まつげエクステ(マツエク)やまつ毛パーマの施術を行うアイリストにとって、同意書は単なる「確認作業」ではありません。それは、顧客の安全を確保し、同時にサロンとアイリスト自身を法的に守るための「最強の盾」です。
しかし、ネット上の古いひな形をそのまま使っていると、2026年現在の厳しいコンプライアンスや、消費者契約法の改正に対応できず、トラブル発生時に「同意書が無効」と判断されるリスクがあります。
本記事では、薬機法・PL法はもちろん、見落とされがちな消費者契約法への対応、未成年者への法的配慮、電子同意書の運用、さらにはトラブル発生時の具体的な初期対応フレーズまで徹底解説します。

1. アイリストの同意書に必須の施術リスクと説明義務の境界線
アイリストの同意書には、施術に伴うリスクを正確に顧客へ伝える項目が必須です。しかし、ただ項目を並べるだけでは不十分です。
アイリストが消費者契約法を意識すべき「免責条項」の書き方
多くのサロンの同意書で見かける「万が一トラブルが発生しても、当サロンは一切の責任を負いません」という一文。実はこれ、消費者契約法第8条により、法的には「無効」とされる可能性が極めて高いことをご存知でしょうか?
事業者が自分の過失を一切認めないような一方的な免責条項は、消費者保護の観点から認められません。
- NG例: 「いかなる場合も責任を負わない」
- OK例: 「当方の過失に起因する場合を除き、帰宅後のトラブルについては責任を負いかねます」「異常を感じた場合は直ちに専門医を受診してください。その際の治療費負担については、当方の明らかな過失が認められる場合に限り、当サロン加入の賠償責任保険の範囲内で対応いたします」
このように、責任の所在を具体化することで、逆にサロン側の誠実さと法的な防御力が高まります。
まつげエクステ同意書に明文化すべき具体的なリスク項目
同意書には、以下のリスクを「専門用語」ではなく「顧客が理解できる言葉」で記載します。
- アレルギー反応: グルー(接着剤)やセッティング剤による赤み、腫れ、かゆみ。
- 揮発成分による刺激: 施術中のしみる感覚や、涙による持続力の低下。
- 自まつ毛への影響: 周期による脱落や、無理な負担による断毛のリスク。
- パッチテストの重要性: 特に初めての方や、過去に肌トラブルがあった方へのパッチテスト推奨と、それを拒否した場合の自己責任の明記。
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2. まつげエクステ禁忌事項と未成年者対応:アイリストが法的取消権を防ぐ実務
アイリストの同意書において、施術をお断りすべき「禁忌事項」の徹底は、健康被害を未然に防ぐための生命線です。
アイリストが確認すべき「まつげエクステ施術対象外」の条件
以下の条件をチェックリスト形式で設けます。
- 目元の疾患: 結膜炎、ものもらい、逆さまつげ、眼病治療中。
- 美容整形・視力矯正: レーシック手術や目元の整形から一定期間(通常3〜6ヶ月)経過していない場合。
- 体質・体調: 重度のアレルギー体質、極度の寝不足、妊娠中(ホルモンバランスによる肌の過敏化)。
アイリストが18歳未満(未成年者)に対応する際の「親権者同意書」
2022年の成人年齢引き下げにより、18歳から単独で契約が可能になりました。しかし、高校生などの18歳未満に対しては依然として「未成年者取消権」が適用されます。
保護者の同意がない施術は、後から親によって「契約の取り消し」が行われ、代金の全額返金を求められるリスクがあります。
実務策: 18歳未満の顧客には、本人用の同意書とは別に、保護者の署名・捺印がある「親権者同意書」を事前に提出してもらうことを必須にしましょう。オンライン予約時にPDFをダウンロードさせ、当日持参させる運用がスマートです。
3. まつげエクステ写真同意・SNS掲載とアイリストによる「肖像権」管理
InstagramなどのSNS集客が主流の今、顧客のビフォーアフター写真は宝の山です。しかし、ここでもトラブルは潜んでいます。
アイリストが使用範囲を限定して取得すべき「写真同意」
「写真は宣伝に使います」という曖昧な表現は避けましょう。
- 記載例: 「撮影したお目元の写真は、当サロンの公式サイト、SNS(Instagram/TikTok)、ホットペッパービューティー、および店内サンプルに限り使用いたします。その際、お名前等の個人情報は一切公開いたしません」
このように用途を限定することで、顧客の心理的なハードルを下げ、後の「削除要請」などのトラブルを防げます。
まつげエクステ写真の肖像権とタグ付けの確認
「顔全体は出さない」「目元のみ」といった加工の有無や、アカウントのタグ付けが可能かどうかも、チェック項目として設けておくのが2026年流の細やかな配慮です。
4. 薬機法・PL法への対応:まつげエクステ薬剤でアイリストが守るべき責任
サロンで使用するグルーやまつ毛パーマ剤(セッティング剤)は、薬機法の管理下にあります。
まつげエクステ薬剤の薬機法(旧薬事法)への配慮
同意書内で「この薬剤は絶対に安全です」「アレルギーは起こりません」といった断定的な表現は、薬機法上の「不当表示」に当たる恐れがあります。あくまで「化粧品登録済みの安全な薬剤を使用しておりますが、体質により反応が出る場合があります」という、リスクと安全性のバランスを保った表現に努めましょう。
まつげエクステ施術とPL法(製造物責任法)の関係
PL法は主にメーカーに責任を問うものですが、サロンが「不適切な保管」をしていたり、「本来の用途と異なる使い方」をしていたりする場合、サロン側の責任が問われます。
同意書に「メーカー推奨の取り扱いを遵守した施術を行うこと」を明記し、万が一の製品不備の際にはメーカーと連携する旨を記載しておくと、サロン側の責任範囲を限定しやすくなります。
5. まつげエクステ電子同意書の導入とアイリストのメリット
2026年現在、iPadやタブレットを使用した電子同意書への移行が加速しています。
アイリストが知るべき「電子署名」の法的効力と利便性
電子署名法に基づき、タブレットでの署名も紙の署名と同等の法的効力を持ちます。
- メリット1(検索性): トラブル発生時、数年前の同意書を名前検索で数秒で探し出せる。
- メリット2(保管コスト): 紙のファイルを棚に並べる必要がなく、省スペースかつ紛失リスクゼロ。
- メリット3(顧客満足度): 「最新の設備が整ったサロン」というブランディングに貢献。
アイリストに推奨される電子同意書ツールと注意点
「Square予約」や「STORES予約」に付随する同意書機能、あるいは「Googleフォーム」や「Canva」で作ったQRコード経由の回答も有効です。ただし、バックアップの確保と個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の提示はセットで行いましょう。
6. 実務で使える!まつげエクステトラブル発生時の「アイリスト専用フレーズ」
どんなに完璧な同意書を作っても、トラブルをゼロにはできません。大切なのは、**「同意書を盾にしながらも、誠実に対応する」**ことです。
「目が腫れた・かゆい」と言われた時の初動
- NGフレーズ: 「同意書にサインしていただきましたよね?責任は取れません」
- 炎上の元です。絶対に避けてください。
- OKフレーズ(キラーフレーズ):
「ご不便をおかけしており大変申し訳ございません。まずは何よりもお客様の健康が第一ですので、直ちに眼科を受診いただけますでしょうか。 その際の診断結果を後ほど共有いただけますと幸いです。事前にご確認いただいた同意書に基づき、誠実に対応させていただきます。」
「まつげエクステがすぐに取れた」というクレームへの対応
- OKフレーズ:
「残念な思いをさせてしまい申し訳ございません。当サロンでは◯日以内の無料お直し期間を設けております。本日の状態を拝見し、原因(自まつ毛の状態やアフターケア等)を一緒に確認させていただけますでしょうか。」
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7. まつげエクステ同意書テンプレの編集・DL活用手順
今すぐ使えるテンプレートを作成する際は、以下の構成をWordやCanvaで作成してください。
- タイトル: 施術同意書・カウンセリングシート
- 基本情報: 氏名、住所、連絡先、緊急連絡先
- 確認項目(チェックボックス式):
- 過去のアレルギー有無(接着剤、ゴム、アルコール等)
- 妊娠、眼病、美容整形の有無
- コンタクトレンズ着用の有無
- リスク説明文: 前述の1-1、1-2の内容を簡潔に。
- 未成年確認: 年齢確認と保護者同意欄
- 写真同意: SNS掲載の可否(はい・いいえ)
- キャンセルポリシー: 当日キャンセル料等の規定
- 署名欄: 顧客署名および施術日
まとめ:まつげエクステ同意書は顧客への思いやりとアイリストの誇り
アイリストの同意書は、単に「責任を逃れるための紙」ではありません。それは、「お客様の目元の安全を誰よりも大切に考えている」というアイリストのプロ意識の表明です。
2026年、より高い倫理観と法務知識が求められる美容業界において、正しくアップデートされた同意書を運用することは、サロンのブランド価値を何倍にも高めます。
まずは、今使っているひな形を一度見直し、今日の記事で触れた「免責の書き方」や「未成年への対応」が盛り込まれているか、チェックすることから始めてみてください。
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