「美容室を売却したいけど、何から始めればいいのか分からない…」
そう感じている方は決して少なくありません。実際に売却を考えたとき、手続きや必要書類、契約書の作り方など、初めて聞く言葉や判断が多く、不安になるのは当然です。
美容室の売却には、いくつかの方法があります。
・事業譲渡:店舗(設備を含む)・営業権などを引き継ぐ方法
・株式譲渡:法人の株式ごと買い手に引き継ぐ方法
・営業譲渡:売上やブランドなど営業活動の一部を引き継ぐ方法
また、売却時には以下のような幅広い検討が必要です。
・いくらで売れるのか(相場の考え方)
・買い手との条件交渉
・スタッフや顧客の引き継ぎ
・契約書の作成とチェックポイント
・税金の申告と必要な手続き
本記事では、2025年版の最新情報をもとに、初めての方でもわかりやすく美容室売却の流れを解説します。
売却方法、相場の決まり方、契約書や必要書類の準備、トラブル事例と対策、さらに実際に成功したオーナーの声まで、必要な情報を網羅。
美容室売却を検討中の方はもちろん、「いつか売却するかも」と考えている方にも役立つ内容です。ぜひ最後までご覧ください。
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こんな悩みありませんか?【美容室売却検討チェックリスト】
美容室を経営していると、さまざまな悩みや課題に直面します。以下のようなことに思い当たる方は、売却を前向きに検討するタイミングかもしれません。
①店舗運営がしんどくなってきた
人手不足や体力的な負担、長時間労働で限界を感じている方も多くいます。
②後継者が見つからない
家族やスタッフの中に店舗を引き継ぐ人がいない場合、経営を続けることに不安が生じます。
③他のビジネスに集中したい
新しい事業にチャレンジしたい、別の仕事に軸を移したいという理由から売却を考える方も少なくありません。
④資産価値のあるうちに売りたい
収益が安定しているうちに売却すれば、より好条件で次の経営者に引き継げる可能性が高まります。
これらのうち1つでも当てはまるなら、いまが売却を検討する良いタイミングです。
2025年現在、美容室の事業承継・売却は以前よりも一般的になっており、M&Aを通じて新しいオーナーへ店舗を引き継ぐケースが増加しています。
「辞める」のではなく、「バトンを渡す」という考え方で、未来につながる選択肢を検討してもいいかもしれません。
美容室売却の3つの方法とメリット・デメリット
美容室を売却する方法には、主に次の3つがあります。それぞれに特徴があり、選ぶ方法によって手続きや注意点も異なります。
① 事業譲渡
店舗・設備・顧客・従業員など「営業そのもの」を引き継いでもらう方法です。
- メリット:店舗や従業員、顧客情報などを丸ごと引き継げるため、運営がスムーズに続けられる
- デメリット:物件の賃貸契約や許可証などを個別に引き継ぐ必要があり手続きがやや複雑
個人経営の美容室では、この方法が最も一般的です。
なお、従業員は別の会社の社員となるので個別の許諾は必要になります。
② 株式譲渡(法人経営の場合)
法人として経営している場合、会社の株式そのものを売却する形です。
- メリット:契約や許認可もそのまま引き継がれるため手続きが比較的シンプル
- デメリット:帳簿に載っていない借金など**“見えないリスク”**が残ることも。株主の同意が必要な場合もあります
③ 営業譲渡
「売上・屋号・ブランド」など、店舗の営業権のみを譲るケースです。
- メリット:内装などの資産を持たずに、ブランド価値や顧客層のみでの譲渡が可能
- デメリット:スタッフの継続雇用や顧客の信頼継続が難しくなるリスクがあります
それぞれの方法には向き・不向きがあります。規模や経営形態、引き継ぎたい資産の範囲によって、自分に合った売却手段を選ぶことが大切です。
👉もっと知りたい!『美容室売却を成功させる方法|完全ガイドと査定ポイント』
売却相場の実態|いくらで売れる?価格を決める5つの要素
美容室を売却する際、最も気になるのが「いくらで売れるのか?」という点です。2025年現在、美容室売却の相場は**営業利益の1〜3年分+のれん代(営業権)**が基本とされています。(※実際の評価はより多角的な視点から行われ、交渉によって最終的な価格が決定される)
のれん代とは、店舗のブランド価値や顧客との信頼関係、リピート率など目に見えない価値を指します。たとえば、同じ利益でもブランド力が高く、リピーターが多い店舗ほど高値がつきやすくなります。
では、具体的にどのような要素が価格に影響するか?
売却価格を左右する5つのポイント
①立地と地域の競争状況
駅近や住宅街の中心など、集客力の高いエリアは高く評価されます。
②客層(単価・リピート率)
リピーターが多く、1人あたりの単価が高い店舗は安定感があり、買い手にとって魅力です。
③年商・営業利益の実績
売上だけでなく、どれだけ利益を残せているかが重要な指標となります。
④スタッフの人数とスキルレベル
経験豊富なスタッフが在籍していると、引き継ぎ後の運営も安心され、価値が上がります。
⑤設備や内装の状態
新しくきれいな内装や、最新の設備がそろっていると初期投資が抑えられるため、評価が高くなります。
これらの要素を整理し、適切に伝えることが高値売却のカギです。事前に帳簿や顧客データをまとめておくと、スムーズな価格交渉にもつながります。
売却時に作成すべき契約書の中身とは?
美容室を売却する際には、契約書の作成が必須です。口約束だけで進めてしまうと、引き渡し後のトラブルや金銭トラブルが発生する可能性があります。
契約書は、売主・買主の双方が合意した条件を明文化し、法的リスクを防ぐための重要な書類です。以下の項目は必ず記載しましょう。
契約書に含めるべき主な内容
・売却対象の明細
店舗の所在地、設備、什器、顧客情報など、何を引き渡すのかを具体的に記載します。
・売却金額と支払い条件
一括か分割か、支払い期日や振込方法など、金銭のやり取りのルールを明確に。
・引き渡し時期と移行期間
営業終了日や引継ぎ期間、旧オーナーが残る期間などを設定しておくと安心です。
・従業員の雇用継続の有無
スタッフが継続して働くのか、退職となるのかを明記し、トラブル防止につなげます。
・秘密保持・競業避止条項
売却後に旧オーナーが近隣で開業しない、顧客情報を漏らさないなどの約束を明文化。
・瑕疵担保責任や契約解除条件
設備の不具合があった場合の対応や、契約を解除できる条件も忘れずに記載します。
2025年現在では、クラウドサインやGMO電子印鑑などの電子契約サービスを使うケースも増えています。紙でのやり取りが難しい場合でも、スマートに契約を進めることが可能です。
信頼できる専門家のサポートを受けながら、納得のいく契約を作成しましょう。
売却で必要な書類一覧【2025年チェックリスト付き】
美容室を売却するには、事前に用意しておくべき書類がいくつもあります。これらは、買い手との信頼構築や契約の正当性を証明するために必要不可欠です。
以下は2025年時点で、売却時によく使われる代表的な書類です。
書類名 | 用途・目的 |
賃貸借契約書 | 店舗の不動産契約内容を確認するため(家賃・更新・名義変更の条件など) |
決算書・試算表・月次推移表・固定資産台帳 | 経営状況を説明するための資料。収益性や成長性の判断材料 |
営業許可証 | 美容所営業の法的な許可証。保健所発行。営業継続の正当性を証明 |
設備明細・資産リスト | 引き渡す物品(椅子、シャンプー台、備品など)を明記し、トラブル防止に役立つ |
売買契約書(署名済み) | 売却条件・金額などを明文化した法的書類。双方の同意を証明 |
印鑑証明書・本人確認書類 | 契約当事者の確認用。法人なら代表者印・会社登記簿、個人なら運転免許証など |
税務署・保健所への届出関係書類 | 営業廃止届や事業譲渡の申請など、各種法的手続きに必要な行政書類 |
このチェックリストをもとに、早い段階から書類を揃えておくことで、交渉がスムーズに進み、売却の信頼性も高まります。
美容室売却のよくあるトラブルと失敗回避法
美容室の売却では、事前準備が不十分だと大きなトラブルに発展するケースがあります。よくある失敗例と、その防ぎ方を知っておくことで、安心して売却手続きを進めることができます。
以下の表は、実際によくあるトラブルとその回避策をまとめたものです。
よくあるトラブル | 失敗を防ぐための対策 |
売却後に設備の故障や隠れた借金が発覚 | 契約前に**デューデリジェンス(資産・債務調査)**を実施 |
賃貸物件の名義変更が大家に拒否されて売却中止 | 事前に大家へ確認・同意取得。契約書にも明記しておく |
支払いトラブル(分割での未納・遅延など) | 契約書で支払い条件と違反時の対応を明確化し、リスクを減らす |
口約束で進めて内容が曖昧なまま契約トラブルに | 弁護士・行政書士を通じて正式な契約書を作成する |
曖昧な条件での交渉で信頼関係が崩れる | M&A仲介業者の利用で客観的かつ円滑な交渉が可能に |
これらの対策をとることで、「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防ぐことができます。特に、契約書の作成は法律の専門家と一緒に進めるのが安心です。また、買い手との間に立って交渉をサポートしてくれるM&A仲介業者を活用すれば、感情的なすれ違いも避けやすくなります。
初めての売却だからこそ、「事前の確認」と「第三者のサポート」が成功のカギとなります。
売却後に必要な手続きと税務申告
美容室の売却が完了した後も、やるべき手続きがいくつかあります。契約が済んだだけで終わりではなく、税務署や保健所への届出、法人登記の整理などが必要です。これらをきちんと行わないと、後々トラブルになったり、追徴課税の対象になる可能性もあります。
以下に、売却後に必要な主な手続きをまとめました。
手続き先 | 内容・目的 |
税務署 | – 個人事業主:廃業届の提出 – 譲渡所得の確定申告が必要(利益が出た場合は課税対象) |
保健所 | 営業廃止届を提出。美容室としての許認可を正式に終了させるために必要です |
法務局(法人) | 法人が売却した場合は、会社の登記変更や抹消手続きが必要(解散・清算含む) |
売却で利益が出た場合、それは「譲渡所得」として扱われ、所得税(または法人税)の課税対象になります。控除額や経費の計上など、専門的な判断が必要になるため、税理士に早めに相談することを強くおすすめします。
また、保健所への届出を忘れると、店舗名義が残ったままになってしまい、後に行政指導を受けるリスクもあります。
売却後の手続きこそ、「しっかり締める」ことで、スムーズな新しいスタートにつながります。最終確認の意味でも、チェックリスト形式で整理しておくと安心です。
👉もっと知りたい!『美容室売却・譲渡完全ガイド|期間・事例・注意点を徹底解説』
買い手視点:引き継ぎ開業の魅力と注意点
美容室を一から開業するのは、時間もコストもかかるものです。そこで近年注目されているのが、「既存の美容室を引き継ぐ」という開業スタイルです。
これは、既存店舗を買い取ることで、設備・顧客・スタッフなどの経営資源をそのまま使える点が大きな魅力です。
ただし、引き継ぎ開業にもメリットと注意点があります。以下にまとめました。
📋 引き継ぎ開業のメリットと注意点
項目 | 内容 |
✅ メリット | – 内装・設備がすでに整っており初期投資が少ない – 既存の顧客を引き継げる可能性がある – 優秀なスタッフをそのまま雇用できることで即戦力になる |
⚠️注意点 | – 旧オーナーの評判やトラブル履歴により悪影響が出ることも – 売却理由が不透明な場合は隠れた問題がある可能性 – 物件の賃貸契約が更新できないなど大家との関係がネックになる場合も |
引き継ぎ開業は、ゼロからの開業と比べて時間やお金を大幅に節約できる利点があります。
一方で、見えにくい部分(売却理由・スタッフの本音・物件契約の条件など)にこそ慎重な確認が必要です。
買い手側としては、契約前に事業内容・財務・人間関係・大家との契約内容などをしっかりチェックし、納得した上で引き継ぐことが成功のカギです。
必要に応じて、M&A仲介会社や行政書士・税理士などの専門家のサポートを受けると安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. どの段階で仲介会社を使うべきですか?
A. はい、初期段階から相談するのがおすすめです。
買い手探しや条件交渉に不安がある場合、最初の段階からM&A仲介会社に入ってもらうと安心です。専門家が間に入ることで、トラブルを避けながらスムーズに話を進めることができます。
Q. 契約書はテンプレートで足りますか?
A. インターネットにあるテンプレートを参考にして作ることは可能です。
しかし、そのまま使うのは危険です。内容に抜けや誤解があると、後でトラブルになることも。行政書士や弁護士などの専門家にチェックしてもらうと安心です。
Q. 法人で売却する際に注意すべきことはありますか?
A. はい、いくつか大切なポイントがあります。
法人売却では「株式譲渡」がよく使われますが、会社にある資産や負債、契約内容すべてが買い手に引き継がれます。そのため、事前に税理士や弁護士と連携し、登記や税務の整理をしておく必要があります。株主が複数いる場合は、事前に株主間で売却方針を確認し、必要な同意手続き(株主総会決議など)を漏れなく進める必要があります。
まとめ|美容室売却を後悔しないために
美容室の売却は、単なる取引ではなく、「想いと価値のバトン」を渡す大きな節目です。
最後に、大切なポイントを3つだけお伝えします。
1. 売却のゴールを自分の中で明確に
「何のために売るのか?」「何を引き継ぎたいのか?」
価格だけに目を奪われず、次につながるビジョンを描きましょう。
2. 書類や契約で“見える信頼”を整える
顧客リスト、設備一覧、決算書…きちんと準備された情報は、買い手の信頼を勝ち取る最大の材料です。
3. 誰かと一緒に進める勇気を持つ
税理士、弁護士、M&A仲介——「自分だけで何とかしよう」と思わなくて大丈夫です。
プロの力を借りることは、成功への最短ルートです。
美容室の売却は、次の誰かの夢のスタートでもあります。
あなたが築いてきた空間・信頼・お客様を、そのまま未来につなげるという選択。
焦らず、迷わず、あなたの美容室にふさわしい未来を選ぶ準備を、始めましょう。
“売ること”は、あなた自身が築いた価値を「信じて託すこと」なのです。
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