「独立してフリーランスになろう」と決めたとき、ぶつかるのが“開業届”という壁。
税務署に出す書類ってだけで、なんだか難しそう…そんなふうに感じていませんか?
実際、開業届の手続きは思っているより難しくないです。
しかし、出すタイミングや書き方を間違えると損をしてしまうことも。
税務のことが不安でも安心してください。
美容師という職業に合わせて、この記事では、「開業届ってなに?」「いつ出せばいいの?」「出し方は?」といった疑問をできるだけわかりやすく解説しました。

開業届とは?フリーランス美容師が出すべき理由【3つの効果】
開業届とは何か?
フリーランスとして独立する際、最初に必要になるのが「開業届」の提出です。
これは税務署に出す「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類で、これを提出することで、あなたは正式に“個人事業主”として認められます。
出さなければどうなる?
実際に、提出しなくても仕事は可能です。
しかし、出さないことで大きなデメリットとなる可能性があります。
比較項目 | 開業届を出す | 出さない |
青色申告(節税) | 可能(最大65万円控除) | 不可(白色申告のみ) |
信用力(融資・契約) | 上がる | 低いまま |
節税メリット | 経費計上できる | 範囲が限定される |
フリーランス美容師こそ開業届が必要な理由
美容師業は材料費、道具代、シェアサロン利用料など経費が多い業種です。
そのため、節税効果が大きくなる青色申告を活用できるかどうかは、年収に直結します。
さらに、物件契約時や設備ローンを組む際に「個人事業主」としての立場がはっきりしていると、契約がスムーズに進むことも。
実際にフリーランス転向後、開業届を出していなかったことで物件契約に苦労したという声もあります。
開業届はいつ出すべき?タイミングのベストは?
開業届っていつ出せばいいのか?これは多くのフリーランス美容師が最初に悩むポイントです。
提出のタイミングを間違えると、青色申告などの税制メリットを逃すことになるので要注意です。
法律上の提出期限
原則として、「開業日から1か月以内」に提出するのが望ましいと、税務署でも案内されています。
※開業日は自分で自由に決められますが、実際に売上が発生した日、契約を交わした日などが一般的な基準になります。 |
美容師に多い開業タイミング
美容師業界では、以下のような場面で「開業」と見なされるケースが多いです。
タイミング | 開業届提出の目安 |
業務委託契約を結んだ | 契約締結後すぐ(開業日=契約日) |
シェアサロンに登録して働き始めた | 初出勤日を開業日とするのが一般的 |
自宅サロン・テナントで開業した | 初めて施術を行った日 |
提出が遅れると何がマズいか?
開業届の提出が遅れると、青色申告の申請期限にも影響してしまいます。
青色申告を利用するには、「開業から2か月以内」に別途『青色申告承認申請書』を提出する必要があり、この期限を過ぎてしまうと、今年の確定申告では青色申告を使うことができません。
つまり、提出が遅れるだけで、最大65万円の控除を受けることができず、数十万円レベルの節税チャンスを失ってしまう可能性があります。
迷ったら、「最初の施術日」または「契約開始日」を開業日にして、1か月以内に提出しましょう。
開業届の書き方【記入例つき】
「開業届ってどう書けばいいの?」と不安に思うかもしれませんが、必要な情報はとてもシンプルです。
開業届の入手方法
- 国税庁の公式サイトからダウンロード
- 最寄りの税務署の窓口で直接もらう
記入は手書きでもOK。e-Taxを使えばオンラインで提出も可能です。
開業届の記入項目と具体例
項目 | 記入内容の例 |
氏名・住所 | 本人の氏名と、住民票に記載された自宅住所 |
事業の名称 | 「フリーランス美容師 ◯◯」など(屋号があれば記載) |
開業日 | 実際に施術を始めた日や契約を結んだ日など |
職業 | 「美容業」または「理容・美容サービス業」など |
事業所の所在地 | 契約したシェアサロンの住所 |
屋号 | 任意(SNS名・ブランディング名でもOK) |
書き方の注意点3つ
①「屋号」はブランディングに影響する
SNS名やロゴに使うこともあるため、イメージと一致する名前を慎重に決めましょう。(あとから変更も可能)
②「開業日」は証明できる日付に
請求書、業務委託契約書、シェアサロン登録日など、後から証明できる日付にすると安心です。
③「職業」はざっくりでOK
「美容師」だけでなく「美容業」「ヘアスタイリスト」でも通ります。
提出方法を比較!窓口・郵送・e-Taxのメリット・デメリット
開業届の記入が終わったら、次は提出です。方法は3つありますが、どれも難しくありません。自分に合った提出方法を選ぶことが大切です。
どこに出す?
- 納税地を管轄する税務署(基本は住民票の住所 or 事業所の所在地)
- 国税庁の「税務署の所在地・案内」ページで検索可能
3つの提出方法
方法 | 特徴・メリット | 注意点 |
窓口提出 | その場で受領印がもらえて安心 | 平日・日中しか対応していない |
郵送提出 | 税務署に行かずに提出できる | 返信用封筒と切手を忘れずに同封 |
e-Tax提出 | オンラインで完結。自宅から可能 | マイナンバーカードとカードリーダーが必要 |
提出時に必要なもの一覧
開業届は、提出のタイミングと書類さえ揃えばすぐに完了できる手続きです。
とくに初心者には、税務署の窓口で直接出す方法がおすすめ。職員がその場で確認してくれるので、安心して提出できます。
必要書類 | 内容・備考 |
開業届(原本) | 正式に提出するための書類 |
控え(コピー) | 受領印をもらって自分で保管 |
本人確認書類のコピー | マイナンバーカード or 運転免許証など |
返信用封筒(郵送時) | 自分の住所を書いた封筒+切手(控えを返送用) |
開業届は、提出のタイミングと書類さえ揃えばすぐに完了できる手続きです。とくに初心者には、税務署の窓口で直接出す方法がおすすめ。職員がその場で確認してくれるので、安心して提出できます。
開業届提出後にやるべき2つの税務手続き
開業届を提出しただけでは、節税メリットはまだ不完全です。フリーランス美容師として確定申告や経費管理で損をしないために、やるべき2つの税務手続きを必ず確認しましょう。
①青色申告承認申請書の提出(※必須)
青色申告を使うには、この書類の提出が必須です。提出すれば、最大65万円の所得控除や、赤字の繰越、家族への給与支払いの経費化などが可能になります。
項目 | 内容 |
提出期限 | 開業日から2か月以内 |
提出先 | 開業届を出した税務署と同じ |
主なメリット |
|
期限を過ぎると、その年は白色申告になり、控除が一切使えなくなります!
②消費税課税事業者選択届出書(※条件付き)
売上が伸びてきたときに関係してくるのが、この届出です。売上が年間1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。
項目 | 内容 |
提出対象者 | 年商1,000万円超えが見込まれる人 |
提出のタイミング | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日 |
主なメリット | 高額な設備・仕入れがあるときに消費税の「還付」が受けられる場合あり |
注意すべきポイント ・青色申告承認申請書は、開業届と同時 or 開業から2か月以内に必ず提出! →詳しくは【2025年版】美容師の青色申告と会計ソフト比較|フリーランスの確定申告をやさしく解説!】でわかりやすく解説しています!・消費税関連の届出は、該当しない人は提出しなくてもOK。 ただし、売上が急増する見込みがあるなら、事前に税理士などへ相談を。 →詳しくは【フリーランス美容師が知っておくべきインボイス制度とは?仕組みや対応方法を徹底解説】でわかりやすく解説しています! |
どちらも知らずにスルーしてしまうと節税チャンスを失う可能性があるので、今のうちに、きちんと確認・提出しておきましょう。
開業した美容師2名のリアルな体験談
「開業届を出すべきか迷っている…」「実際に出すと何が変わるの?」
そんな方のために、実際にフリーランスとして活動している美容師2名の事例をご紹介します。リアルな体験談は、不安解消のヒントになります。
事例)29歳女性・シェアサロンで独立
スタイル:都内の人気エリアで業務委託契約 → フリーランスへ転向
項目 | 内容 |
活動拠点 | シェアサロン |
開業届提出の効果 | 青色申告を活用 → 約20万円の節税に成功 |
その他の変化 | クレジット契約・ローン審査がスムーズに通過 |
事例)35歳男性・自宅サロンを開業
スタイル:マンションの1室で完全予約制のヘアサロンを開業
項目 | 内容 |
活動拠点 | シェアサロン |
開業届提出の効果 | 青色申告を活用 → 約20万円の節税に成功 |
その他の変化 | クレジット契約・ローン審査がスムーズに通過 |
開業届は節税対策だけでなく、仕事の信用やブランド力を高めるうえで欠かせないものとなります。
今、活躍している多くのフリーランス美容師も、最初は不安を抱えていました。ですが、思いきって行動したことで、仕事のチャンスも収入の可能性もどんどん広がっていったのです。
よくある質問5選|知らなきゃ損するQ&A
Q. 開業届を出し忘れていたらどうなる?
A. 青色申告が使えず経費計上ができない可能性があります。
開業届を出さないと、青色申告の承認申請 も提出できず、65万円の控除などが使えません。すでに業務を始めていた場合でも、「今からでも出す」ことで今後の申告や節税には間に合います。
Q2. 開業届は取り下げられる?
A. 「廃業届」を出せば取り下げることも可能です。
もし開業届を出したあとに、フリーランスを辞める・別の形態で働くことになった場合は、「個人事業の廃業届出書」を税務署に提出すれば取り下げられます。
状況が変わっても、しっかり対応できるので安心です。
Q3. 自宅サロンでも開業届は必要?
A. 場所に関係なく「収益を得る」なら必要です。
フリーランス美容師が自宅でサービスを提供する場合も、れっきとした事業とみなされます。サロンの広さや規模に関係なく、開業届は提出しておく必要があります。
まとめ|開業届で未来のフリーランス美容師人生を変える
フリーランス美容師として独立を目指すとき、「開業届」は最初に向き合うべき大事なステップです。
開業届は、一見ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、実際はシンプルな手続きです。
正しく提出すれば、節税・信用力・ブランディングの面で確かな効果が得られます。また、開業届をきっかけに、仕事の幅が広がった美容師たちの実例もたくさんあります。
大切なのは、「今のうちに知っておくこと」、そして「行動に移すこと」です。
「フリーランスになりたいけど、実際何から始めたらいいか分からない」
「いつか独立したいけど、まだ早いかな…」
このような不安と気持ちをお持ちでしたら、まずは“開業日”を決めてみましょう!
今後、美容師として、キャリアの幅が広がるチャンスです。
