フリーランス美容師に憧れてはいるものの、本当に一人でやっていけるのか不安で踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、正社員経験を経て22歳でフリーランス美容師に転身した、SALOWIN渋谷SQUARE店の澤田尚人さん。売上も顧客もゼロからのスタートでしたが、フリーランス仲間や前社の師匠のサポートを受けながら地道に努力を重ね、少しずつお客様を増やしてきました。現在は得意のハイトーンカラーを武器に、月100万円前後の売上を安定して維持しています。
この記事では、独立初期の葛藤や仲間との関わり、そして技術の幅を広げてきた経験など、澤田さんのリアルな奮闘ストーリーをお届けします。
フリーランス美容師になるまでの経緯とSALOWINとの出会い
―これまでのご経歴を教えてください。
澤田:美容学校卒業後、正社員として3社経験し、22歳のときにフリーランス美容師になりました。正社員の経験が約2年、フリーランス美容師になって2年7か月ほど経つので、今ではフリーランス美容師としてのキャリアの方が長くなってきています。
―フリーランス美容師の働き方を選んだきっかけは何ですか?
澤田:実は、最初からフリーランス美容師になろうと考えていたわけではありません。以前お世話になっていた師匠が独立されるにあたり、半年ほどフリーランス美容師である師匠のアシスタントとしてSALOWIN渋谷SQUARE店でサロンワークをしていました。
その後、師匠のもとを離れることになり、ご縁があって再びSALOWINを利用することにしました。ちょうど将来について悩んでいた時期でしたが、SALOWIN渋谷SQUARE店の先輩方やサロウィン本部の方が親身に相談に乗ってくれて、もう一度ゼロからでもここで再スタートしたい!と思えたのが大きなきっかけでした。
―ゼロからのスタートだったと思いますが、フリーランス美容師になることに不安はありませんでしたか?
澤田:スタイリストデビュー前の状態で、売上もお客様もゼロの状態からのスタートだったので、正直不安だらけでした。
最初はカラー専門の美容師として町でモデルハントから始めて、少しずつお客様に来てもらえるようになりました。同時に、カットの技術をつけていくために、以前お世話になっていたサロンの代表や先輩にSALOWIN渋谷SQUARE店までカットレッスンをしに来て頂いていました。先輩方は本当に忙しい中、営業前の朝8時から週2日ほど時間を割いていただき、自分がお客様のカットができるまで育ててくれました。
実はSALOWINで売上の見込みがない中でフリーランス美容師として受け入れてもらえたことも、その先輩方がサロウィン本部へ掛け合ってくれたおかげでした。本当に感謝しかありません。正直、「なぜ僕のためにここまでしてくれるんだろう?」と思ったこともありました。
だからこそ、僕にとっての理想の美容師像はお世話になった先輩方そのものです。先輩方のように見返りを求めずに、本気で頑張りたい誰かに力を貸せる人になりたいと思っています。
―当時の売上はどのくらいでしたか?
澤田:初月の売上は、今でも忘れられないのですが、20万円を切っていました。
お客様はいませんでしたが、時間だけはあったので、毎日モデルハントをしていました。街で1日40人に声をかけても、来てくれるのは1人いるかどうか。それでもあきらめずに声をかけ続け、同時にモデルハントしていない時間はSNSでの発信をしていました。
モデルハントは普通に声をかけても断られるので、「美容師になりたてでお客様がいないので、どうか切らせてください」と赤裸々にお願いしていました。「SNSのフォローだけでもお願いします」と懇願して、後日SNSを見て連絡をくださる方もいました。SNSは最初は集客目的というより、美容師として努力している姿を見せて安心してもらうための名刺代わりに使っていました。
―モデルハントやSNS投稿など地道な活動を続け、徐々に売上を伸ばされたのですね。
澤田:そうですね。当時はInstagramとTikTokを1日3投稿くらいしていました。少しずつお客様が来てくださるようになり、そこからリピートや紹介につながりました。今もInstagramを中心に、2日に1回は投稿するようにしています。

売上100万円を達成。仲間との交流が支えるフリーランス美容師の働き方
―現在の売上はどのくらいですか?
澤田:今は安定して、月95万〜120万円ほどの売上を維持できています。顧客様とそのご紹介で約8割、残り2割ほどが新規のお客様です。
ありがたいことにSNSからも多くのお問い合わせをいただいているのですが、既存の顧客様でほとんど予約が埋まってしまうので、すべての新規予約を受けきれていないのが今の課題だなと感じています。
―大変なスタートを経て、フリーランス美容師になって良かったと感じた瞬間はありましたか?
澤田:自由度の高さはもちろんですが、一番大きいのは仲間の存在ですね。もともと僕がSALOWIN渋谷SQUARE店に戻ってきた理由も、以前一緒に働いていたフリーランス美容師仲間のあたたかさに惹かれたからです。みんな仲が良くて、男子校のような雰囲気です(笑)。
正直、最初はフリーランス美容師=すべてを一人でやっていくものなので孤独なんだと思い込んでいました。
でも実際にSALOWINでサロンワークを始めてみると、自由に働きながらも、横並びで一緒に頑張れる仲間がいる環境でした。一人でやっている感覚はなく、むしろ仲間と一緒に切磋琢磨しながら、楽しく働くことができています。
また、SALOWINには様々なサロン出身の美容師さんがいるので、使う薬剤から接客スタイル、技術まで全然違うのでとても刺激になります。普通のサロンにいたら関わることがなかったようなジャンルの美容師さんとも知り合えるので、話を聞くだけでもおもしろいですし楽しいです。会社員時代よりも人脈が広がり、視野も大きく広がったと感じています。
―スタッフさん同士ではどのような話をされますか?
澤田:本当にいろいろな話をします。もちろん仕事の話もたくさんしますが、友達のような感覚でプライベートやくだらない話も多いです。(笑)
特にシェアサロンだからこそだなと感じたことが、僕が高校時代から憧れてSNSなどで見ていた美容師の先輩と、今は同じサロンで同じフリーランス美容師として働いていて、サウナに行ったり飲みに行ったりしていることです。大先輩なのにすごくフランクに仲良くしてくださって、ふざけ合えるのがすごく嬉しいです。
憧れだった人とこのような距離で一緒に過ごせることは、不思議な感覚でもあり、大きな刺激になっています。
―フリーランス美容師になって、他に変化はありましたか?
澤田:使う薬剤が大きく変わりました。前のサロンにいたときは、そのサロンの中だけで扱える限られた薬剤や知識しか知りませんでした。しかし、フリーランス美容師になってからは、さまざまな考え方や技術を持った人たちと出会い、教えてもらったり、一緒に試したりする中で、扱う薬剤の幅が一気に広がりました。
正直、薬剤を買いすぎて材料費がかさんでしまうこともあります。(笑)
ただ、今は材料費を抑えるよりも、いろいろ試して知識や経験の幅を広げることの方が大事な時期だと思っています。すべて定価で購入していたら破産していたかもしれませんが、材料はSALOWIN価格で安くして頂けているのでとても助けられています。(笑)
使う薬剤が変われば塗り方も変わるので、技術の幅も自然と広がります。最近、前のサロンのつながりでハイトーンのセミナーの講師をしました。そのときに、前のサロンの先輩や同期から「昔と塗り方が全然違うね」と驚かれました。自分ではあまり実感がなかったのですが、この2年で大きく変化していたことを感じました。

独立出店の展望とフリーランス美容師を目指す方へのメッセージ
―今後の展望はありますか?
澤田:今、目標にしているのは、2年以内に自分のお店を出すことです。
お店を持つだけでなく、セミナー活動など外部の仕事も増やし、美容師として色々なことに挑戦していきたいと思っています。
今は目の前のお客様はもちろん大切にしながら、外部の美容師さんに向けて自分を知ってもらうために行動しているところです。知り合いを増やすことで人脈も広がり、将来的にも大きな支えになります。美容業界は人と人のつながりで成り立っている部分が大きいので、信頼関係を築くことがとても大切だと感じています。
外部のセミナー活動も独立前に経験し、自分の認知を広げていきたいなと考えています。
―最後に、フリーランス美容師を目指す方や不安で一歩踏み出せない方に向けて、メッセージをお願いします。
澤田:僕自身、フリーランス美容師になった当初はお客様もいない状態で、人見知りなところもあって不安は大きかったです。しかし同じ境遇で入ってくる仲間も多く、人間関係は思っていたよりずっとあたたかい環境です。技術を教え合ったり、高め合ったりする環境はしっかりあります。
また、SNSで毎日自分の活動を発信することはとても大事です。バズらなくてもいいので、発信を続ける習慣を持つことが、フリーランス美容師として活動を始める大きな助けになります。
極論ですが、美容師という仕事が好きで真面目に取り組む気持ちがあれば、なんとかなります。サロンでしっかり経験を積み、人間関係を築き、技術を磨いた人であれば、フリーランス美容師としての道も問題なく進んでいけると思います。
フリーランス美容師の成功への道は地道な努力の積み重ねにある
多くの顧客やSNSのフォロワーを持ち、輝かしい活躍を見せるフリーランス美容師でも、その裏側には必ず地道な努力の日々があります。
澤田さんも、売上ゼロの状態からモデルハントやSNS発信といった日々の活動を積み重ね、技術を磨く努力を惜しまず、着実に売上を伸ばしてきました。
最初は誰しも不安を感じるものですが、技術を磨いて経験を積み、仲間との信頼関係を築くことで、自由で刺激的な働き方を手に入れることが可能です。この記事が、これからフリーランス美容師を目指す方にとって、挑戦のきっかけや参考になれば幸いです。