美容師たるものいつかは独立するべき!と考える人も非常に多いことでしょう。ただし、サロンを構えるということは一定の初期費用や日々のランニングコストを含めた開業資金を用意する必要があります。
では、一体いくらの資金を準備すれば良いのか?と疑問に感じることでしょう。
そこで今回は、美容師が独立する場合に必要な開業資金をお伝えしたいと思います。また、全額を自己資金で準備するのは非常に難しいでしょうから、融資を受ける前提でいくらの資金を準備したら良いのかも合わせてお伝えさせていただきます。
美容師が独立する場合に必要な費用
早速、美容師が独立する際に発生する費用からお伝えをさせていただきます。
不動産契約費用
物件を契約する際には、事前に保証金(敷金)を預け入れる必要があります。また、物件を仲介してくれた不動産会社に仲介手数料を支払うことも忘れてはいけません。
- 保証金:家賃の8ヶ月〜10ヶ月
- 仲介手数料:家賃の1ヶ月分
上記の通り、家賃の9ヶ月分〜11ヶ月分程度の費用は発生するでしょう。また、保証金は物件を解約した際に戻ってくる可能性もありますが、物件契約中に戻ることはありませんので、実質費用として考えておく方が懸命です。
内装費用
内装費用の平均は坪あたり40万円〜50万円程度になります。そのため、10坪のサロンであれば400万円〜500万円程度の内装費用が発生する。ということです。
- 1坪あたり:40万円〜50万円
内装費を抑えるポイントは、造作物を作らずに既製品を使う。床を塩ビタイルにする。給排水の突き出し口からシャンプー台までの距離を短くする。などいくつかポイントがあります。
内装工事については、知見がない人も多いと思いますので施工会社に相談しながら坪あたりの費用を40万円程度になるように調整することをおすすめします。
薬剤・備品仕入れ費用
シャンプー・トリートメント・カラー剤・ワゴン・ドライヤーなどなど、接客に必要な機材一式も取り揃える必要がありますが、1店舗目の開業時は、初期発注としてある程度まとまった数を発注しなければならないメーカーもあります。
そのため、必然的に発注量は増加するでしょう。
また、1店舗単位での仕入れになりますのでディラー側の割引も期待できませんので、おおよそ30万円〜100万円程度の予算を確保しておくと安心と言えます。
- 薬剤備品の仕入れ費用:30万円〜100万円程度(仕入れする薬剤や規模により変動)
薬剤費を圧縮するポイントは複数のメーカーを導入するのではなく、特定のメーカーのみに絞りに1メーカーあたりの発注量を増加させてディスカウント交渉するのが良いでしょう。
運転資金
家賃、薬剤仕入れ、人件費、集客媒体、水道光熱費などなど店舗を運営する場合は毎月のコストが発生します。その際、運転資金の1つの目安は想定売上の80%程度と考えておきましょう。オーナー1人のみの場合は45%がコストになります。
- 従業員を雇用する場合:想定売上高の80%がコスト
- 従業員を雇用しない場合:想定売上高の45%がコスト
上記のコストの内訳やオーナーの想定年収のシミュレーションは「美容師が独立すると年収はいくらになる?売上高別にシミュレーション」に記載をしておりますので合わせてご確認頂ければと思います。
美容師の独立資金を想定売上高別にシミュレーション
ここまで、美容師が独立する際に発生する費用をお伝えさせていただきましたが、ここからは想定売上(目標にする売上)から必要になる独立資金の目安をお伝えさせていただきます。
その際、以下の条件を基準にシミュレーションを行います。
- 坪単価:2万円
- 保証金+仲介手数料:9ヶ月分
- 内装費:45万円/坪
- 薬剤仕入れ:想定売上の20%
- ランニングコスト:想定売上の80%×3ヶ月分
- 1人あたりの売上高:60万円/月
- 1客あたりの客単価:6000円
想定売上高 | 想定坪数 | 月額賃料 | 独立資金 |
||||
合計 | 保証金 | 内装費 | 薬剤仕入れ | ランニングコスト | |||
500,000 | 7 | 140,000 | 5,710,000 | 1,260,000 | 3,150,000 | 100,000 | 1,200,000 |
600,000 | 7 | 140,000 | 5,970,000 | 1,260,000 | 3,150,000 | 120,000 | 1,440,000 |
700,000 | 7 | 140,000 | 6,230,000 | 1,260,000 | 3,150,000 | 140,000 | 1,680,000 |
800,000 | 12 | 240,000 | 9,640,000 | 2,160,000 | 5,400,000 | 160,000 | 1,920,000 |
900,000 | 12 | 240,000 | 9,900,000 | 2,160,000 | 5,400,000 | 180,000 | 2,160,000 |
1,000,000 | 12 | 240,000 | 10,160,000 | 2,160,000 | 5,400,000 | 200,000 | 2,400,000 |
1,100,000 | 12 | 240,000 | 10,420,000 | 2,160,000 | 5,400,000 | 220,000 | 2,640,000 |
1,200,000 | 15 | 300,000 | 12,570,000 | 2,700,000 | 6,750,000 | 240,000 | 2,880,000 |
1,300,000 | 15 | 300,000 | 12,830,000 | 2,700,000 | 6,750,000 | 260,000 | 3,120,000 |
1,400,000 | 15 | 300,000 | 13,090,000 | 2,700,000 | 6,750,000 | 280,000 | 3,360,000 |
1,500,000 | 15 | 300,000 | 13,350,000 | 2,700,000 | 6,750,000 | 300,000 | 3,600,000 |
1,600,000 | 15 | 300,000 | 13,610,000 | 2,700,000 | 6,750,000 | 320,000 | 3,840,000 |
1,700,000 | 18 | 360,000 | 15,760,000 | 3,240,000 | 8,100,000 | 340,000 | 4,080,000 |
1,800,000 | 18 | 360,000 | 16,020,000 | 3,240,000 | 8,100,000 | 360,000 | 4,320,000 |
1,900,000 | 18 | 360,000 | 16,280,000 | 3,240,000 | 8,100,000 | 380,000 | 4,560,000 |
2,000,000 | 18 | 360,000 | 16,540,000 | 3,240,000 | 8,100,000 | 400,000 | 4,800,000 |
2,500,000 | 21 | 420,000 | 19,730,000 | 3,780,000 | 9,450,000 | 500,000 | 6,000,000 |
3,000,000 | 24 | 480,000 | 22,920,000 | 4,320,000 | 10,800,000 | 600,000 | 7,200,000 |
3,500,000 | 27 | 540,000 | 26,110,000 | 4,860,000 | 12,150,000 | 700,000 | 8,400,000 |
4,000,000 | 30 | 600,000 | 29,300,000 | 5,400,000 | 13,500,000 | 800,000 | 9,600,000 |
4,500,000 | 33 | 660,000 | 32,490,000 | 5,940,000 | 14,850,000 | 900,000 | 10,800,000 |
5,000,000 | 36 | 720,000 | 35,680,000 | 6,480,000 | 16,200,000 | 1,000,000 | 12,000,000 |
5,500,000 | 39 | 780,000 | 38,870,000 | 7,020,000 | 17,550,000 | 1,100,000 | 13,200,000 |
6,000,000 | 42 | 840,000 | 42,060,000 | 7,560,000 | 18,900,000 | 1,200,000 | 14,400,000 |
仮に月間売上100万円のサロンを作りたい場合は、開業資金として1000万円程度は準備が必要な計算になります。また、中堅クラスの売上400万円のサロンを作る場合は2930万円程度の開業資金を準備しなければ運転資金がショートするリスクが高いでしょう。
上記のように、美容室を1つ作るだけでも数千万円の開業資金が必要になることから、相当な覚悟を持って開業する必要があると言えます。
自己資金はいくら準備すれば良い?
美容室を作ろうにも数千万円の現金を準備できる人などほぼいないことでしょう。事実、美容師の平均年収は200万円代後半です。
そのため、数千万円の現金どころか貯金すらない。という美容師も多いはずです。その際、出番になるのが日本政策金融公庫からの融資になる訳ですが、全額融資をしてくれることはほぼ無く30%程度は自己資金が必要になります。
先ほどの開業資金の一覧表から自己資金額を算出してみたいと思います。
想定売上高 | 独立資金 | 自己資金 |
500,000 | 5,710,000 | 1,713,000 |
600,000 | 5,970,000 | 1,791,000 |
700,000 | 6,230,000 | 1,869,000 |
800,000 | 9,640,000 | 2,892,000 |
900,000 | 9,900,000 | 2,970,000 |
1,000,000 | 10,160,000 | 3,048,000 |
1,100,000 | 10,420,000 | 3,126,000 |
1,200,000 | 12,570,000 | 3,771,000 |
1,300,000 | 12,830,000 | 3,849,000 |
1,400,000 | 13,090,000 | 3,927,000 |
1,500,000 | 13,350,000 | 4,005,000 |
1,600,000 | 13,610,000 | 4,083,000 |
1,700,000 | 15,760,000 | 4,728,000 |
1,800,000 | 16,020,000 | 4,806,000 |
1,900,000 | 16,280,000 | 4,884,000 |
2,000,000 | 16,540,000 | 4,962,000 |
2,500,000 | 19,730,000 | 5,919,000 |
3,000,000 | 22,920,000 | 6,876,000 |
3,500,000 | 26,110,000 | 7,833,000 |
4,000,000 | 29,300,000 | 8,790,000 |
4,500,000 | 32,490,000 | 9,747,000 |
5,000,000 | 35,680,000 | 10,704,000 |
5,500,000 | 38,870,000 | 11,661,000 |
6,000,000 | 42,060,000 | 12,618,000 |
上記の通り、開業資金が1000万円必要な場合は、300万円程度の自己資金は準備する必要があります。また、売上400万円程度のサロンを目指す場合は自己資金が880万円も必要になります。
そのため、初めての1号店を出す時は比較的小さめなサロンを出すか?自己資金をしっかりと貯めておく必要あるでしょう。
自己資金が足りない場合の対処法
自己資金がどうにも貯まらない…それでも独立したい。という美容師に向けて対処法をお伝えしたいと思います。
事業計画書で収益性の高さをアピールする
貸手(日本政策金融公庫)からすると、貸したお金が利息を付けてちゃんと帰ってくれば何も問題ない訳です。
そのため、現在勤めているサロンから至近距離に新規開業し、顧客を一定の割合で引き抜き出来るような場合は、自己資金が足りなくても融資が実行されるケースがあります。
ただし、審査する担当者などによっても結果は変わりますのであくまで気休め程度だとご理解頂ければと思います。
シェアサロンを利用する
シェアサロンを利用すれば、店舗、機材、備品などが全て揃った状態ですぐに独立することが可能です。シェアサロンのSALOWINを利用すれば、多少の薬剤費は発生するもののそれ以外の費用はゼロになります。
シェアサロンってなに?という方は「シェアサロンとは?美容師視点のメリット・デメリットを徹底分析」をご確認ください
さらに、自分でサロンを構える場合とシェアサロンのSALOWINを利用する場合では収入はどちらの方が大きくなるのか?シミュレーションした結果、なんとSALOWINを利用した方が収入が高くなる結果となりました。
売上高 | 当社(シェアサロン/集客なし ) 売上80%-固定5万円-薬剤10% |
当社(シェアサロン/集客あり ) 売上20%+固定8万円+薬剤10% |
オーナー1人のみ (売上に対して55%が取り分) |
従業員を雇用する場合 (売上に対して20%が取り分) |
300,000 | 160,000 | 130,000 | 165,000 | 60,000 |
400,000 | 230,000 | 200,000 | 220,000 | 80,000 |
500,000 | 300,000 | 270,000 | 275,000 | 100,000 |
600,000 | 370,000 | 340,000 | 330,000 | 120,000 |
700,000 | 440,000 | 410,000 | 385,000 | 140,000 |
800,000 | 510,000 | 480,000 | 440,000 | 160,000 |
900,000 | 580,000 | 550,000 | 495,000 | 180,000 |
1,000,000 | 650,000 | 620,000 | 550,000 | 200,000 |
1,100,000 | 720,000 | 690,000 | 605,000 | 220,000 |
1,200,000 | 790,000 | 760,000 | 660,000 | 240,000 |
1,300,000 | 860,000 | 830,000 | 715,000 | 260,000 |
1,400,000 | 930,000 | 900,000 | 770,000 | 280,000 |
1,500,000 | 1,000,000 | 970,000 | 825,000 | 300,000 |
上記のように、現在は自分でサロンを構えるだけが独立ではなくなったと言えますので、シェアサロンを含めて柔軟に検討することが重要と言えるでしょう。
まとめ
美容師が独立する場合の資金について解説を行いました。
不動産契約、内装、薬剤、運転資金など多くの費用を負担しなければならないサロン開業は夢でもあると思いますが、非常にリスクが大きい選択にもなります。
シェアサロンのSALOWINであれば、自己資金ゼロでもすぐに独立ができますので、まずは自分の腕試しも含めて利用を検討するのが良いと言えるでしょう。