、実際の利益構造は単純ではありません。
- 通行量データ、看板視認性
- MEO(Googleマップ最適化)
- 顧客LTV(生涯価値)
これらを組み合わせて判断する必要があります。
本記事では、美容室開業時に知っておきたい「路面店 vs 空中階」の収益性をデータと戦略の両面から徹底比較します。
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美容室開業で悩む「路面店と空中階」どっちが儲かる?
美容室を開業する際、1階の路面店にするか、2階以上の空中階にするかは、集客や利益構造に大きな影響を与えます。
ここではまず、両者の特徴を一覧で整理してみましょう。
1. 路面店と空中階の集客比較
路面店と空中階では集客の入り口から利益構造まで方向性が異なります。次の章では、それぞれの特徴をより具体的に見ていきましょう。
| 比較項目 | 路面店(1階店舗) | 空中階(2階以上) |
| 集客導線 | 通行量による自然流入が多く、偶然の新規来店が期待できる | 通行客からの自然流入は少なく、WebやSNS経由の「目的来店」が中心 |
| MEO(Googleマップ)対策 | 自動的に露出しやすく上位表示に有利 | 位置が目立ちにくく、口コミ・写真投稿で補う必要あり |
| 家賃・固定費 | 高め(特に駅前・繁華街)だが、認知効果込みで投資価値あり | 家賃が安く、固定費を抑えやすい。利益率が高くなりやすい |
| 来店ハードル | 店舗が見えるので安心感があり、初回来店率が高い | 見えにくさやアクセスの手間で初回ハードルが上がりやすい |
2. 空中階サロンの集客課題
【課題】
- 視認性が低く、通行人に気づかれにくい
- エレベーターや階段の奥まった立地は心理的ハードルが高い
【改善策】
集客課題として、空中階店舗では**「Web集客」や「MEO対策」**が欠かせません。SNSやGoogleマップを活用して「行く前に知ってもらう」仕組みを作ることが、集客成功のカギとなります。
また、1階に大型のA型看板を設置したり、階段の壁面に案内サインを出すなど、「来店までの誘導」を視覚的にデザインすることで、通行人の認知率を大きく高められます。
実際に、こうした導線設計を工夫した結果、通行人の認知率が約1.7倍に向上したというデータもあります(参照:船井総研「美容室立地と導線の最適化レポート2023」)。
どちらの立地を選ぶにしても、導線設計・看板・広告戦略を組み合わせることが収益最大化のポイントとなります。
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通行量×看板視認×MEO「地域集客の黄金バランス」
美容室の集客力を最大化するには、「通行量」「看板視認性」「MEO(Googleマップ最適化)」の3要素を組み合わせることが鍵です。これらは単独でも効果を発揮しますが、掛け合わせることで相乗効果が生まれ、地域検索における“リアル+デジタル”両面からの集客を実現できます。
1. 通行量=潜在顧客数の母数
駅前や大通り沿いなど、人通りの多い立地は潜在的な来店者の母数が大きい
2. 看板視認性=“一瞬で認知される”デザインが鍵
通行量が多くても、看板が目立たなければ意味がありません。
色・サイズ・照明・角度などを工夫し、“一瞬で認知される”デザインが重要
3. MEO=“デジタル上の看板”を活用
Googleマップ検索で上位に出ることで、リアル導線+デジタル導線を融合。
実店舗×MEOの掛け算が最強の地域集客を生みます。MEOは“デジタル上の看板”ともいえる存在で、実際の看板と連動させることで強力なブランディング効果が生まれます。
賃料・人件費・利益率で路面店と空中階を比較
美容室の立地によって、固定費や利益率のバランスは大きく変わります。
ここでは、路面店と空中階の特徴を数字と事例で整理します。
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1. 路面店:高賃料でもLTVで回収できる
路面店は家賃が高くなりがちですが、長期的な視点でLTV(顧客生涯価値)を高めれば回収可能です。
例えば、月家賃30万円の路面店と、月家賃15万円の空中階を比較した場合でも、
- 新規来店数が月50人以上
- 再来率(リピート率)が60%以上
であれば、固定客化によるLTV上昇で家賃差を吸収できます。
さらに、路面店は地域のランドマーク化が進みやすく、口コミや紹介による新規流入が増える傾向があります。
実際に、Googleマップ上で口コミが50件を超える店舗は、検索上位表示率が2.5倍に向上するというデータもあります(参照:MEOラボ「口コミ数と順位相関データ2024」)。
結果として、路面店は高い固定費を支払っても、それ以上の集客・認知効果を生み出す可能性があります。
2. 利益構造の違い:路面店は高回転、空中階は高単価
美容室の収益モデルは、立地によって大きく変わります。
| 項目 | 路面店 | 空中階 |
| 経営モデル | 高回転型:通行量を活かし1日あたりの施術人数で売上を伸ばす | 高単価型:隠れ家・予約制で少人数運営、高単価顧客を狙う |
| 平均単価 | 6,000〜7,000円 | 9,000〜12,000円 |
| 原価率 | 約68%(賃料・材料・人件費含む) | 約57% |
| 売上規模 | 平均1.4倍高い | 単価は高いが回転は少なめ |
日本政策金融公庫「小規模サロン経営データ2024」によると、
- 面店は高回転で売上を伸ばすモデル
- 空中階は高単価で利益率を高めるモデル
に向いています。 そのため、単純に利益率だけで「どちらが儲かるか」を判断することはできません。
3. 空中階の強み:人件費効率と高利益率
空中階のもう一つのメリットは、少人数運営でも収益を最大化できる点です。
- 高単価メニューを設定しやすい
- 予約制・指名制でリピート率を高められる
例)スタイリスト2名+アシスタント1名で月売上1人80万円を確保すれば、家賃差を除いても利益率25%以上を維持可能。
ただし、空中階は新規集客が少ないため、集客を人やWeb施策に依存しやすいというデメリットがあります。
このため、MEOやSNSを組み合わせて安定的な集客ルートを確保することが不可欠です。
LTV(顧客生涯価値)で見る路面店と空中階の儲かり方の違い
1. LTV=平均単価×再来率×継続月数
店舗の利益を左右するのは「単発来店数」ではなく、「顧客生涯価値(LTV)」です。LTVは以下の式で計算されます。
美容経営誌「TOMOTOMO」2024年特集によると、
- 路面店:初回来店が多いが再来率が低め(平均63%)
- 空中階:新規が少なくてもリピート率高め(平均71%、TOMOTOMO2024)
空中階は初回来店数こそ少ないものの、予約制・紹介制を取り入れることでリピート率が高く、LTVで逆転するケースが珍しくありません。
2. 体験価値設計でLTVを高める方法
美容室では、以下のような体験設計がLTV向上に寄与します。
- 初回来店時に次回予約を自然に促す
- 顧客カルテにライフスタイル情報を記録し、施術内容を提案型にする
- 定期的なスタイルカタログ更新でSNS経由の再来を促す
- GoogleマップやInstagramに「スタッフの日常投稿」を継続
このように、MEO・SNS・CRMを組み合わせて「継続来店の仕組み」を構築すれば、立地の差を超えた安定経営が可能です。
美容室の業態別のおすすめな立地
最後に、業態やターゲット層別に「どちらが向いているか」を整理します。
| 業態・スタイル | おすすめ立地 | 理由 |
| トレンド系・若年層狙い | 路面店 | 通行量・SNS映え・初回流入が重要 |
| 高単価プライベートサロン | 空中階 | 落ち着いた雰囲気とコスト効率 |
| メンズ専門店 | 路面店 | 視認性と即時来店の導線が有利 |
| リラクゼーション・スパ併設型 | 空中階 | 静かな環境で高付加価値を演出 |
| フランチャイズ・多店舗展開 | 路面店 | ブランド統一・認知拡大が容易 |
まとめ:路面店と空中階、どっちが儲かるか?
結論として、「路面店と空中階どっちが儲かるか?」は一律には言えません。
重要なのは、立地の特性を理解し、それに合わせた集客・価格・顧客管理の戦略を取れるかどうかです。
【路面店の強み】
- 通行量・視認性・初動MEOに優れる
- 広告効果込みで総合的に集客力が高い
【空中階の強み】
- 賃料効率・LTV・体験価値に優れる
- ブランディングとリピート戦略で長期安定が見込める
どちらを選ぶにしても、MEOデータや口コミ分析を数値で管理し、定期的にKPIを見直すことが持続的な利益向上の鍵です。
最終的には、**「どんな顧客と、どんな時間を共有したいか」**というサロンコンセプトが立地選びの答えを導きます。
路面店でも空中階でも、戦略を伴った立地であれば、必ず結果を出せます。
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