「いつかは自分のお店を持ちたい。でも、いきなり出店するのは不安が大きい」
そんな思いから、次の一歩を迷っている美容師の方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、22年間正社員サロンで経験を積み、出店を見据えた準備期間としてフリーランス美容師の道を選んだ杉崎秀弥さん。現在は、次のステージへ進むためのワンステップとして、SALOWIN表参道Suite店・銀座RAYⅡ店を拠点に活動されています。
インタビューでは、会社員時代に築いた集客の基礎から、フリーランス美容師としての働き方や収入の変化、そして将来の出店に向けたリアルな展望までを詳しく伺いました。

22年正社員サロンで培った経験を活かしてフリーランス美容師に
―これまでのご経歴を教えてください。
杉崎:美容師としてのキャリアは23年目になります。新卒で入社したサロンに22年間在籍し、正社員として働いてきました。
最初に麻布の店舗に配属された後、銀座、表参道、渋谷、二子玉川と、複数のエリアを経験してきました。アシスタント時代は師匠について店舗を移動していましたが、スタイリストになってからは銀座・表参道、二子玉川を中心に、主に2店舗に所属して活動していました。
エリアが変わるたびにお客様の層や求められる技術、接客スタイルも異なり、それぞれの経験が今の自分の土台になっていると感じています。
また、サロンワークに加え、在庫管理や受付、商品開発、PR、IT関連業務、集客、教育など、店舗運営に関わる幅広い業務にも携わってきました。
こうした経験を活かし、今年1月からフリーランス美容師としての活動をスタートしました。現在は、SALOWIN表参道Suite店と銀座RAYⅡ店の2店舗を利用しています。
―いつ頃からフリーランス美容師の働き方を意識されていましたか?
杉崎:実際に意識し始めたのは、5年ほど前からです。SNSでフリーランスとして活動している美容師の発信を目にする機会が増え、自然と情報を追うようになりました。
年齢や今後のキャリアを考えるタイミングが重なる中で、少しずつ自分も挑戦してみたい気持ちが強くなりました。そこからシェアサロンについて調べたり、実際に見学に行ったりと、少しずつ現実的に動き始めましたね。
―フリーランス美容師に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?
杉崎:一番大きなきっかけは、時間の使い方を見直したいと感じたことです。
正社員としての仕事にはやりがいがありましたが、サロンワーク以外の業務に多くの時間を取られ、閉店後に深夜までミーティングをすることもありました。「もっと自分とお客様のために時間を使いたい」と思うようになりました。
これまで会社でさまざまな経験をさせてもらったからこそ、培ってきたものをより自分の裁量で活かしたい気持ちもありました。時間やお金の使い方を自分でコントロールできる環境に身を置くことで、次のステージに進めるのではないかと考え、フリーランス美容師に挑戦することを決めました。
―フリーランス美容師になるにあたって、不安はありましたか?
杉崎:大きな不安はあまりなく、お客様がどのくらい減るのかという点くらいでした。
正社員時代に新規集客やリピーターづくりを一通り経験してきたことが、自分の中で大きな支えになっていました。ブログやホームページ、SNSなどで実際に成果を出してきた経験があったので、仮にお客様が減ってもやるべきことは分かっているという感覚がありました。
結果的に今は無理に新規集客をしなくても、顧客様を中心に安定して予約が回る状態ができています。不安はゼロではありませんでしたが、これまで準備してきた分、前向きに踏み出せたと思っています。
―数あるシェアサロンの中からSALOWINを選んでいただいた理由を教えてください。
杉崎:SALOWINに決める前に、別のシェアサロンも見学しました。条件だけを見ると魅力的でしたが、実際に足を運んでみると、どこかしっくりこないと感じることが多かったですね。
その中でSALOWINを見学したときに、空間の雰囲気やデザイン、ビルのスペックなどお客様を迎える環境がとても洗練されていると感じました。「ここなら、自分のお客様を安心してお迎えできる」と直感で思えたことが、大きな決め手でした。
シェアサロンの店舗以外に、完全個室の「SALOWIN Suite」、2〜3席の「me by,,」と、各形態を一通り見せていただきましたが、どれもコンセプトが明確で、自分の今後のステージをイメージしやすかったのも印象的です。
そうして検討を重ねていたタイミングで、表参道Suite店のオープンを知りました。予定よりは早い決断になりましたが、今行動しないと埋まってしまうと感じたので、思い切って挑戦することにしました。

働き方・収入・集客はどう変わった?フリーランス美容師のリアル
―フリーランス美容師になって、働き方に変化はありましたか?
杉崎:時間の使い方と働くペースが、大きく変わりました。
今はサロンワーク以外の業務に追われることがなくなり、お客様と向き合う時間にしっかり集中できるようになったと感じています。
また、自分がやりたいことを、より自由に形にできるようになりました。サービス内容はもちろん、取り扱う商材やお金の使い方まで、すべて自分で選択できるようになったのは大きいですね。
会社員時代は決定に関わる立場ではありましたが、取引先との関係性や全体のバランスを考える必要があり、最終的には自分の判断だけでは決められない場面も多くありました。
その点、今はすべて自分の裁量で決められるので、結果としてお客様に提供できるサービスの幅も広がっています。全体的に見ても、デメリットよりメリットの方が圧倒的に多いと感じています。
―フリーランス美容師になってから、薬剤や取り扱う商品に変化はありましたか?
杉崎:変えたものもあります。ただし、お客様に直接使うものを大きく変えてしまうと負担になるので、基本はこれまでの延長線上で、無理のない範囲で見直しています。
会社員時代からカラー剤やパーマ剤などの商品開発にも関わってきたので、今は自分が作ったものを中心に、本当に良いと感じたものだけをセレクトできています。
店販商品も増やしすぎないよう厳選しながら、最近はホームケア商品の開発にも取り組んでいます。
―営業時間はどのようにされていますか?
杉崎:基本的には、8時半から23時頃まで対応しています。お客様のご希望があれば、朝7時から施術を行うこともありますし、仕事終わりの遅い時間帯に合わせてスケジュールを組むこともあります。
定休日は特に設けておらず、曜日に関係なくご予約をお受けしています。以前はサロンの定休日に合わせる必要がありましたが、今は決まった曜日しか来られないお客様にも対応できるようになりました。
自分の都合や予約状況を見ながら無理のない範囲で調整できるので、自由度の高い働き方ができています。
―売上や収入の変化はありますか?
杉崎:正直、最初は売上が下がることも覚悟していました。会社員時代は2〜3枠を掛け持ちしていましたが、フリーランス美容師になってからは1枠でマンツーマンの対応になったからです。
ただ、一人ひとりにしっかり時間を使えるようになり、サービスの質を高められる自信があったので、メニューを見直し、単価を上げました。同時に、これまで行っていた割引もすべてやめています。
以前は平均単価が約2万円でしたが、現在は25,000〜26,000円ほどになりました。その結果、売上はほとんど変わらず、手元に残る収入は会社員時代の約3倍になっています。
―お客様は変わらず来てくださっていますか?
杉崎:前のサロンと近い場所なので、多くのお客様が変わらず来てくださっています。もちろん割引を目的に来られていたお客様は離れてしまった方もいますが、それに対して大きな不安はありませんでした。
単価を上げ、割引をやめた分、こちらの考えや提供している価値をきちんと理解してくださるお客様が来てくださるようになったと感じています。
結果的に、お客様一人ひとりとの関係性がより深くなり、施術や提案にも集中できるようになりました。敷居を上げた分、お互いにとって心地よい関係を築けていると思いますね。
―新規のお客様はいらっしゃいますか?
杉崎:フリーランス美容師になって最初の半年間は、新規のお客様の予約を完全にストップしていました。半年ほど続けてみて、ある程度お店の流れや自分のペースが見えてきたタイミングで、少しずつ新規の予約枠を解放しました。
ただ、ありがたいことに顧客様だけで運営ができているので、予約の敷居を高めに設定し、今も新規は月に数名ほどにとどめています。
以前のサロンで何度もキャンセルをくり返す方がいたこともあり、当日キャンセルや無断キャンセルを防ぐために、キャンセル料は100%いただくルールを明確にしています。事前にしっかり共有をしているので、本当に来たいと思っている方だけが予約してくださっている状況です。フリーランス美容師は無断キャンセルは痛手だと思いますので、予防線を張ることも大事だと思います。
実は、フリーランス美容師になってからはSNSでの発信もほとんど行っていません。それでも約1年、顧客様を中心に安定して続けることができています。この1年で自分なりの基準が見えてきたので、来年以降は状況を見ながら、少しずつ発信も再開していこうと思っています。
―会社員時代に集客の土台ができていたのですね。具体的にどのようなことをされていたのでしょうか?
杉崎:当時は、師匠がブログ集客で成果を出していたこともあり、ブログを軸にした集客に力を入れていました。会社のホームページを運用し、SEO集客の仕組みを学びながら、並行して自分自身のホームページも作成していました。
実際、今でも僕のホームページを見て来てくださるお客様は一定数いらっしゃいます。短期的な集客ではなく、積み上げていくことの重要性を実感しました。
また、SNSやYouTubeなどの発信も、一通り取り組んできました。すぐに結果が出るものではありませんが、ある程度コンテンツを蓄積できれば、検索したときに必ず目に触れるようになります。
その状態ができるまでの30代の頃は正直大変でした。ただ、そのときに積み上げたものが、今の集客の土台になっていると思います。

完全個室空間「SALOWIN Suite」の価値
―Suiteの個室空間について、お客様の反応はいかがですか?
杉崎:一番大きな変化は、たくさんお話しされるお客様が増えたことですね。完全個室なので、他のお客様や美容師の視線を気にすることなく、リラックスして過ごしていただけているように感じます。
以前のサロンでは、周囲に人が多かったり、逆に最後のお客様で店内に誰もいなかったりすると、気を遣われる方もいらっしゃいました。言葉にはされなくても、空気感で伝わりますよね。そうした気遣いがなくなった点も、この個室空間の良さだと思います。
また、縮毛矯正などの長時間施術では、シャンプー台への移動がないことも好評です。お客様の身体的な負担が少なく、落ち着いた状態で施術を受けていただけます。
お席にはタブレットも用意しているので、雑誌を読んだり、動画を観たりと、思い思いの時間を過ごされる方も多いですね。美容室で過ごす時間そのものの質が上がっていると感じます。
年齢やライフステージの変化とともに、「騒がしい空間よりも、静かにリラックスしたい」と考えるお客様は増えていると思います。若いスタッフがいること自体が悪いわけではありませんが、会話や気遣いに疲れてしまうという声も実際にあります。
その点、完全個室でマンツーマンの空間は、そうしたストレスが一切ありません。今の働き方と空間は、お客様にとっても自分にとっても、とても良い環境だと感じています。
―完全個室・マンツーマンという働き方は、以前から理想だったのでしょうか?
杉崎:実は、かなり前から理想としてありました。僕がアシスタント時代に見てきた美容師像は、アシスタントがいないと回らない働き方が前提でした。師匠について撮影に同行したり、赤文字系のファッション誌の現場を間近で経験したこともあります。
ただ、その一方で「自分は同じ道を歩みたいわけではない」とも感じていました。人をたくさん抱える働き方ではなく、自分一人でも完結できる美容師でいたい。お客様はお店ではなく、自分自身を指名して来てくださっているので、最後まで自分が責任を持って担当したいと思っていました。
ちょうど5年ほど前から、特化型の美容師や一人で完結できる働き方が少しずつ広がり始めて、これからは自分でやっていける時代になると実感しました。その流れの中で、今のスタイルに自然と行き着いた感覚ですね。
―逆に、デメリットに感じることはありますか?
杉崎:正直、探す方が難しいですね。(笑)強いて挙げるなら、共用部分の掃除や使い方は人によるので、そこが気になることはあります。
ただ、それもシェアサロンである以上、理解した上で利用すれば大きな問題ではないと思っています。特に表参道Suite店はオープン当初から利用させてもらっているので、最初に自分から声をかけて、みんなできれいに使おうという意識づけができました。
そのおかげもあって、今のところ大きなデメリットは感じていませんね。
―他のフリーランス美容師さんとの関係はいかがですか?
杉崎:それぞれが自分の仕事に集中していて、ほどよい距離感が保たれていると思います。挨拶や会話はしますが、無理に関係を深める必要がないのがすごく楽です。会社員のように、少し苦手な人とも関わらざるを得ないということがありません。
人によっては、もっとわちゃわちゃした雰囲気を求める方もいると思いますし、そういう方には少し寂しく感じるかもしれません。
でも、僕自身は今の距離感がちょうどよく、自分のペースで仕事ができる環境だと思っています。

今後の展望とフリーランス美容師を目指す方へのメッセージ
―今後の展望について教えてください。
杉崎:将来的には、表参道エリアでの出店を目指しています。そのために、「me by,,」や「ALL SHARE」の利用も検討しています。
いきなり出店するのはやはりハードルが高いので、フリーランス美容師として働くこと自体を、出店前のワンステップと捉えています。理想は今の延長線上で無理なく進めていくことですが、条件やタイミングが合わなければ、自分で出店することも視野に入れています。
そうした考えもあって、会社である程度経験を積んできた人ほど、シェアサロンや「Suite」のような形態を一度経験してみる価値はあると思っています。いろいろな選択肢がある今の時代だからこそ、自分に合ったサービスを活用しながら挑戦していくことが大切だと感じています。
―最後に、フリーランス美容師を目指す方や不安で一歩踏み出せない方に向けて、メッセージをお願いします。
杉崎:一度きりの人生なので、僕は絶対にトライしたほうがいいと思っています。ただ、不安があるのは当たり前なので、まずはその不安を減らすための準備を、今いる環境でしておくことが大切だと思います。
中でも一番大事なのは集客ですね。ホットペッパーでも、InstagramなどのSNSでも「これは自分の力でやった」と言える集客ルートを一つでも作っておくと、それが大きな自信になります。
そうした土台があれば、シェアサロンのような始めやすい環境にも挑戦しやすくなります。やってみないと合うかどうかは分かりませんが、やれば良くも悪くも必ず答えは出ます。
僕自身、会社員時代に在庫管理や受付、商品開発、集客、経営に近い部分まで一通り経験してきました。すべて自分で考えて動いてきたからこそ、年齢に対する不安はあまりなかったですね。
結局、不安の正体は「分からないこと」だと思います。少しでも興味を持って調べたり、手を動かしたりできる人なら、きっと大丈夫です。だからこそ、できるところからでいいので、まずは一歩踏み出してみてほしいですね。

出店を見据えた準備期間としての、フリーランス美容師という選択
杉崎さんにとってフリーランス美容師は、22年間の会社員経験を活かしながら、将来の出店に向けた土台を整えるためのワンステップです。
集客や商材選定、時間や収入のコントロールまで。これまでの経験があるからこそ、大きな不安を抱えすぎることなく、自分のペースで次のステージを見据えられています。
SALOWINにはシェアサロンに加え、小規模美容室が集まる「me by,,」や、出店を一括サポートする「ALL SHARE」など、段階的な独立を後押しするサービスも揃っています。
出店を目指すかどうかに関わらず、「今の環境から一歩踏み出したい」と感じている方は、フリーランス美容師という働き方を選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。
