美容室を経営している中で、「そろそろ売却を考えようかな」「でも、どれくらい時間がかかるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
また、これから独立を目指す美容師にとっても、「ゼロから開業」だけでなく「既存店舗を引き継ぐ」という選択肢が現実味を帯びてきています。事業売却や店舗譲渡は、決して“終わり”ではなく、新しいスタートの形でもあります。
本記事では、美容室を売却するまでにかかる期間を中心に、売却が成功するまでの流れ、準備、そして成功と失敗の実例を網羅的に解説します。独立を考えている方も、売却を検討している経営者も、ぜひ最後までご覧ください。
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美容室売却にかかる期間はどのくらい?
美容室を売却したいと考えたとき、一番気になるのが「どれくらいで売れるのか」という期間ではないでしょうか。実は、中小企業庁やM&Aプラットフォームのデータによると、美容室のような小規模事業の売却は平均して3ヶ月から1年ほどかかるとされています。
売却が早く進むかどうかは、いくつかのポイントに左右されます。例えば、立地が良くて顧客が安定している美容室は買い手にとって魅力的です。また、帳簿(財務状況)がしっかり整理されていれば、買い手も安心して交渉に入ることができます。
一方、売却価格が相場より高すぎたり、買い手がなかなか現れないと、交渉に時間がかかってしまうこともあります。
以下に、売却期間に影響する主な要素を表でまとめました。
美容室売却期間を左右する要因
要因 | 内容の説明 |
店舗の立地と顧客層 | 駅近や繁華街は売れやすく、固定客が多いと有利 |
財務状況の整理度合い | 売上・経費・利益などが分かりやすいと安心感がある |
売却価格の妥当性 | 高すぎると買い手がつきにくく、交渉が長引く原因に |
買い手が現れるスピード | 独立希望者やスタッフが候補だと早期成立の可能性 |
仲介業者の有無と質 | 経験豊富なM&A業者が間に入るとスムーズに進みやすい |
このように、事前準備と条件設定によって売却のスピードは大きく変わります。まずは自分のお店の「強み」と「整理状況」を確認することから始めてみましょう。
美容室売却までのステップと期間
美容室を売却するには、いくつかのステップを踏む必要があります。思い立ったらすぐに売却できるわけではなく、情報整理や買い手との交渉など、順を追って進めていくことが成功へのカギです。
ステップ①:事業の棚卸し(約1ヶ月~2ヶ月)
まずは自分の美容室がどんな状態にあるかを整理します。具体的には、強み・弱み、顧客数、リピート率、人気メニュー、従業員の雇用状況などを洗い出し、買い手が安心して判断できる材料を用意します。
ステップ②:契約・資産関係の整理(約1ヶ月~2ヶ月)
次に、賃貸契約、リース機材、在庫品、借入金の有無など、店舗に関する「財務的・法的情報」をまとめます。情報が整理されているほど、買い手との交渉がスムーズに進みます。
ステップ③:譲渡先探しと交渉(2〜6ヶ月)
M&A仲介会社や店舗売買サイトを利用して買い手を探します。条件に合う相手と出会うまでに時間がかかることもありますが、焦らずじっくり交渉しましょう。
ステップ④:契約締結と引き継ぎ(1〜2ヶ月)
条件がまとまったら契約書を交わし、業務の引き継ぎを行います。正社員スタッフをうつす場合は、別の会社の社員になるため個別に合意が必要になりますので注意。信頼関係を保ちつつ、丁寧な引き継ぎが大切です。
売却ステップと目安期間
ステップ | 内容の要点 | 目安期間 |
① 事業の棚卸し | 強み・弱み、顧客情報、スタッフの状況を整理 | 約1ヶ月~2ヶ月 |
② 契約・資産の整理 | 賃貸契約、設備、借入などをまとめる | 約1ヶ月~2ヶ月 |
③ 買い手探しと交渉 | M&A仲介・売買サイトで相手を探し、条件交渉を行う | 2〜6ヶ月 |
④ 契約・引き継ぎ | 合意書作成、顧客・従業員の引き継ぎ | 1〜2ヶ月 |
売却が長引く・失敗する美容室の共通点とは?
美容室を売却しようとしても、すぐに買い手が見つかるとは限りません。中には「1年以上売れず、最終的に廃業になった」というケースもあります。失敗や長期化の背景には、いくつかの共通した理由があります。
まず多いのが、希望価格が相場より高すぎること。オーナーにとっては思い入れのあるお店でも、買い手は冷静に数字を見ています。利益や立地に見合わない価格では敬遠されてしまいます。
また、顧客数や売上のデータが曖昧だと、買い手が判断できず、信頼を得るのが難しくなります。さらに、スタッフが退職しそうだったり、店舗が老朽化しているといった“将来のリスク”があると、交渉は難航します。
買い手が不安に思う要素をいかに減らすかが、売却成功のカギ。見せられる情報はしっかり整理して開示し、相手の視点に立った準備が大切です。
売却が失敗・長引く主な理由
理由 | なぜ問題になるか |
希望価格が相場より高すぎる | 利益や立地に見合わないと買い手に敬遠される |
顧客情報・実績が不十分 | 売上の見通しが立たず、安心して買収できない |
スタッフの離職リスクが高い | 売却後に人手不足になる可能性があり、敬遠されやすい |
店舗の立地や老朽化 | 修繕や集客のコストがかかると、買収意欲が下がる |
内装・設備が古く使いづらい | 初期投資が増えるため、条件が合わないケースが多い |
美容室売却のリアルな成功例・失敗例から学ぶ
美容室の売却は、うまくいくケースとそうでないケースに分かれます。ここでは、実際にあった2つの成功事例と1つの失敗事例を紹介し、それぞれのポイントを見ていきましょう。
成功事例①:東京都内A店(6ヶ月で売却完了)
この店舗は開業から7年経っており、顧客の約7割がリピーターという安定したサロンでした。売上も一定しており、スタッフの離職もない状態で、買い手にとって安心感のある内容でした。結果として、独立を考えていた個人の美容師が「すぐに営業できる」メリットを評価し、スムーズに譲渡が成立しました。
成功事例②:地方都市B店(4ヶ月)
こちらはオーナーが高齢となり、後継者不在で売却を決断。特筆すべきは、スタッフのひとりが店舗を引き継いだ点です。もともとの顧客や環境に慣れていたため引き継ぎもスムーズで、さらに新しいサロンとして再スタートできた好例です。
失敗事例:C店(1年以上売却できず閉店)
一方で失敗したC店は、譲渡価格が高く設定されていたうえ、直近で売上が急落していました。さらに、内装が古く修繕が必要だったため、買い手から見れば“投資リスクが高すぎる”案件となり、最終的に売却できず閉店となりました。
これらの事例からわかるのは、買い手が「安心して引き継げる」と思える環境づくりが成功への近道だということです。価格や状態に無理があると、売却は難航しやすくなります。
美容師が独立するなら“買う”という選択肢もある
独立を考える美容師の多くは、「テナントを借りて、ゼロから自分の店をつくる」イメージを持っていますが、実はもう一つの選択肢として既存店舗を引き継ぐ=売却案件を買うという方法があります。
この方法の最大のメリットは、初期費用が抑えられること。内装や設備がすでに揃っているため、新しく工事をしたり備品を揃える必要がほとんどありません。
また、すでに顧客がいることも大きな魅力です。ゼロからの開業では「お客さんが来ない…」という状態が続くこともありますが、引き継ぎであればスタート直後から安定した売上が見込めます。
さらに、地域の業者(商工会、ディーラー、広告代理店など)との関係性や、店舗名・ロゴ・ブランドイメージなどもそのまま活用できるため、地域での信頼もスムーズに引き継げます。
もちろん、前オーナー時代の課題やトラブルを受け継ぐ可能性もあるため、情報はしっかり確認したうえで判断することが大切です。
引き継ぎとゼロ開業の比較
項目 | 売却店舗引き継ぎ | ゼロからの開業 |
初期費用 | 低め(内装・設備をそのまま使用) | 高め(内装工事・備品購入が必要) |
集客開始 | 既存顧客がいるため即日可能 | すべて一から構築 |
リスク | 過去の経営課題を引き継ぐ可能性あり | 自由度は高いが、集客や運営は不確実性大 |
独立開業=「ゼロからつくる」だけではなく、「良いお店を引き継ぐ」という選択肢も、非常に現実的でリスクを抑えた方法といえます。
👉 開業資金や費用感が気になる方はこちらもチェック: 独立開業したい美容師が知るべき開業資金とその調達方法
美容室を売却した後の“お金”と“やるべきこと”
美容室を売却した資金をどう使うか、そして売却後に必要な手続きをどう進めるかで、その後の人生や事業が大きく左右されます。
まず、売却益(お店を売って得たお金)は、今後のライフプランに沿って活用することが重要です。たとえば、新しい事業への再投資、しばらく休養するための生活資金、あるいは老後に向けた資産形成など、使い道は人によってさまざまです。
ただし、売却でお金が入ったからといって終わりではありません。以下のような事後処理を忘れると、トラブルや税務リスクが発生することがあります。
- 所得税の申告と納付
売却で利益が出た場合、その利益には「譲渡所得税」がかかります。税理士に相談して正しく申告しましょう。 - 消費税や源泉徴収の清算
美容室では消費税の納税義務がある場合も多く、年度末や廃業時にまとめて処理が必要です。 - 従業員への退職金や雇用対応
売却後にスタッフが辞める場合、退職金や失業保険の手続きが必要になることもあります。 - 取引先との契約終了や変更通知
ディーラー、広告代理店、家賃契約など、契約名義の変更や終了連絡も忘れずに行いましょう。
美容室の売却に使えるサービスと専門家|ひとりで悩まないことが成功のコツ
美容室を売却するとき、「誰に相談すればいいの?」「どうやって買い手を探すの?」と悩む方は少なくありません。そんな時に頼れるのが、専門家や専用のプラットフォームです。適切なサポートを受けることで、売却の成功率は格段に上がります。
◆ 事業売買プラットフォームの活用
まず代表的なのが、**TRANBI(トランビ)やBatonz(バトンズ)**などの「事業売買マッチングサイト」です。これらのサイトは、美容室を売りたい人と買いたい人をネット上でつなぐ仕組みで、全国の案件が登録されています。無料で掲載できるプランもあるため、手軽にスタートできます。
◆ 美容業界専門のM&A仲介会社
もう一つの方法が、美容室専門のM&A仲介業者を使うこと。こちらは、美容業界の事情を理解しているスタッフが間に入り、価格交渉や契約書作成、引き継ぎまでサポートしてくれます。手数料はかかりますが、初めての方には安心です。
◆ 税理士・社労士・行政書士の活用
売却後には税金の申告、スタッフの退職処理、契約解除などが必要になるため、税理士・社労士・行政書士といった専門家の力も重要です。相談だけなら無料のケースもあるので、早めに準備しておきましょう。
一人で悩まず、プロの力を借りることが、スムーズで後悔のない売却につながります。何から始めたらいいかわからない場合は、「まずは無料相談」を利用するのがおすすめです。
美容室売却は“終わり”ではなく、“新しいスタート”の形
美容室の売却は、早くて3ヶ月、平均で6〜12ヶ月ほどかかります。
成功の鍵は、買い手が「安心して引き継げる」と感じられる準備と情報開示。感覚ではなく“数字と現実”に基づいた判断が大切です。
【売却を成功させる5つのポイント】
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また、これから独立したい美容師にとっては、「ゼロからつくる」よりも、良い店舗を引き継ぐ方が、初期費用を抑えて安定したスタートを切る現実的な選択肢です。
\行動を始めるあなたへ/
📌 まずは「自分のお店の棚卸し」から始めましょう。
📞 M&A仲介会社や事業売買サイト(TRANBI、Batonzなど)の無料相談も活用すれば、想像よりずっとスムーズに進みます。
事業を手放すことも、受け継ぐことも、あなたのキャリアにとって大切な決断です。
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