美容室を開業してお店を開くとき、多くの人が気にするのは「どこに出店するか」「どんな内装にするか」などです。ですが、お客様がどうやってお金を払うかという「決済方法」も、とても大切なポイントです。
最近では、「キャッシュレス対応していますか?」といった質問をされることが当たり前になっています。現金しか使えないと、お客様に不便を感じさせてしまい、来店をためらわれることもあります。
本稿では、
- なぜ、キャッシュレス決済が必須なのか
- どの決済サービスを選び、どう導入すればいいのか?
- 補助金を活用してお得に始める方法とは?
を、初めての方にもわかりやすく紹介します。
これから美容室をオープンしようとしている方、すでに開業したけど決済をどうするか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
👉美容室開業時の費用・手続き・物件選びについての記事はこちら!
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なぜ今、美容室にキャッシュレス対応が必要なの?
美容室を開業する際に、つい見落としがちなのが「お客さまがどうやって支払うか」という部分です。内装や集客方法にばかり気を取られて、支払い方法の準備が後回しになってしまうケースは少なくありません。
しかし今の時代、美容室でもキャッシュレス決済に対応しているかどうかは、お客さまにとって非常に大きなポイントになっています。
お客さまの支払い方が変化している
最近では、現金を使わずにクレジットカードやスマホで支払いをする人が急増しています。経済産業省の調査によると、2024年の日本国内のキャッシュレス決済の利用率はすでに全体の42.8%を超えています(出典元:経済産業省公式サイト) 。
特に、美容室のメイン顧客層である20代〜40代の女性は、PayPayやクレジットカードなどのスマホ決済を使うことに慣れており、「現金しか使えないお店=不便なお店」と感じられてしまうことも。
つまり、キャッシュレス対応ができていないだけで、お客さまを逃してしまう可能性があるのです。
キャッシュレス決済はお店にとってもメリットだらけ
キャッシュレスはお客さまのためだけではありません。美容室の運営にとっても、多くのメリットがあります。
- お会計が早く済むため、施術後すぐに次のお客さまを案内しやすくなる
- 現金の管理やレジ締め作業の手間が減る(ミスも減少)
- 現金を直接触らないので衛生的で、感染症対策としても安心感がある
- POSレジと組み合わせることで、売上データや予約傾向を自動で記録・分析できる
特に、POSと連携すれば、1日の売上や来店状況をすぐに確認できるようになり、経営者としての判断もしやすくなります。
美容室で導入可能なキャッシュレス決済手段とPOSの基礎
美容室を開業する際、いまやキャッシュレス決済は必須の設備です。現金だけでは「不便」と感じるお客様が多く、特に20〜40代のスマホユーザーにはキャッシュレス対応が当たり前になっています。
主なキャッシュレス決済には、「クレジットカード」「QRコード決済」「電子マネー」の3つがあり、どれも導入することで顧客満足度の向上と、会計業務の効率化が期待できます。
さらに、POS(販売時点情報管理)システムを使えば、会計・予約・顧客管理・売上分析までを一括で行えるため、美容室の運営にとって非常に便利です。
💡 決済手段とPOSの比較図
項目 | 特徴 | 主なサービス例 | おすすめポイント |
クレジットカード決済 | 高額施術に強い/信頼性が高い | VISA, MasterCard, JCBなど | 幅広い年齢層に対応/売上の安定性あり |
QRコード決済 | 若年層に人気/非接触で安心 | PayPay, 楽天ペイ, d払い | スマホで簡単決済/導入コスト低め |
電子マネー | 少額決済に強い/通勤層に有効 | Suica, iD, QUICPayなど | スピーディーな会計が可能 |
POSシステム | 会計・顧客・予約・売上管理を一括管理 | Square POS, Airレジなど | 店舗運営が一気に効率化される |
このように、それぞれの決済手段には得意分野があり、POSシステムとの組み合わせでさらに効果を発揮します。お店の規模やターゲット層に合わせて、最適な組み合わせを選びましょう。
美容室のキャッシュレス決済導入の流れと必要な書類
美容室でキャッシュレス決済を導入するには、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
特に、開業直後やプレオープン中は忙しくなりがちなので、スムーズな導入のために必要な書類を理解しておきましょう。
①導入前に確認すること
まず、自分のサロンにどんなお客さまが来るかをイメージしましょう。
たとえば、20〜30代の女性が多いなら、スマホ決済に対応しておくと喜ばれます。
また、1日の来店数が多いなら、処理が早い端末を選ぶと会計もスムーズになります。
②導入のステップ
キャッシュレス決済の導入は、次のようなステップで進みます。とてもシンプルなので、事前に必要なものをそろえておけば、1〜2週間で利用を開始できます。
💡 導入ステップの流れ
ステップ | 内容 |
① サービスを選ぶ | 手数料や対応ブランドを比較して決定 |
② オンライン申込 | 各サービスの公式サイトから申し込む |
③ 必要書類を提出 | 身分証明書、開業届、銀行口座情報などをアップロード |
④ 審査 | 通常は1週間〜10日で審査結果が届く |
⑤ 端末の設置・確認 | 届いた端末を設定し、試しに決済してみる |
このように、複雑そうに見えて実はとてもシンプルです。早めに申し込めば、オープン初日からスムーズにキャッシュレス決済が使える状態になります。導入が遅れてお客さまに「現金のみでのご対応です。」と言うことがないように、計画的に進めましょう。
補助金・助成金を活用し美容室開業時のコストを抑える
美容室を開業するにあたって、キャッシュレス決済やPOSシステムの導入にはどうしても機材費や初期コストがかかります。ですが、これらの費用は**国や自治体の「補助金制度」**を活用することで、大幅にカットできる可能性があります。
ここでは、美容師の独立やサロン開業に使える代表的な2つの補助金をご紹介します。
補助金・助成金名 | 対象経費 | 補助額・補助率 | 申請方法 | 申請期間 |
小規模事業者持続化補助金 | 店舗PR・集客、キャッシュレス決済導入 | 最大50万円(対象費用の2/3) | 事業計画書の提出 | 年3〜4回公募 |
IT導入補助金 | POSレジ、予約システム、顧客管理 | 最大150万円(1/2または2/3) | IT導入支援事業者経由 | 定期公募 |
① 小規模事業者持続化補助金(一般型)
「小規模事業者持続化補助金」は、国(中小企業庁)が実施している制度で、個人事業主や小さな店舗の経営を応援するための補助金です。
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この制度では、以下のような「販路拡大(=お客さまを増やすための取り組み)」にかかった費用の一部が補助されます。
💡 美容室で使える対象経費の例
活用場面 | 内容例 |
店舗のPR・集客 | チラシ作成、看板デザイン、Instagram広告、ホームページ制作など |
キャッシュレス対応 | 決済端末(Square、AirPAYなど)の導入、関連機材の購入 |
POS・顧客管理 | POSレジ本体の購入、顧客情報管理ソフトの導入 |
サロンの環境改善 | 店舗内の照明・レイアウト変更など(※販促目的であれば対象) |
✅ 美容師さんにとってのメリット
- 開業時の「最初の出費(広報・設備)」を大幅にカバーできる
- チラシやホームページなど、集客に直結する投資に使える
- キャッシュレス決済やPOSシステムもカバーされるから実用的
\アドバイス/
この補助金は**後払い型(事前に支払ってから清算)**のため、いったん自己資金で立て替える必要があります。また、「開業後の販路拡大を目的とした事業計画」が必要になるため、申請前にきちんと準備することが成功のカギです。 |
👉美容室の開業準備についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
② IT導入補助金とは?
「IT導入補助金」は、中小企業や個人事業主が業務を効率化するためのITツールを導入する際に、費用の一部を補助してくれる制度です。国(経済産業省/中小企業庁)が支援しており、美容室のようなサービス業でも活用できます。
特に、美容室で使われるPOSレジ・予約システム・顧客管理ツールなどが対象になりやすく、キャッシュレス決済と連動させることで業務全体をスムーズにすることができます。
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💡 美容室での活用例
活用内容 | 対象ツール例 | 補助の目的 |
POSレジ導入 | Square POS、Airレジ など | 会計、売上管理、商品登録などの効率化 |
顧客管理システムの導入 | 美歴、Salon Answerなど | 来店履歴、メモ、再来促進に活用 |
ネット予約システムの導入 | RESERVA、Coubic、LINE予約連携 など | 24時間予約受付で利便性向上 |
決済システムとの連動 | POSと決済端末を組み合わせて自動処理 | レジ業務の簡素化・手間の削減 |
✅ 美容師にとってのメリット
- 最新のPOSや予約システムを自己負担を減らして導入可能
- レジ・予約・顧客管理がひとつにまとまることで業務が大幅に効率化
- 集客や売上分析の精度もアップし、経営判断がしやすくなる
\アドバイス/
⚪︎ この補助金は「IT導入支援事業者(=認定ベンダー)」を通してしか申請できません。 ⚪︎ 導入するITツールが「登録済み」であることが前提なので、使いたいサービスが補助金対象か事前確認が必要です。 ⚪︎ 開業後すぐに申請するのは難しいため、開業前〜初期段階での準備と連携がカギになります。 |
📌 注意点として、どちらの補助金も「開業後ではなく開業前の申請」が基本です。
審査や書類の準備に時間がかかるため、できるだけ早めに動き始めましょう。
現場の声から学ぶ!美容室キャッシュレス導入のリアル
美容室のキャッシュレス対応は、実際の現場でどう役立っているのでしょうか?
ここでは、実際に独立・開業をした美容室の声をご紹介します。導入タイミングや使い方によって、結果に大きな差が出たことがよくわかります。
⭕️成功事例
「AirPAYとAirレジで、月末の集計が一瞬に!」
開業当初は手書きレジでしたが、導入後は会計・売上・顧客情報がすべて自動連携。現金と違ってミスも減り、月末の締め作業が30分以上短縮。
「空いた時間でSNS投稿や広告戦略に集中できるようになった」とのこと。
❌失敗事例
「新規のお客様のカードが使えずコンビニへ現金をおろしに。リターンはしなかった…」
オープン時は現金対応のみ。「使えて当たり前」だと思われたクレジットカード決済が使えず、お客さまはコンビニへ現金をおろしに。慌てて後日導入したものの、お客様はリターンせず。
“現金だけ”は、今やリスクと実感したそうです。
このように、導入のタイミングと使い方次第で、結果が大きく変わるのがキャッシュレス対応です。開業前から準備することで、安心・信頼をつくるスタートが切れます。
美容室のキャッシュレス導入についてよくある質問
Q1. 開業したばかりでもキャッシュレス決済の申込みはできますか?
→ はい、できます。開業届さえあれば大丈夫です。
多くの決済サービスは、開業前後どちらでも申し込みが可能です。ただし、申し込み時には「個人事業の証明」として、**税務署に提出した開業届のコピー(控え)**や、本人確認書類(免許証など)が必要になります。
また、審査には数日〜1週間ほどかかるため、オープン1〜2ヶ月前には申し込みを始めておくのが安心です。
👉美容師の開業届マニュアル|提出タイミング・記入例・節税まで解説についてはこちら
Q2. 決済手数料って高くないですか?
→ 一見高く感じますが、実は“かけた以上の価値”があります。
クレジットカード決済の会社の規模やサービスによって変動はありますが、手数料はおおむね2.5〜3.7%程度です。売上1万円なら約300円が差し引かれます。
でも、キャッシュレスに対応していることで…
- 「現金しか使えないなら別のお店へ」と言われる機会損失を防げる
- お会計が早くなってお客様の満足度が上がる
- 売上データが自動で記録されて経理作業が楽になる
というように、手数料以上の“時短”と“信頼”を得ることができるのです。各サービスサイトを比較して、決めることが大切です。
Q3. POSレジって絶対に必要なんですか?
→ 必須ではありませんが、あると圧倒的に便利です。
決済端末単体でもお会計はできますが、POS(販売管理システム)を使うと以下のことが可能になります:
- 顧客情報(来店履歴・施術内容など)を記録・活用できる
- 予約の管理が自動化できる
- 売上分析が簡単にできて、広告やメニュー改善に役立つ
つまり、「お店を効率よく運営する」ためにはPOSとの連携が非常に強力なんです。スタッフを雇う予定がある人や、少しでも業務を楽にしたい人には特におすすめです。
このように、不安に感じる部分も、事前に知っておけばスムーズに導入できます。
気になることがあれば、サービス会社のサポートに相談してみましょう。多くの会社が無料相談や導入サポートを行っていますよ。
決済導入は「準備しておけば安心、してなければ損」
美容師としての独立は夢の実現ですが、経営者になるということでもあります。お金の受け取り方=決済環境は、サロンの信頼と業務効率に直結します。
「現金しか使えません」が理由で顧客を逃さないように、開業前から計画的にキャッシュレス導入とPOS連携を準備しておきましょう。
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