美容師の働き方は、時代とともに多様化しており、固定のサロンに所属するのではなく、自分のスタイルで働ける「フリーランスの美容師」として活動する人が急増しています。自由な働き方を実現しながら、やりがいや高収入を目指せる点が、人気の理由です。
しかしながら、「フリーランスの美容師になるにはどんな準備が必要?」、「開業までの流れは?」といった疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では、フリーランスの美容師として働くための基礎知識から、実際に成功するためのポイントまでを解説します。初めての方でも理解できる様に解説していますので、ぜひご参考にしてください。
フリーランスの美容師とは?
前線で活躍して多くの収入を得ている人から、空き時間だけ仕事して家計の足しにしている人まで、フリーランスの美容師をしている理由はさまざまです。
フリーランスの美容師になるには、まずその働き方の自由度と、責任を理解することが大切です。自分で働く場所や時間を選べる一方で、集客や経営管理など、全てを自分で行う必要があります。会社に守られない分、自分の力でキャリアを築いていく意識が求められます。
組織に縛られない自由な働き方
フリーランスの美容師とは、特定の美容室に雇われるのではなく、個人事業主として独立して、自らの裁量で働く美容師を指します。特に東京や大阪などの都市部では、こちらのスタイルが急増しており、サロンと契約することなく、自分のスタイルで活動する人が増えています。
3つの主な働き方スタイル
フリーランスの美容師には、主に以下の3パターンがあります。
① 面貸しサロンでの活動
既存の美容室の一部スペースを時間単位や月単位で借り、自分の顧客にサービスを提供する形式です。
② 業務委託契約
美容室と業務委託契約を結び、そちらのサロン内で施術を行います。報酬は歩合制で、自由度はやや低めです。
③ シェアサロンでの独立
複数のフリーランス美容師が共同で使う設備・空間をシェアするサロン。独立性が高くて、コラボや情報共有もしやすいのが特徴です。
シェアサロンとは?▶️『美容師向けシェアサロン完全ガイド|メリット・デメリット・比較表付きで徹底解説!』
なぜフリーランス美容師になる人が増えている?
自分の時間を大切にしながら働きたい、子育てと両立したい、自分のブランディングを強化したいなどの様々な理由で、フリーランスになる人がいます。中には、副業的に空き時間だけ活動する人もおり、ライフスタイルに合わせた働き方を実現しています。
フリーランスの美容師のメリット
自由と可能性が広がる働き方
フリーランスの美容師になるには、まずこちらの働き方の魅力を知っておくことが重要です。主なメリットは以下の通りです。
①初期投資が少なくて済む
独立開業と言っても、面貸しやシェアサロンを利用すれば、店舗を持たなくてもOK。開業コストを大きく抑えることができます。
②収入が自分次第で増える
美容室の勤務時のような固定給ではなく、完全歩合なので、施術数や単価を上げれば収入も上昇。月収100万円以上の美容師も多く実在しています。
③スケジュールを自由に設定できる
土日休みや午前中のみの勤務など、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。また、子育てや副業との両立もしやすいです。
④施術内容・接客スタイルを自分で決められる
マンツーマンでお客様と向き合いながら、流れ作業ではなく、一人一人に合わせた施術が可能です。顧客満足度もアップします。
⑤好きな商材を選べる
薬剤や機材を自分の理想に合わせて選べるので、施術の質を追求したい美容師にとって大きなメリットです。
フリーランスの美容師のデメリット
もちろん、自由な働き方にはリスクもつきものです。フリーランスの美容師になるには、以下のような側面も理解しておくことが欠かせません。
収入が不安定である
顧客が少なければ、収入はゼロという月もありえます。また、体調を崩せば、その分収入も減少します。貯金や保険で備えることが必要です。
全てを一人でこなさなければならない
営業、集客、予約管理、経理、確定申告など、美容室では分業されていた業務すべてを、自分で対応しなければなりません。経理業務が苦手、サロンワークが忙しくて手をつけられないのであれば税理士さんに一任することも一つの手段です。
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スキルアップの機会が減る
美容室の勤務時の様に、先輩の技術を見て学ぶ場が減ります。セミナー参加やSNSでの学習など、自発的な努力が不可欠です。
特に注意すべきポイント
長期的に活動するには、技術だけでなく、経営・顧客管理・集客・確定申告といった業務をバランス良くこなす必要があります。税務処理や保険の準備など、フリーランスとしての基礎知識を学ぶ時間を、確保しておきましょう。
フリーランス美容師になるには?5つの必要な準備
フリーランスの美容師になるには、準備段階での計画性が成功のカギです。以下のステップで独立までの道を整えましょう。
① ビジネスの目標と戦略を明確にする
収益目標・客単価・施術時間・働きたい日数を設定して、月間売上の目安を決めます。
② 勤務スタイルを選ぶ
面貸し・業務委託・シェアサロンの内、自分のライフスタイルや、収益の目標に合った働き方を選びましょう。
③ 勤務先を探す
知人の紹介、Instagramなどから情報収集して、内装や立地条件、報酬制度などをチェック。実際に見学に行って、空気感を確認するのも重要です。
④ 契約と届出
勤務先との業務契約書を交わして、税務署へ開業届を提出します。なお、青色申告を希望する場合は、「青色申告承認申請書」の提出も忘れずに。
確定申告について知りたい方はこちら▶️『美容師の青色申告と会計ソフト比較|フリーランスの確定申告をやさしく解説!』
⑤ 健康保険・年金の切り替え
会社員時代の社会保険から、国民健康保険と国民年金への切り替え手続きが必要です。住民票のある自治体で、手続きを行いましょう。
フリーランスの美容師として始めるための実務の準備
①施術に必要な道具を揃える
フリーランスの美容師になるには、施術道具や薬剤の準備が欠かせません。面貸しやシェアサロンの場合、一部の備品を共有できるケースもありますが、自分専用のツールを用意しておくと安心です。
- シザー、コーム、ブラシなどの基本器具
- ドライヤー、アイロン(SALOWINの場合用意有り)
- カラー剤・パーマ剤・トリートメントなど商材
- クロス、タオル、ミラー、消毒用品(SALOWINの場合用意有り)
道具のクオリティーは、顧客満足に直結するので、信頼できるメーカーや商社からの仕入れを検討しましょう。
②予約・顧客管理システムの導入
予約ミスや情報漏れを防ぐために、予約システムを活用するのは非常に有効です。フリーランスの美容師になるには、効率的なオペレーション環境を構築することが、長期的な成功につながります。
【主なシステム機能】
- オンライン予約システム
- リマインドメール送信
- 顧客の履歴・カルテの保存
- 売上レポートの自動集計
実際のフリーランス美容師やシェアサロンの運営会社に相談し、人気のあるサービスを検討してみましょう。
③SNS・WEBサイトによるブランディング
集客にはSNSの活用が効果的です。InstagramやTikTokで投稿して、フォロワーを獲得することで、リピーターや新規顧客を呼び込めます。
また、信頼性を高めるために、自身のWEBサイトを作成するのもおすすめです。メニューや価格、自己紹介、予約フォームなどを整備することで、顧客の不安を解消しやすくなります。
フリーランスの美容師の月収と収入アップの秘訣
実際の月収はどれくらい?
フリーランスの美容師になるには、収入面の実情を把握することが重要です。顧客ゼロの場合から始めた場合、収入の幅は大きいので、次の様な目安で考えるといいでしょう。
ステージ | 売上目安 | コメント |
開業初期 | 10〜20万円 | 集客や仕組み作りに時間を要する |
安定期 | 30〜50万円 | リピーターと固定客が増え始める |
売れっ子 | 80万円〜150万円 | 高単価・高リピート層を確保できた段階 |
成功には時間がかかることもあるので、最初の1年は営業活動に注力しながら、収支のバランスを取る工夫が必要です。
収入に大きく影響する要素
①施術単価と施術数
例えば、1日4名に施術して、単価が10,000円なら、月20日稼働で売上80万円。単価を意識したメニューの設計が鍵になります。
②リピーター率
安定収入のためには、顧客の定着が不可欠です。接客の品質や、アフターフォローの工夫が差を生みます。
③スキルと経験
ハイレベルな技術を持つ美容師ほど、高価格帯のメニューを提供でき、口コミや紹介も増加します。
④集客力
SNSや口コミサイト、ブログで情報発信を継続することが、ブランドの構築につながります。
月収を安定させる具体的な戦略
- 高単価施術(髪質改善・ヘッドスパ・ブリーチカラーなど)の導入
- セットメニューや、定期メンテナンス割引の提案
- 指名制を活用した顧客管理
- リピート率の向上を狙ったLINEの配信やアフターサービス
成功するフリーランスの美容師の共通点
スキル以外に必要な「稼ぐ力」
フリーランスの美容師になるには、技術力以外にも、マーケティングや、セルフブランディングの要素が求められます。顧客が安心して任せられる存在であることが重要です。
①SNS戦略に長けている
ビジュアルやストーリーでファンを増やして、日々の活動や考え方を発信して、信頼を構築している人が多いです。
②顧客への提案力がある
施術だけでなく、自宅でのケアや、次回来店のタイミングを提案できる人は、長く顧客に選ばれます。
③学び続ける意欲がある
セミナーへの参加、最新トレンドの情報収集、新しい商材へのチャレンジなど、変化を恐れずに、学び続けているのも特徴です。
フリーランスの美容師に向いている人の特徴
次の様なタイプの人は、フリーランスの美容師として成功する可能性が高いです。
- 自己管理能力が高い
- 自分のこだわりを仕事に反映させたい
- 人とのコミュニケーションが好き
- 挑戦を楽しめるマインドがある
逆に、チームでの働き方が好きな人や、変化の多い環境が苦手な人は、独立後にストレスを感じることもあります。
フリーランスの美容師としての最新のトレンドと成功するための考え方
オンライン講座やセミナーでスキルアップ
フリーランスの美容師になるには、技術力の維持と向上が欠かせません。最近では、オンラインサロンやヘアキャンプなどオンライン上でも受講できる講座が豊富にあります。カラー技術、最新トレンドカット、ヘッドスパ技術など、独学でレベルアップできる時代です。
特に、SNSを通じて知名度のある美容師が講師になっている講座は、実践的で現場ですぐに活用できる内容が多く、費用対効果も高いのが特徴です。
海外や地方への進出という選択肢
フリーランスの美容師になるには、都市部での開業が注目されがちですが、実は地方や海外に活路を見出す美容師も増えています。
例えば、インバウンド需要のある観光地や、現地在住の日本人が多い海外都市で開業することで、高単価かつ、競合が少ない状況を活かすことができます。
「どこでも仕事ができる」というフリーランスのメリットを活かして、自分のライフスタイルに合った場所を選ぶことも、検討してみましょう。
成功するためのマインドセットとは?
自由とは、「自分で決断し、責任を持つこと」でもあります。フリーランスの美容師になるには、自分で売上を作り、顧客満足を管理して、自己成長に投資する意識が必要です。
また、失敗を恐れずに、挑戦し続ける行動力も大きな武器になります。フリーランスの美容師になるには、結果がすぐに出なくても、継続する覚悟と、自分を信じる気持ちが求められるのです。
特に以下の3点を意識すると、長期的な成功につながります。
- 変化を恐れない柔軟性:流行やトレンドに対応して、自ら学ぶ姿勢が大切である
- 時間の自己管理:自由な働き方でも「締め切り」や「予約」は厳守する
- 他者とのつながり:その他の美容師や、お客様との信頼関係を築くこと
単に独立するだけでなく、継続的に成長することが、真のフリーランス成功への道です。情報発信、学び、顧客との信頼構築、それら全てが、自分のブランドを育てていくのです。
自分らしく働く、美容師としての人生を楽しみながら、日々の努力を惜しまず歩んでいきましょう。
まとめ
ここまで、フリーランスの美容師になるには何が必要であるのか、どの様な準備が必要で、どう収入を安定させていくかを詳しく解説してきました。
自由な働き方には、自己責任が伴いますが、自分の価値観やビジョンを、仕事に反映できる素晴らしいキャリアでもあります。
「時間や場所に縛られない働き方をしたい」、「もっと自分らしく美容師として活躍したい」と考えている人にとって、フリーランスという選択は大きな可能性を秘めています。
本記事をきっかけに、あなた自身の理想の働き方を考える第一歩として役立ててください。
