美容室・サロンで売上とリピート率を同時に上げるには、「施術+物販」のセット率を高めることが欠かせません。全国平均は12.8%(参照:ホットペッパービューティーアカデミー)ですが、セット率20%前後のサロンでは、売上やリピート率が高めの傾向が見られます。物販と施術のセット提案を強化することで、顧客満足度や利益向上につながる可能性があります。
本記事では、誰でも自然に提案できる “確認→提案→同意” のトーク台本と、SKU(商品カテゴリ)別の最適な提案タイミングを解説します。施術の流れに沿った台本形式なので、現場でそのまま使える実用的な内容となっています。
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1. 物販と施術のセット率を上げる3つの原則(哲学)
物販のセット率が高い美容師は、「売ること」よりも「悩みに寄り添う姿勢」と「未来の体験」を売ることを重視しています。
①お客様の悩みに共感して信頼を獲得する
物販セット率が高い美容師は、「売ること」よりも**「悩みに寄り添う姿勢」を重視しています。お客様の「再現できない」「まとまらない」といった悩みに共感を示した上で提案を行うことで、商品は“問題解決のツール”**として受け取られ、信頼獲得につながります。
②提案のタイミングは施術中に仕込む
最も効果的な提案タイミングは施術中です。お客様が自分の髪の状態をリアルタイムで感じている瞬間、髪を触りながら「少し乾燥していますね」「ここにボリュームが出にくいですね」といった観察を共有すると、自然と会話の流れに沿って商品への気づきを出しやすくなります。
③商品ではなく「未来の体験」を売る
セット率の高い美容師は、単なる商品説明よりもお客様の未来の体験をイメージさせる提案を行います。
例:「朝の支度が5分短縮できて、外出中もツヤが続きますよ」
お客様が「どう変わるか」を具体的にイメージできる、感情に訴える提案ほど選ばれやすくなります。
2. SKU別|最適な提案タイミングと具体トーク例
物販の提案を成功させるには、何を売るかよりも**「いつ、どのような文脈で」**商品を提示するかが極めて重要になります。お客様の関心が高まり、警戒心が低い瞬間を逃さずアプローチするため、ここでは商品カテゴリ(SKU)ごとに、最適な提案タイミングと、押し売り感のない具体的なトーク例を解説します。
①スタイリング剤(仕上げ系)
- 提案タイミング:仕上げの最中(ドライヤー・アイロン後)
- トーク例:「今の状態、すごくきれいにまとまってますよね。このまとまりを明日も再現したい場合は、このスタイリングクリームを毛先に少しだけなじませると同じ質感になります。」
ポイント💡商品が**“仕上がりの延長線上”**に位置づけられ、自然な流れで購入につながります。
②トリートメント・ケア商品(内部補修系)
- 提案タイミング:施術中のトリートメント放置時間またはシャンプー台で
- トーク例:「今のダメージ状態だと、内部のタンパク質補修が鍵になります。ご自宅でも同じ成分を補えるケア剤があるので、毎日少しずつ補修すると次回の仕上がりがもっと良くなります。」
ポイント💡「サロンケア+ホームケア=最大効果」という二段構えを提示し、セット購入を促します。
③ドライヤー・アイロン(機器系)
- 提案タイミング:施術前または仕上げ直前
- トーク例:「今お使いのドライヤーは、風量や温度のムラで乾燥しやすいと思います。このドライヤーだと風がやわらかいのでツヤを保ちながら速乾できます。」
ポイント💡高単価商品は、情報提供に重点を置きます。「一度使ってみて、違いを実感したら考えてください」と伝えることで、信頼を積み上げます。
3. 「確認→提案→同意」でセット率を上げる会話構造
最も成約率が高いのは、お客様の悩みを起点に、商品が**「次の一手」**として会話の延長線上で提案される黄金パターンです。
①確認フェーズ:お客様の悩みを引き出す
- アクション:お客様の不満や困りごとをしっかり確認し、共感を示します。
- 例:「ご自宅でのお手入れで、何か気になっていることはありますか?」「今の髪質だと、朝は少し大変ですよね」
ポイント💡この段階では商品は出さず、共感を示すことで早い段階で信頼関係を構築します。
②提案フェーズ:悩み解決として商品を紹介
- アクション:悩みを共有したら、次は解決策として商品を提案します。
- 例:「では、こういうアイテムを使うとかなり楽になりますよ」
ポイント💡「売る」のではなく「お客様に合うものを探してきました」という姿勢で紹介します。「実際に私も使っています」と自分の体験を添えると、説得力と安心感が増します。
③同意フェーズ:自然なクロージングで購入へ(言い回し統合)
- アクション:お客様の選択権を尊重しつつ、断りづらさを与えないクロージングを行います。
- 例:「ご自宅でもこの仕上がりを維持できるように、今日使った商品をお渡しできますが、いかがなさいますか?」
- 例:「今日の仕上がりがずっと続きますよ。そのままご自宅でも再現したい方が多いですよ。」
ポイント💡購入を前提とせず、**「お客様の選択権」を尊重した表現を使います。他者の事例や、お客様の「理想の髪の状態を守る手段」**として肯定的に締めることで、前向きな同意を引き出します。
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4. タイプ別トーク台本で提案力を高める(実践例)
ここでは、お客様の来店動機や具体的な悩みに応じて、カウンセリングから仕上げ、会計までをスムーズに繋ぐ具体的な会話の流れを解説します。お客様のニーズに合わせた提案は、「押し売り」ではなく「問題解決のための専門的なアドバイス」として受け取られ、セット率と信頼度を同時に向上させます。
①「再現性が低い」と悩むお客様への提案例
この流れでは、お客様の悩みを確認し、施術中に「改善の糸口」を示し、最後に**「再現性」**というキーワードで共感と納得を引き出しています。
- 施術中:美容師:「髪の生えぐせや湿気で崩れやすくなっているので、今日はその点を意識してカットしています。仕上げの際にスタイリング剤を少し変えると、明日からかなり扱いやすくなりますよ。」
- 仕上げ段階:美容師:「今使っているこのスタイリング剤、まとまりが出てツヤもキープできるので、朝が楽になります。乾かす前に少量なじませて、最後にオイルを重ねると完璧です。」
- 会計時:美容師:「今日お使いしたこちらの商品、ご自宅でも使うと仕上がりが維持しやすいですよ。受付でご用意できますので、よければお試しください。」
②「髪のダメージ」に悩むお客様への提案例
お客様の今の状態に合わせた提案は「押し売り感ゼロ」で成約率が高い傾向があります(参照:ホットペッパービューティーアカデミー「物販売上調査2024」)。
- 施術中:美容師:「紫外線や乾燥で内部タンパクが抜けやすくなってますね。今日は保湿重視のトリートメントを入れています。ご自宅でもこの成分を補える商品があるんです。」
- 仕上げ段階:美容師:「今使ったオイルが熱からも守ってくれるタイプで、毎朝ドライ前につけるだけでダメージ予防ができます。仕上げにワックスを重ねると束感とツヤが出やすいですよ。」
- 会計時:美容師:「こちらの2アイテムをセットで使うと、次回の仕上がりが格段に変わります。今のケアタイミングに合わせて始めるのがベストですよ。」
5. 心理学的に見るセット率向上のトリガー
①一貫性の原理で自然に購入意欲を高める
カウンセリング時に「朝のセットを楽にしたい」と言った場合、「先ほど**“楽にしたい”**とおっしゃっていましたので、このアイテムを使うと朝の時間が短縮できますよ」と繋げることで、自然に購入意欲が高まります。これは「確認→提案→同意」のプロセスの中で、最も効果的に働く心理トリガーです。
②自己投資感を演出して高単価商品を提案
特に30代以降の女性は「自分へのご褒美」や「ケアの質を上げること」を重視する傾向があります。単なる消耗品としてではなく、「ヘアケアの時間を豊かにするツール」として紹介することで、単価アップにもつながります。
- 例:「このオイル、香りが上品で、つけるだけで気分が上がるんです」など、”感情的価値”を添えると成約率が上がります。
③アンカリング効果で価格への納得感を持たせる
「サロンケア1回分が約3,000円なので、このホームケア商品で3週間持つと考えると、1日あたり100円以下で維持できます」と伝えると、価格を比較対象で中和できます。これにより、お客様は「高い」ではなく「得だ」と感じるようになります。
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6. セット率向上の導線設計とリピート強化
物販を単発で終わらせず、リピートと利益に直結させるための具体的な仕組み作りを解説します。
①施術カルテに物販履歴を記録して次回提案
最も効果的なのは、提案の履歴を次回カウンセリングに活かすことです。
- 記録すべき情報:「誰に・どの商品を・いつ提案したか」
- 次回トーク例:「前回のオイル、使い心地はいかがでしたか?」
メリット:この“フォロー提案”は、新規提案よりも成約率が約1.7倍高いというデータがあります。(参照:ホットペッパービューティーアカデミー 2023年分析)
②POP・SNS連動で「体験の延長線」を作る
お客様の「仕上がり」をSNSやPOPで連動させ、購入後の満足度を高めます。
- 連携効果:UGC(ユーザー生成コンテンツ)が信頼性の高い口コミとして機能し、間接的に物販とセット率の上昇を促します。
- 導線:Instagramストーリーズで「施術後に使用した商品紹介」を毎日更新することで、フォロワー経由での指名予約にも繋がります。
③定期購入・再来割で継続利用を促す
お客様が継続して商品を使う理由を提供し、サロンとの関係を長期的に維持します。
- 導入例:「次回予約時に同商品を10%OFF」
- クロージングの一言:「次回来店までのケアをこの1本でカバーできます」
効果:「継続して商品を使う理由」を与えることで、高リピート率に直結します。
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まとめ|20%超セット率を実現するポイント
美容室・サロンで施術と物販のセット率を20%以上に引き上げるには、単に話し方を変えるだけでは不十分です。ポイントは「いつ・誰に・何を・どう伝えるか」という提案設計にあります。
本記事で紹介した内容を踏まえると、実践すべき具体策は以下の通りです。
- 確認→提案→同意の会話構造を軸にする:SKUごとに最適なタイミングで提案することで、押し売り感のない自然な販売が可能になります。
- リピート導線を整える:単発販売ではなく「信頼ベースの継続購入」へと進化させます。
- 美容師自身が商品を愛用する:自らの体験を伝えることで、顧客に説得力のある提案が可能になります。
これらを意識して物販セット率向上トーク台本や心理設計を実践すれば、「物販=売る行為」ではなく「施術の延長線上の提案」として顧客に自然に受け入れられます。その結果、顧客満足度の向上と利益アップの両方を実現できます。
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