美容師として独立する場合、「美容室の屋号とは?」という問いが出てくるでしょう。
屋号は、美容室の顔ともいえる名称であり、お客様が最初に接する「ブランド」です。見た目の印象や語感はもちろん、検索性や商標リスクなども含めて、慎重に決めなければなりません。
本記事では、美容師が屋号を付ける際に、知っておきたいポイントや、注意点と手続きの流れ、決め方のポイント、屋号決定後の手続きについて詳しく解説します。
「美容室の屋号とは何?」と疑問を持っている方にとって、開業前の貴重なヒントになるはずです。
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美容室の屋号とは何?個人事業主における名称の役割
屋号は美容師にとっての看板である
「美容室の屋号とは?」と聞かれたとき、簡単に言いましたら、そちらはあなたのお店の名前です。法人で言うところの「会社名」と同様に、個人で美容室を運営する上での名称になります。
お客様とのコミュニケーション、広告展開、予約管理など、あらゆるビジネスシーンで、屋号は使用されるので、存在感のある名称を設定することが求められます。
屋号は任意だが付けるべき理由
個人事業主は、屋号の記載が義務ではないものの、確定申告や開業届の提出時には、屋号欄があります。屋号を付けておくことで、事業としての信用度が増して、銀行口座の開設や、領収書の発行などで役立ちます。また、美容室としてのブランディングや認知獲得にも効果的です。
自分の名前をそのまま屋号にしてもOK
美容師本人の氏名を、そのまま屋号として活用するケースもあります。例えば嶋田さんが出店したサロンが「ヘアサロンSHIMADA」になるなど、自分の個性や実績を前面に出すことで、信頼を得やすくなる効果も期待できます。
屋号の読みやすさと外国語の落とし穴
おしゃれさを追求するあまり、読みづらいフランス語や、イタリア語などを使った屋号を選ぶ方もいますが、注意が必要です。お客様が正しく読めなかったり、予約時に誤って伝わるとトラブルにつながる恐れもあります。
美容業界では馴染みがある単語でも、一般のお客様には読みづらいこともあります。美容室の屋号とは、「覚えてもらってこそ価値があるもの」であり、難解な名称は避けた方が無難です。
地域名や特化メニューを盛り込むのもおすすめ
地域密着型や特化型の美容室でしたら、屋号に地名やメニュー名などの特徴を入れるのもひとつの方法です。例えば、「鎌倉hair studio」「髪質改善 hair salon」など、地名や特化メニューが入っていることで検索時にも強く、Googleマップなどでも上位に表示されやすくなります。(看板には入れなくてもOK)
屋号にまつわる法律的リスクと注意点
美容室の屋号を調べる方の中には、法律面のリスクまで意識していない場合もあります。屋号が他社の商標を侵害している場合、開業後に「使用差し止め」や「損害賠償請求」が発生する可能性もあります。
こちらは、主に商標法に関わる問題で、同一地域内で類似の屋号が存在するかどうかは、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で確認できます。美容師として独立する以上、こうした法的リスクは避けておくべきです。
将来の法人化も見据えた屋号選び
現在は、個人事業主であっても、将来的に法人(株式会社や合同会社)にステップアップする予定がある場合、屋号をそのまま会社名として使える様に設計しておくとスムーズです。
また、法人登記には「同一商号・同一所在地不可」というルールがありますので、独自性の高い屋号をあらかじめ考えておくことが、後のトラブル防止にもつながります。
屋号付き口座が持つ信用力の違い
個人名のままでも、銀行口座は作れますが、屋号付きのビジネス口座を開設することで、信頼度が大きく変わります。例えば、「山田太郎」名義よりも「hair space Taro Yamada」名義の口座の方が、取引先や新規顧客に対して「きちんとビジネスをしている」という印象を与えやすくなります。
家賃の支払いやサロン材料の購入など、経費のやり取りも、管理しやすくなるというメリットがあります。
美容室の屋号を決めるときの4つの決め方のポイント
次に、美容室の屋号を決めるときの4つの決め方のポイントについて解説します。
覚えやすく、発音しやすい名前を
屋号は、一度聞いたらすぐ覚えられるものが理想です。複雑な英語や当て字は、検索性や発音のしやすさを妨げる要因になるので、注意が必要です。「カットサロンR」や「hair Lino」など、シンプルかつ語感の良いネーミングが好まれます。
思い返すと、トレンドのサロンも短く、言いやすく、覚えやすいサロン名が多くないでしょうか?
カタカナで表現しやすい表記に
日本人の多くは、店名をカタカナで検索する傾向があります。そのため「Vista」などのアルファベットは、「ヴィスタ」や「ビスタ」と表記が分かれ、検索に不利な場合があります。できるだけ、カタカナ読みしやすい名称を選ぶことが重要です。
ドメインが取得できるかも確認する
近年では、ホームページやSNSで集客する美容室が増えています。屋号にちなんだドメインが取得可能かどうかは、事前に確認しておくべきです。すでに使用されている場合、別の文字列に変更せざるを得ないため、開業時のブランディングに支障をきたすこともあります。
「美容室」とわかる言葉を含める
検索エンジンで、「美容室」と連想されやすいワード(例:hair salon、カット、ヘアなど)を屋号に入れると、初見のユーザーにも業種が伝わりやすくなります。例として「hair & spa Luana」など、美容関連のキーワードを入れると良いでしょう。
美容室の屋号を決める前に注意したい3つの点
商標登録されていないかどうかを必ず確認する
美容室の屋号で非常に重要なのが、すでに同名の屋号が、商標登録されていないかどうかを確認することです。商標権に抵触すると、後から変更を求められたり、訴訟トラブルに発展する可能性もあります。確認は「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」で無料で確認できます。
法人と誤認される名称はNG
個人事業主なのに、「株式会社」や「Inc.」など法人名の様な表現を使うと、開業届で受理されない場合があります。信頼感を出したい気持ちはわかりますが、適切な範囲内での表現を心がけましょう。
外国語や隠語の意味を要チェック
屋号に外国語を用いる際は、別の意味で不適切なニュアンスが含まれていないかどうか、注意が必要です。海外客の来店が見込まれるエリアでは、特に配慮が必要です。
美容室の屋号は、単なる名称ではなく、美容室経営の基盤そのものです。名前はお客様の記憶に残り、紹介にもつながる重要な要素です。
慎重に情報収集して、覚えやすくて、検索されやすく、かつ商標トラブルのない名称を設定することが、美容室としての成功の第一歩になります。
美容室の屋号の手続きの流れ
美容室の屋号の手続きの流れは、次の通りです。
- 開業届に屋号を記入し、税務署へ提出する。
- 屋号名義で銀行口座を開設して、事業資金を分離する。
- 名刺・請求書・SNSなどに屋号を統一して使用する。
美容室の屋号を決めた後にするべき手続きと効果的な活用法
屋号を決定したら行うべき3つの重要ステップ
1. 開業届への屋号の記載
美容室の屋号を考えたときに忘れてはならないのが、決めた屋号を、開業届にしっかり記入することです。こちらは、税務署に提出する重要書類であり、屋号が記載されることで事業としての認知度が高まります。
記入は任意ではあるものの、将来的に経費計上や融資申請、帳簿管理などの場面で役立つので、記載しておくことをおすすめします。
2. 銀行口座の開設
屋号付きの銀行口座を開設することで、ビジネス用とプライベート用の資金を明確に分けられます。例えば、「美容室Lien」の様な名称で口座を作成すると、お客様への請求書や領収書の発行時に一貫性が出て、信頼感のある取引が実現します。
3. 屋号入りの印鑑・領収書を作成する
屋号を正式に運用するためには、スタンプや名刺、領収書、請求書などに屋号を反映させることが必要です。統一されたツールを使用することで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
美容室のブランディングと屋号の関係性
コンセプトと屋号の一貫性が鍵である
屋号は、ただの名前ではありません。あなたの美容室の世界観や、サービスの方向性を象徴するものです。例えば、、「癒し」をテーマにしたサロンであれば、「relax hair 〇〇」など、落ち着いた印象のある名称がマッチします。
屋号とコンセプトに矛盾があると、ブランド価値の低下を招く可能性があるため注意が必要です。
ターゲット層に響くネーミング戦略
20代女性をターゲットにするのか、働くママ層にアプローチするのかによって、響く言葉は変わってきます。
例えば、若年層向けであればSNS映えを意識した造語や、英単語を組み合わせたファンタジー系の名前が人気です。一方で、ママ世代には安心感や、地域性を取り入れた名称が、受け入れられやすい傾向にあります。
ライバルとの差別化も意識する
屋号を決める際には、近隣の美容室や、同業のネーミングと被らないかどうかを調査しましょう。美容室の屋号の根本には、他店と差別化された存在になるという目的があります。
類似した名前が多い地域では、「美容室 + 地域名 + 特徴」を組み合わせた、独自性のある名称を意識するのが良いでしょう。
美容室の屋号とWEB集客・広告戦略の連携
ドメインの取得と屋号の一致が鍵
集客において、Webサイトやブログを活用する場合、屋号と同じドメイン名を取得できるかが非常に重要です。
例えば、「hairsalon-sora.com」や「beautyroom-miwa.jp」など、屋号と一致するURLは認知度を高めて、検索でも見つけやすくなります。
また、ドメイン取得は早い者勝ちなので、候補が決まり次第、速やかに取得作業を進めましょう。
SNSでのハッシュタグ戦略と屋号
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSでは、屋号をハッシュタグとして使うことで、ブランドの拡散が可能になります。
「#美容室Lien」「#HairSalonSora」など、自店舗の投稿だけでなく、顧客の投稿にもつけてもらえる様に促すと、宣伝効果は飛躍的に高まります。
屋号入りのアプリや、LINE公式アカウント
集客力を高めたいなら、屋号を組み込んだLINE公式アカウントや、専用アプリを作成するのも効果的です。チラシにQRコードを記載して、配布して、そちらから予約に誘導する流れを構築しましょう。屋号が印象的で覚えやすければ、リピーター率の向上にもつながります。
美容室の屋号を変更する場合の注意点
屋号変更は開業届の再提出が必要である
屋号を後から変更したくなった場合には、再度「開業届(変更届出書)」を、税務署に提出する必要があります。変更自体は可能ですが、名刺や看板、SNS、Webサイトなど、あらゆる媒体に変更が必要になるので、コストや手間がかかります。最初の段階で、慎重に屋号を決めることが重要です。
リブランディングには告知を徹底する
もし屋号を変更する場合には、お客様に向けて告知を丁寧に行いましょう。既存顧客が混乱しない様に、公式LINE、Instagram、公式サイト、チラシなどの複数チャネルを使って、繰り返し伝えることで、スムーズに移行が進みます。
まとめ
「美容室の屋号とは?」というテーマのもと、美容師が屋号を付ける際に、知っておきたいポイントや、注意点と手続きの流れ、決め方のポイント、屋号決定後の手続きなどを網羅的に解説してきました。
屋号は単なる名称以上に、美容室経営の中心軸になるものです。集客力、ブランディング、SNS活用、印象戦略など、すべてに関わってくる重要な要素です。
覚えやすく、意味があり、他と被らず、ドメイン取得もできる、これらの4つを兼ね備えた屋号は、まさに成功する美容師人生の第一歩です。時間をかけて検討して、納得のいく名称を見つけてください。
また、今後店舗の拡大や法人化などを見据える方は、商標登録も視野に入れて検討することで、より強固なブランド基盤を築くことができるでしょう。
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