今やSNSは、技術や接客に加えて、美容師にとって欠かせない集客ツールのひとつとなっています。
今回インタビューしたのは、SNS総フォロワー約12万人という圧倒的な発信力を武器に、大宮から新宿へと拠点を移し、初月で売上を4倍に伸ばしたSALOWIN新宿三丁目East店3Fの伊東蓮さん。
フリーランス美容師として新たなキャリアを切り拓く伊東さんに、SALOWINを選んだ理由から、独立後に感じたリアルな変化、そしてSNS戦略やメニュー設計の工夫まで、じっくりお話を伺いました。
SNS集客に力を入れたい美容師の方は、きっとヒントが見つかるはずです。
フリーランス美容師が独立を決めた理由と働き方の変化
―フリーランス美容師として働き始めて、どのくらい経ちましたか?
伊東:2か月ほどです。美容師歴は4年目で、以前は埼玉の大宮にあるメンズサロンで働いていました。
―フリーランス美容師になることを決断した理由は?
伊東:一番はお客様との関わりをもっと深めたかったからです。
前社で複数枠のサロンワークをする中で、お客様と関われるのがカットの時間だけになってしまうことに悩んでいました。
また、拘束時間が長く、プライベートや自分の時間を確保しにくいのも悩みでした。もっと時間を有意義に使って成長したい気持ちが強くなり、フリーランス美容師になることを決めました。
―実際にフリーランス美容師として働いてみていかがですか?
伊東:シャンプーからスタイリングまで、マンツーマンですべて担当できるようになりました。お客様の満足度も高いですし、僕自身も一番望んでいたことなので、お互いにすごく満足できる環境となっています。
100%自分の時間として使えるので、空き時間を有効活用できるようになったのも嬉しいです。

フリーランス美容師が語るSALOWINの魅力|信頼できて学べる環境
―数あるシェアサロンの中からSALOWINを選んだ理由は何ですか?
伊東:周りの美容師さんでも利用している方が多く、条件面が良かったことが決め手でした。他のシェアサロンの話も聞きましたが、店舗数も多く信頼できるSALOWINに決めました。
―お客様の反応はいかがですか?
伊東:以前働いていたのが比較的広く、大人数のスタッフがいるサロンだったので、人の出入りが多く「緊張する」というお客様の声もありました。美容師側としても常に慌ただしく、周りに配慮して施術しなければいけない環境でした。
SALOWINは新しくて内装もきれいなので特別感がありますし、半個室の落ち着いた空間でお客様にリラックスして過ごしてもらえているのがすごく良いですね。
―他のフリーランス美容師さんとの交流はありますか?
伊東:あります。以前は閉鎖的で他のサロンの美容師とは交流が少なかったです。SALOWINに移動して、年が近い美容師さんだけでなく、年上で経験豊富な美容師さんが多いので、情報交換や学びの機会がすごく増えました。
学べる環境に身を置きたいと考えていたので、SALOWINに来て本当によかったなと感じています。
SNS集客で売上アップ!総フォロワー12万人のフリーランス美容師が実践する工夫
―SNSの発信について教えてください。
伊東:InstagramやTikTokを合わせて、総フォロワー数は約12万人です。
もともとSNSは好きではなく、学生時代は完全に見る専門でした。本来は自分を載せたくないタイプですし、美容師をしていなかったら絶対にやっていないと思います。
でも美容師として活動するには必要不可欠だと感じ、覚悟を決めました。集客する上で一番重要なツールだと思うので、やるからには全力でやろうと思い、アシスタントになった頃からSNSには力を入れていました。
ありがたいことに、投稿を始めてすぐに再生数が伸び、Instagramは本気で投稿を始めてから、約3ヶ月でフォロワー1万人を達成しました。そこから一時的に停滞する時期もありましたが、大きく落ち込むことはなく、今も順調に多くの方に見てもらえています。
―SNS運用で工夫していることはありますか?
伊東:まずは、InstagramやTikTokの仕組み自体を理解するために、YouTubeなどでSNSの基本をしっかり学びました。その上で、他の美容師さんの投稿や、美容ジャンル以外の動画も幅広くチェックして、どんな動画がバズっているのか、どんなコンテンツに需要があるのかといった視点で分析しました。
編集もすごく重要だと思っていて、テロップの入れ方、効果音の使い方、動画のテンポ感など、細かい部分までしっかり考えながら制作しています。
SNSを頑張った結果、広告案件の依頼も多くいただいています。会社員時代は会社の規定ですべてお断りしていましたが、フリーランス美容師になってからは自分でいいなと感じたものはお受けしています。
現在進行形で打ち合わせしているものもあるので、今後も自分が良いと思うものはお受けしたいと思っています。
大宮から新宿へ|フリーランス美容師が売上4倍を実現したリサーチと分析術
―SNSのフォロワー数は多いけれど、正社員時代の売上はそれほど高くなかったとお聞きしました。
伊東:そうですね。
正社員時代は指名売上が40万円くらいでした。SNSは多くの方に見ていただいていたのですが、売上に直結するかというとまた別の話だと痛感しました。
―売上が多くない中で、埼玉の大宮から新宿にエリア移動してフリーランス美容師になることに不安はありませんでしたか?
伊東:もちろんありました。
前社の契約上、お客様に直接移動先をお伝えできなかったので、エリアが大きく変わっても来てくれるかどうか不安でした。
―不安をどう乗り越えられたのでしょうか?
伊東:日頃来ていただいているお客様との会話の中でリサーチして、どのくらい都内に行く頻度があるかを聞いていました。
話を聞く中で、大学が都内にある方や遊びに行く機会がある方も多くいることがわかりました。また、SNSでフォロワーを獲得できていたので、顧客様だけでなく新規のお客様も都内の方が来やすいのではないかと考えました。
不安やリスクはもちろんありましたが、それ以上に新しくお客様が増えるのではないかという考えがありました。しっかりリサーチを進める中で自信が持てたので、やはり都内で挑戦しようと決意しました。
―実際に移動してみていかがでしたか?
伊東:多くのお客様が新宿まで来てくださっていて、初月の売上は約170万円を達成できました。埼玉にお住まいで都内に他に用事がなくても足を運んでくださるお客様もいて、本当にありがたいです。
―固定のお客様と新規のお客様の比率はどれくらいでしたか?
伊東:半分半分くらいでした。
先月は130人ほど担当させていただいたのですが、そのうち約70人が新規のお客様でした。新規のお客様の割合の方が少し多かったです。
大宮から新宿へエリアが大きく変わりましたが、距離的に今まで大宮まで来られなかった方たちが来やすくなったことが新規のお客様が増えた理由だと考えています。
都内だけではなく、神奈川など近隣の県から来てくださっている方もいて、「大宮は遠かったけど、新宿なら来られるので初めて来ました」という声もありました。都内に拠点を移してよかったなと思います。
集客と収益性を両立!フリーランス美容師が縮毛矯正を選んだ理由
―フリーランス美容師になるにあたって、メニューの見直しも行いましたか?
伊東:もともとはカラー、特にブリーチカラーに力を入れていこうと思っていました。しかし、独立後は材料費を自分で負担するようになりますし、そこはシビアに考える必要がありました。
実際にお客様のニーズを調べてみると、メンズでブリーチカラーを希望される層が思っていたより少ないことがわかりました。
ブリーチはコストも時間もかかるし、フリーランス美容師だと1人にかける時間も長くなる分、もしキャンセルが出たときのダメージも大きくなります。バランスを考えたときに、生産性の面でもう少し安定したメニューにシフトした方がいいなと思いました。
そこで打ち出しを大きく変え、メンズの縮毛矯正に力を入れることにしました。僕が投稿するスタイリング動画のコメント欄でも「縮毛矯正してますか?」とよく聞かれ、ニーズも高いと感じています。
僕自身は縮毛矯正はしていないのですが、僕のような髪質になりたいと言っていただけることも多く、僕が縮毛矯正をやる意味はあるなと感じて、シフトチェンジしました。
―実際に縮毛矯正を予約されるお客様は多いですか?
伊東:多いです。
しかし、僕自身がカラーをしているので、カラーのお客様もかなり多いです。縮毛矯正とダウンパーマとカラーが同じくらいの比率ですね。
縮毛矯正に力を入れていますが、バランスよく施術することができています。
最初は縮毛矯正に特化しようかとも思っていたのですが、カラーや他の施術の予約も多いので、無理に避けることはしていません。むしろいろいろな施術で需要があるのはいいことだと思うので、今後もバランスよくやっていきたいです。
SNS時代に成長し続けるフリーランス美容師の向上心の保ち方
―インプットはどのようにされていますか?
伊東:知り合いの美容師さんに聞いたり、情報を共有したりすることが多いです。
今は情報があふれている時代なので、SNSからの学びもすごく大きいですね。オープンチャットやオンラインスクールに入るだけでも新しい知識がどんどん入ってきます。
会社員時代からSNSなどを活用してインプットしていました。先輩から聞けない技術もあるので、自分で学ぶにはとても役に立ちます。
学んだ技術をウィッグで実際に試して、同じように取り組んでる人たちとチャットで意見を交わして知識を深め、実際にお客様の施術に活かしています。
日々のインプットが技術の向上につながるので、SNSの存在はすごく大きいですね。
―分析やインプットを積極的にされていますが、向上心を保つために普段意識していることはありますか?
伊東:秘訣というか考え方ではありますが、今はSNSを見てくださる方も増えて、フリーランス美容師として独立できて、お客様が来てくださる環境もあって、本当にありがたいなと感じています。
でもそれは、今まで自分が努力してきた結果であって、今後もそれが続く保証はどこにもありません。
だからこそ、10年後、20年後の自分が「幸せだな」と思えるように、今できることを全力でやりたいんです。若いうちに先を見て、将来後悔しないように逆算して、今怠けないようにすごく意識しています。そうやって、自分に言い聞かせて日頃から頑張っています。

フリーランス美容師として独立に挑戦する人へ|一歩踏み出すためのメッセージ
―今後挑戦してみたいことはありますか?
伊東:まずはしっかり美容師の軸を作って、フリーランス美容師としてお客様に満足してもらえる働き方を確立することが最優先だと思っています。
その上で少し落ち着いてきたら、力を入れているSNSを活かして、自己ブランディングをさらに強化していきたいです。
服や美容が好きなので、アパレルやメンズコスメなどにも興味があります。将来的にはジャンルの幅を広げて活動していけたらいいなと思います。
いろいろなことに挑戦したいと思ったのも、会社員を辞めてフリーランス美容師の働き方を選んだ理由のひとつです。しかし、実現するには時間とお金も必要なので、そのためにも今は美容師としてしっかり頑張っていきたいです。
―将来的に自分のお店を持ちたい気持ちはありますか?
伊東:今のところありません。コミュニティを広げていった上で、信頼できる仲間と一緒に協力してやるのはおもしろそうだと思いますが、今のところ自分1人でお店を持つことは考えていないですね。
―最後に、フリーランスになりたいけれど不安で一歩踏み出せない人に向けて、メッセージをお願いします。
伊東:不安は誰にでもあると思います。でもただ不安を感じているだけではなく、何が不安なのかをしっかり分析すれば、対策を立てられると思います。
集客方法の工夫や数字の分析など、できることはたくさんあると思うので。空いた時間で自分にできることをすべてした上で決断したのなら、きっと頑張れるはずです。
向上心さえあれば、どこまでも成長できて想像以上の自分になれると思います。だからこそ、自信を持って踏み出してみてほしいですね。
発信力×分析力でチャンスをつかむ
23歳でフリーランス美容師として独立し、エリア移動というハードルを乗り越えながら、売上を大きく伸ばした伊東さん。その成功の背景には、徹底したリサーチと分析、そして果敢に行動する姿勢がありました。
SNSという強力なツールを活かしつつも、現実的な数字やお客様の声を丁寧に拾い上げ、柔軟に次の一手を選ぶ。その積み重ねが、大きな成果とつながっています。
フリーランス美容師を目指す方、SNSでの集客を強化したい方にとって、伊東さんの言葉がヒントになれば幸いです。