美容室を開業したい!一度は考えたことがあるのではないでしょうか?美容室経営はとてもやりがいがある一方で、90%以上の経営者が何らかの不安を抱えていると言われています。美容室経営の成功確率を少しでも高めるためには、しっかりと事業の計画を立てることが必要です。この記事では、美容室の開業に向けた事業計画の作り方を解説します。
1. 事業計画の作成に必要な手順
事業計画を作成するにあたっては、以下の6つの手順で作成を進めていくと作りやすいでしょう。それぞれ、次の章以降で詳しく解説していきます。
- 事業概要
- 市場理解
- マーケティング戦略
- 人員計画
- 財務計画
- 実行計画
2. 事業概要
美容室の開業にあたって、まずは事業の概要を形にします。「ミッションとビジョン」「サービスの特徴」の2つに分けて解説します。
ミッションとビジョン
- 美容室が提供する価値や、お客様に提供したいことを明確に言語化しましょう。例えば、「髪質改善の技術を活用し癖毛で悩む全ての女性を救う」といった、実現したい世界観のイメージが湧くような言葉にするとよいでしょう。ビジョンを形にしていくコツについては、『美容師の独立で最初に考えるべきビジョンの作り方』を参考にしてください。
サービスの特徴
- 美容室として提供するサービスの特徴を決めます。例えば、オーガニック製品を使用した自然派サロンや、最新の技術とトレンドヘアスタイルを提供するサロンなど、他店と差別化するポイントを決めましょう。
3. 市場理解
次に、市場理解について説明します。美容室経営を成功させるには適切な戦略を立てる必要があり、顧客や競合をよく理解する必要があります。ここでは「市場規模と成長予測」「地域性と人口動態」の2つに分けて解説します。
市場規模と成長予測
- 出店したいエリアの人口増加や美容に費やす費用を分析し、美容室経営にどれだけのポテンシャルがあるかを検討します。例えば、新しい住宅地が開発されている地域では人口が増加していると考えることができます。人口が増えているということは、新規顧客の獲得がしやすいのではないか、という仮説を立てることができます。
- 例えば、女性に特化したサロンで、出店希望エリアが人口10万人(内、女性の割合が50%)だった場合、5万人を上限に美容室に通うことになります。
ただし、すべての女性が通う訳ではないので60%が美容室を使うとしましょう。
この場合、ターゲット人口は3万人でありエリアの平均客単価が8,000円だと2.4億円/月となります。
商圏には50店舗の美容室が存在している場合、おおよその売上は480万円程度になる。と考えていきます。
地域性と人口動態
- 開業する地域の人口構成や市場の大きさを調べましょう。地域の特性や競合他店の状況を理解することで、適切なマーケティング戦略を立てることができます。
- 顧客の年齢、性別、ライフスタイル、所得層などを調べ、どのような顧客が美容室を利用するのかを明確にします。
- 競合店の数、提供するサービス内容、価格帯、強みと弱みを分析します。競合他店との差別化を図るために、自店の強みを強調し、弱点を克服するための対策を講じます。
4. マーケティング戦略
市場理解ができたら、それに基づいて勝つためのサービス設計、またそのサービスをどのように提供することが最も効果的かを検討します。ここでは「マーケティングミックス(4P)」を解説します。
マーケティングミックス(4P)
マーケティングミックス(4P)とは、企業が市場で商品やサービスを効果的に提供し、顧客のニーズを満たすための戦略的な手段の組み合わせを指します。一般的に4Pと呼ばれる「製品(Product)」「価格(Price)」「場所(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4つの要素で構成されています。それぞれ解説していきます。
製品(Product) | 提供するサービス内容(ヘアカット、カラーリング、パーマ、ヘッドスパなど)とその品質を明確にします。どんな顧客に、どんな気持ちになって帰っていただくかを具体的にイメージし、詳細なスタイルに落としていきます。 |
価格(Price) | 価格設定戦略を決定します。例えば、高級路線、リーズナブル路線、また学割などクーポンの設定などをします。 |
場所(Place) | 駅の乗降者数、また駅からの距離、エリア内の美容室数などの立地条件、駐車場の有無などを考慮します。 |
プロモーション(Promotion) | 広告戦略、SNS活用、キャンペーン、紹介制度などのプロモーション方法を計画します。 |
マーケティングを考えるコツについては『集客で勝つためのコツとは?美容室開業時に考えるべき『ウリ』の決め方』で詳しくお伝えしていますので、ぜひ読んでみてください。
5. 人員計画
事業の目標を達成するためには必要な人材とその配置の計画、また採用や教育などの計画が必要です。
組織構造
美容室の組織図を作成し、各役職の役割と責任を明確にします。オーナー、マネージャー、スタイリスト、アシスタント、受付スタッフなどの役割を明確にします。
人材募集と育成
- スタイリスト、アシスタント、受付スタッフなど、必要な人材の募集計画を立てます。求人広告やリクルートイベントを通じて、優秀な人材を採用します。
- 新人スタッフや現役スタッフのスキルアップを図るためのトレーニングプログラムを設計します。技術トレーニング、接客トレーニング、商品知識の教育などを行います。
- 福利厚生、労働時間、キャリアパスなど、スタッフが働きやすい環境を整えます。スタッフのモチベーションを高めるために、インセンティブ制度やキャリアアップの機会を提供します。
6. 財務計画
事業としてやる以上、何にいくらの投資をして、どんな計画でキャッシュを貯め再投資していくのかといった、財務面の計画は欠かせません。以下の要素に切り分けて考えていきましょう。
初期投資の見積もり
美容室の開業にあたり、最初にかかる費用としては「物件取得費用」「内装工事費用」「設備購入費用」などがあります。順に解説していきましょう。
- 物件取得費用は、美容室の物件を借りるための費用です。敷金、礼金、仲介手数料などが含まれます。仮に30坪で坪3万円の物件に入る場合、契約ごとに異なりますが一般的に敷金6ヶ月分、礼金1ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分ほどが発生します。
- 内装工事費用は、美容室の内装を作るための費用です。デザイン費用や施工費用が含まれます。内装にこだわるのであれば坪あたり55万円程度の費用を見込む必要があり、さほどこだわらなかったとしても坪あたり40万円程度は見込んでおくべきでしょう。
- 設備購入費用はボイラー、セット椅子、シャンプー台、鏡などの設備の購入費用です。ボイラーで120万円、30坪ですとセット面が10席ほど作れるため、セット椅子と鏡を合わせて10万円程度が10席分ほどかかることになります。シャンプー台を3台設置するとして1台あたり30万円だとすると更に90万円がかかります。
物件取得費用 | 30坪×3万円×8ヶ月分=720万円 |
内装工事費用 | 30坪×55万円=1650万円 |
設備購入費用 | 120万円+10席×10万円+30万円×3台=310万円 |
合計 | 2,680万円 |
上記だけで2,680万円の初期費用が発生しその他、家具、家電や消耗品、材料(初期発注)、保険料、宣伝費用などを含めた資金が必要になります。
サロウィンのサービスであるALL SHAREをご利用いただければこれらの初期費用はゼロ、またme by,,をご利用いただければ初期費用は100万円程度で出店が可能ですので、ご興味があればそれぞれのサイトもご覧になっていただければと思います。
収支計画
- 美容室の収入と支出を月ごと、年ごとに見積もります。繁忙期や閑散期を考慮し、現実的な数字を設定しキャッシュフローを管理します。
- 重要なのはサロン経営が黒字になるために必要なポイントである、損益分岐点を把握し、キャッシュが貯まる目標を設定することです。
- 余剰資金の投資や貯蓄、法人設立後には法人税の支払いや、設立後2年経過すると消費税の支払いも発生するので、それに耐えうる計画を立てる必要があります。
7. 実行計画
タイムラインの作成
開業までのスケジュールを立て、主要なマイルストーンを設定します。準備期間、オープン日、プロモーションの開始時期などを具体的に計画します。
行動計画
各ステップの詳細な行動計画を立て、各行動に対する責任者を指定します。
- 内装工事、設備購入、スタッフ採用とトレーニング、プロモーション活動を実施します。
- オープニングイベントの計画や、特別キャンペーンを実施します。メディアやSNSを活用して、オープンを広く知らせます。
- オープン後も継続的にプロモーションを行い、顧客のフィードバックを収集してサービスを改善します。定期的なイベントや特別サービスを提供し、リピーターを増やします。
まとめ
美容室の開業には多くの準備が必要であり、90%以上の経営者が不安を抱えるのも無理はありません。しかし、しっかりとした事業計画を作成することで、その不安を軽減し、ビジネスの成功に向けた確かな一歩を踏み出すことができます。上記のステップを参考に、自分自身のビジョンに合った事業計画を作成し、夢の美容室開業を実現させましょう。