この記事でわかること
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美容室を開業する際、多くの方が悩むのが「美容室の内装費用」の問題です。サロンの雰囲気を左右する内装は、単なる装飾ではなく、来店したお客様に印象を与える重要な要素であり、スタッフの働きやすさにも大きく関わります。
本記事では、内装費用の相場、規模別の目安、費用の内訳、そしてコストを抑えるコツまでを徹底解説。これから美容室を開く方が安心して準備できる様に、わかりやすくご紹介していきます。
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美容室における内装の役割とは?
美容室の内装は、顧客の来店動機や、リピート率に大きな影響を与えるものです。外観や設備が洗練されていることで、「この店にまた来たい」と感じてもらえる可能性が高まります。
一方で、デザイン性ばかりを追求すると内装費用が跳ね上がるリスクもあるので、経営とのバランスを見極めることが重要です。
ブランドイメージの形成
例えば、「ナチュラル系」、「ラグジュアリー系」、「モダン系」など、内装のテイストは、そのまま店舗の世界観を表現します。おしゃれで居心地の良い空間は、美容室のブランディングにも直結して、地域の中での差別化にも繋がります。
また、美容室の内装設計は、スタッフ動線や作業効率を考慮することも必要です。快適な職場環境を整えることは、離職率の低下にも貢献します。
美容室の内装費用:坪単価と規模別の目安
「美容室の内装費用」の大まかな指標として、よく使われるのが坪単価です。こちらは、1坪あたりの工事費を基準に算出する方法で、設計・施工の内容によって大きく上下します。
坪単価の目安
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例えば、20坪の美容室をオープンする場合、800万円〜1,200万円程度が目安になります。デザインや仕様、使用する素材などによっては、こちら以上になることも珍しくありません。
規模別に見る美容室の内装費用の相場
小さな店舗では、設備の単価が相対的に高くなり、坪単価が上昇しやすくなります。逆に広いスペースであれば、1坪あたりのコストは、やや抑えられる傾向にあります。
◼︎小規模サロン(〜30㎡)
- 基本内装:100万〜200万円
- 美容設備:50万〜100万円
- 家具・インテリア:30万〜50万円
- 空調・照明など:20万〜50万円
- 総額目安:200万〜400万円程度
◼︎中規模サロン(30㎡〜60㎡)
- 基本内装:200万〜400万円
- 美容設備:100万〜200万円
- 家具・インテリア:50万〜100万円
- 空調・音響など:30万〜60万円
- 総額目安:400万〜800万円程度
◼︎大規模サロン(60㎡〜)
- 基本内装:400万〜800万円
- 美容設備:200万〜400万円
- 家具・インテリア:100万〜200万円
- 空調・演出設備など:50万〜100万円
- 総額目安:800万〜1,400万円程度
美容室の内装費用を構成する主な項目
1. 基本工事(造作・内装仕上げ)
床材、壁材、天井などの内装仕上げに関わる工事です。使用する素材や、デザイン性の高い加工が入ると、コストは上がります。
2. 美容機器の導入
シャンプーユニット、スタイリングチェア、カットミラーなどの設備機器の導入費です。国内外メーカーにより価格差が大きく、1セットで数十万円以上になることもあります。
3. 家具や什器の購入
待合スペースのソファ、レジカウンター、収納棚など、デザイン性と実用性の両立が求められる部分です。
4. 空調・照明・音響システム
快適な環境を演出する照明や空調、リラックスできる音響設備なども重要なポイントで、美容室の滞在価値に関わります。
工事区分の種類と内装費への影響
美容室の内装工事は、テナントの契約上「A工事」、「B工事」、「C工事」に区分されることがあります。
- A工事:ビルオーナーが行う共用部や基幹設備の工事
- B工事:テナントの要望によりオーナーが発注・管理する工事
- C工事:テナントが直接手配する内装工事
美容室の内装費用において、主に影響するのはC工事です。自分で選定・発注する分、業者選びや価格交渉の余地が大きくなります。
美容室の内装費用を抑える4つのテクニック
1. 居抜き物件を活用する
内装費を大幅に抑える最も有効な手段の一つが、「居抜き物件」の活用です。前のテナントが美容室だった場合、シャンプー台や給排水設備、ミラー、椅子などが、そのまま残っていることも多く、内装の初期投資を数百万円単位で削減できます。
注意点
ただし、設備の老朽化や保健所基準の変更により、使えないケースもあるので、事前の設備点検と自治体への確認は必須です。
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2. DIYでできる部分は自分で行う
クロスの張り替え、ペイント、什器の組み立てなど、専門的な技術を必要としない作業は、DIYで対応しましたら、工事費を抑えられます。特にスタッフや友人に器用な人がいれば、協力を仰ぐのも一つの手段です。
注意点
配線・配管などのインフラ部分は、資格が必要で、無許可の工事は、法令違反になる可能性があるので、プロに依頼しましょう。
3. 相見積もりを取って比較する
内装業者の見積もり金額には、数十万円以上の差が出ることも珍しくありません。必ず2〜3社以上から相見積もりを取り、内容や価格を比較しましょう。中間マージンが発生しない「元請け業者」に直接依頼することで、費用を抑えられるケースもあります。
4. 補助金・助成金を活用する
自治体や商工会議所では、創業支援や設備導入に対して、補助金・助成金を支給している場合があります。
「小規模事業者持続化補助金」や「創業支援補助金」などは、美容室の開業にも利用可能です。また、申請には事業計画書や見積書が必要なことが多いので、事前に制度を調べて準備を整えておきましょう。
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美容室の内装工事の基本的な流れ
1. コンセプトの設計・レイアウトの決定
まずは、美容師のコンセプトを明確にして、そちらに基づいて、内装デザインやレイアウトを決定します。ターゲット層や価格帯に合った空間づくりが重要です。動線や視線設計、作業効率なども考慮しましょう。
2. 業者の選定・見積もりの取得
次に、内装工事業者を選定します。実績や専門性、口コミをチェックして、可能であれば、現地での打ち合わせを行いましょう。複数社から見積もりを取得して、価格と提案内容のバランスで判断するのが理想的です。
3. デザインの確定・契約の締結
プランのすり合わせを経て、内装デザインと見積金額が確定したら、正式に契約を締結します。こちらで、工期や支払い条件、変更が発生した場合の対応などを明記した契約書を交わすことが重要です。
4. 着工・中間チェック
実際の工事が始まると、設計通りに進んでいるかどうかを、定期的にチェックしましょう。特にシャンプー台の配管や電気系統などは、後から修正が難しいので、早い段階で確認を行うと安心です。
5. 引き渡し・検査・アフターサポート
工事完了後は、仕上がりや不備の有無を、しっかり確認してから引き渡しを受けます。内装業者によっては、引き渡し後の不具合に対応する保証期間を設けている場合もあるので、契約時に確認しておきましょう。
美容室の内装工事のよくある失敗例とその回避方法
例①コストをかけすぎて資金繰りに影響する
内装にこだわるあまり、予算を大幅にオーバーして、運転資金が不足するという失敗例は少なくありません。見た目の美しさだけでなく、投資回収が可能かどうかも含めた「収支バランス」の設計が必要です。
回避方法
まずは、初期予算と運転資金を分けて管理して、必要以上の装飾にお金をかけない判断が求められます。
例②美容室専門業者ではないので、施工ミスが発生する
内装業者によっては、美容室に特化していないために、照明の配置ミスや、水回りの設計不備が起きるケースもあります。こちらによって、後日やり直しの費用が発生する可能性があります。
回避方法
美容室専門の施工実績が豊富な業者を選び、現場経験のある担当者と直接やり取りを行うことが重要です。
例③保健所や消防法の基準を満たしていない
せっかく工事を終えても、保健所や消防の検査で不備を指摘されて、営業許可が下りないこともあります。特に給排水・換気・消火器の設置位置など、法令による制限を甘く見てはいけません。
回避方法
事前に保健所や消防署への相談を行い、設計段階から法令基準を反映する様に、業者と連携を取ることが大切です。
集客力を高める美容室の内装デザインのポイント
第一印象を決定づける「外観」の重要性
美容室の集客において、まず最初に目に入るのが店舗の外観です。特に路面店に該当する内容です。看板やファサード、ウィンドウ越しに見える店内の雰囲気は、通行人にとって、「このお店に入ってみたい」と思わせる大切な要素になります。
ナチュラルテイストやモダン、アンティーク調など、サロンのコンセプトに合わせた外装デザインを構築することで、ブランドイメージの定着にもつながります。
また、夜間でも視認性の高い照明を設置することで、視線を引きつけやすくなり、集客効果も上がります。実際に、ライトアップされたサロンは、夜でも営業している安心感を与え、働く女性などが、帰宅途中に立ち寄りやすくなるというメリットがあります。
店内の「導線設計」はリピーターの獲得に直結する
集客を目的とした内装では、単におしゃれなだけでなく、お客様の導線をスムーズに設計することが大切です。
例えば、受付からカットブースへの流れ、シャンプー台の位置、待合スペースと施術エリアの距離感などを意識して配置すると、無駄な動線を減らし、快適な体験を提供できます。
「何度もリピートしたくなる店」は、内装の見た目だけでなく、居心地の良さを感じられるレイアウトが施されていることが多いです。スタッフにとっても動きやすく、業務効率を高められる構造にしておくことで、施術の質も自然と向上していきます。
視覚だけでなく「五感」を活かす設計がカギ
美容室の内装では、視覚的な美しさだけでなく、音や香り、手触りといった五感に訴える要素も、来店者の満足度を高める重要な要因です。
例えば、音響面ではリラックスできるBGMを流せるスピーカー配置、香りではアロマディフューザーなどを使い、施術中も心地よく過ごしてもらえる空間をつくります。家具や什器も、デザイン性と触り心地の両立ができる素材を選ぶことで、全体の空間が洗練された印象になります。
こうした空間の演出が、SNS映えにもつながり、写真を撮って投稿されることで、自然な拡散効果が生まれ、集客へとつながっていきます。
インスタ映えを意識した「写真スポット」の設置
近年では、SNSを活用した集客が、美容室の経営において欠かせない要素になっております。その中でも「写真を撮りたくなる場所」があることで、来店者が自発的に情報発信してくれるチャンスが増えます。
例えば、おしゃれなネオン看板や、フォトウォール、印象的なミラーや照明などは、顧客が施術後に撮影しやすく、「#美容室」「#髪質改善」などのハッシュタグ付きで、拡散されることも期待できます。
こうした映えるポイントは、内装費用としては、わずかな追加投資で設置可能ですが、集客面では大きなリターンをもたらす可能性があるので、計画段階から組み込んでおくと効果的です。
ブランドの世界観を体現する内装でファンを獲得
最終的に、内装は「そのお店らしさ」を形にするものです。ターゲット層(例えば20代女性・30代メンズなど)に合わせた色使いや、インテリアのトーンを明確にして、統一感を持たせた空間づくりが、ブランドの価値を高めてくれます。
例えば、ナチュラル系でいくなら、観葉植物や木目の家具を基調とした優しい空間、モード系であれば、コンクリートの打ちっぱなしや無機質な照明などを用いた都会的な空間など、コンセプトに応じた内装デザインが、ファンづくりと長期的なリピーター獲得に貢献します。
まとめ
美容室の内装費用は、平均して300〜800万円が相場とされていますが、工夫次第でこれを大幅に圧縮することが可能です。
居抜き物件の活用やDIY、補助金制度の活用、相見積もりの徹底などを通じて、コストと品質のバランスを見極める力が求められます。
また、内装工事の流れを理解して、失敗例から学ぶことも成功の秘訣です。特に初めての開業であれば、経験者や信頼できる業者からアドバイスを受けながら、無理のない資金計画を立てることが最も重要です。
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