美容室を開業したい!一度は考えたことがあるのではないでしょうか?美容室経営はとてもやりがいがある一方で、90%以上の経営者が何らかの不安を抱えていると言われています。美容室経営の成功確率を少しでも高めるためには、しっかりと事業の計画を立てることが必要です。
この記事では、美容室の開業に向けた事業計画の作り方を解説します。
サロウィンではフリーランス美容師のためのシェアサロンだけでなく小規模〜大規模まで美容室経営のトータルサポートサービスを提供しております。 ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。 |
美容室開業時の事業計画の作成の手順
事業計画を作成するにあたっては、以下の6つの手順で作成を進めていくと作りやすいでしょう。それぞれ、次の章以降で詳しく解説していきます。
- 事業概要
- 市場理解
- マーケティング戦略
- 人員計画
- 財務計画
- 実行計画
美容室開業の事業計画|事業概要の作り方
美容室の開業にあたって、まずは事業の概要を形にします。「ミッションとビジョン」「サービスの特徴」の2つに分けて解説します。
ミッションとビジョン
美容室が提供する価値や、お客様に提供したいことを明確に言語化しましょう。例えば、「髪質改善の技術を活用し癖毛で悩む全ての女性を救う」といった、実現したい世界観のイメージが湧くような言葉にするとよいでしょう。
👉ビジョンを形にしていくコツについては、『美容師の独立で最初に考えるべきビジョンの作り方』を参考にしてください。
サービスの特徴
美容室として提供するサービスの特徴を決めます。例えば、オーガニック製品を使用した自然派サロンや、最新の技術とトレンドヘアスタイルを提供するサロンなど、他店と差別化するポイントを決めましょう。
美容室開業時の事業計画|市場理解の3ポイント
次に、市場理解について説明します。
近年、美容業界はコロナ禍以降の回復を経て再び成長軌道にあります。2025年時点では、メンズ美容やZ世代向けのSNS映え重視型サロンの需要が高まっており、従来の女性中心のサービスから多様化が進んでいます。さらに、AI予約システムやLINEによる顧客管理といったIT導入が中小サロンにも一般化しており、デジタル活用が集客・再来率の鍵を握っています。
美容室経営を成功させるには適切な戦略を立てる必要があり、顧客や競合をよく理解する必要があります。ここでは「市場規模と成長予測」「地域性と人口動態」の2つに分けて解説します。
市場規模と成長予測
美容業界全体の市場規模は、2024年時点で約2.4兆円に回復しており、2025年も緩やかな増加が見込まれています(出典:経済産業省・サービス産業動向調査)。
出店したいエリアの人口増加や美容に費やす費用を分析し、美容室経営にどれだけのポテンシャルがあるかを検討します。
一方で、新築マンションや再開発が進んでいる地域では、人口が増加していると考えることができます。人口が増えているということは、新規顧客の獲得がしやすいのではないか?、という仮説を立てることができます。
🔸どれくらいの売上が見込めるか?(例)
あるエリアに美容室を出すとして、こんなふうに考えてみます。
- エリアの人口:10万人
- そのうち女性は半分とすると:5万人
- さらに、美容室に通う人が60%だとすると:3万人
- 1人あたりの平均料金が:8,000円
この場合、エリア全体で1ヶ月に動くお金は:3万人 × 8,000円 = 2.4億円になります。
この地域にすでに50店舗の美容室があるとしたら、お店1つあたりの平均売上は2.4億円 ÷ 50店舗 = 約480万円/月になります。
ポイント 人口が増えている地域では、新しいお客さんが来てくれる可能性が高くなります。 出店を考えるときは、「どんな人が住んでいるか」「どれくらいお金が動いているか」「ライバル店はいくつあるか」をしっかり調べることが大切です。 |
地域性と人口動態
開業する地域の人口構成や市場の大きさを調べましょう。地域の特性や競合他店の状況を理解することで、適切なマーケティング戦略を立てることができます。
顧客の年齢、性別、ライフスタイル、所得層などを調べ、どのような顧客が美容室を利用するのかを明確にします。
競合店の数、提供するサービス内容、価格帯、強みと弱みを分析します。競合他店との差別化を図るために、自店の強みを強調し、弱点を克服するための対策を講じます。
美容室開業時の事業計画|マーケティング戦略4P解説
市場を理解したうえで、「どうすれば選ばれる美容室になるか」を考えることがマーケティング戦略の核心です。
ここでは、実際にサービスを設計し、最も効果的に提供していくためのフレームワークである「マーケティングミックス(4P)」を解説します。
マーケティングミックス(4P)とは?
マーケティングミックス(4P)とは、企業が市場で商品やサービスを効果的に提供し、顧客のニーズを満たすための戦略的な手段の組み合わせを指します。
一般的に4Pと呼ばれる
- 「製品(Product)何を」
- 「価格(Price)いくらで」
- 「場所(Place)どこで」
- 「プロモーション(Promotion)どう伝えるか」
の4つの要素で構成されています。それぞれ解説していきます。
項目(4P) | 内容の説明 | 具体的な施策例 |
① 製品 (Product) |
提供するメニューや体験の内容。誰に、どんな価値を届けるか。 | 髪質改善/白髪ぼかし/Z世代向けカラー・メンズ専門/女性専用サロン・時短カット/ヘッドスパ/個室対応など |
② 価格 (Price) |
価格帯・割引設定・お客様にとっての「コスパ」の設計 | 学割/紹介割/平日割/SNSフォロー割・高単価メニューと回数券の併用・来店頻度で単価を調整 |
③ 場所 (Place) |
サロンの立地・アクセス性・空間設計。どこでサービスを提供するか。 | 駅近/新築マンション地域/再開発エリア・駐車場あり/子連れ対応/内装に世界観・半個室や個室の導入 |
④ プロモーション (Promotion) |
集客・認知を広げる方法。どのようにお客様と出会うか、リピートにつなげるか。 | Instagramリール/TikTok投稿・LINE公式アカウントで自動予約・クーポン配信・Google口コミ返信/紹介制度など |
ポイント 4Pは「サービスの中身」と「お客様との出会い方」を整理するためのフレームワークです。2025年の美容室経営では、SNS・IT活用を軸に、ターゲットごとに戦略を最適化することが、選ばれるためのカギとなります。 |
👉マーケティング戦略について詳しく知りたい方は『美容室マーケティングのやり方|集客×リピートを増やすSEO&SNS戦略【2025年版】』をご参照ください!
美容室開業の事業計画|人員計画の立て方
事業の目標を達成するためには必要な人材とその配置の計画、また採用や教育などの計画が必要です。
組織構造
美容室の組織図を作成し、各役職の役割と責任を明確にします。オーナー、マネージャー、スタイリスト、アシスタント、受付スタッフなどの役割を明確にします。
役職名 | 主な役割・責任 |
オーナー | 経営方針の決定、ブランディング、採用戦略、財務管理、出店判断など |
店長・マネージャー | スタッフマネジメント、売上管理、SNS運用統括、教育指導、シフト管理など |
スタイリスト | 技術提供、接客対応、個人売上管理、SNSでの個人ブランディング、後輩育成 |
アシスタント | 技術補助、掃除、準備、シャンプー、スタイリストのサポート |
レセプション | 予約管理、来客対応、LINE・電話応対、SNS配信の補助(事務との兼務が多い) |
SNS担当(兼務可) | Instagram・TikTok・LINEなどの運用と分析、写真・動画制作、投稿管理 |
人材募集(採用戦略)
スタッフを採用するには、ただ求人を出すだけではなく、「どんな職場なのか」「どんな仲間と働けるのか」をしっかり伝えることが大切です。
現代、若い世代に響く採用方法は大きく変わってきています。そこで注目されているのが、SNSや動画などを活用した“見える採用”です。
ここでは、今の時代に合った**多様な採用のやり方(採用チャネル)**について紹介します。
🔸採用チャネルの多様化
- 美容系求人サイト(リジョブ、ホットペッパービューティーワークなど)
- Instagram・TikTokでの「働く様子」の発信
- LINEオープンチャットによる就活相談
- 美容学校との提携/インターン制度の導入
動画での「職場の雰囲気紹介」や「スタッフの声」が応募動機に直結
育成・教育(トレーニング計画)
美容室の成長には、スタッフ一人ひとりのスキルアップと成長支援が欠かせません。
ただ技術を教えるだけでなく、接客力やSNS活用力、将来を見据えたキャリア設計までを含めた育成が求められています。
スタッフの成長を支えるための具体的なトレーニング内容と育成の仕組みを作ることが成長に繋がります。
トレーニング内容 | 詳細 |
技術研修 | カット、カラー、パーマ、髪質改善、スタイリングなどの基礎〜応用 |
接客・マナー研修 | 敬語・接客用語、カウンセリング、クレーム対応、LINE応対 |
SNS・発信スキル | 撮影方法、画像加工、キャプションの書き方、エンゲージメント分析など |
ブランディング研修 | 自分の強みの発見、ファンづくり、指名獲得方法 |
キャリアデザイン研修 | デビューまでの目標設定、店長や独立支援などキャリアの見える化 |
※ 教育担当を置き、OJT+月1の研修会をベースに育成体制を構築するのが主流です。
労働環境とキャリア支援(美容室定着のための施策)
項目 | 内容の例・トレンド |
勤務制度 | 週休2日/有休取得推奨/時短勤務/シフトの柔軟性(子育て支援含む) |
福利厚生 | 社会保険完備/交通費支給/産休・育休制度/昼食補助/誕生日祝いなど |
キャリアパス | アシスタント→スタイリスト→副店長→店長→マネージャー/教育担当/独立支援など |
インセンティブ | 売上歩合/指名数報酬/SNS発信への報酬/MVP表彰/業績連動型ボーナスなど |
定着支援 | 月1面談、目標管理シート、社内表彰、個別キャリア相談などの「対話重視」型マネジメント |
📝 まとめ
2025年の美容室経営では、
が成功のカギとなります。 |
美容室開業時の事業計画|財務計画&収支シミュレーション
美容室を事業として成功させるためには、「何に、いくら投資するか」をしっかり考えたうえで、資金の使い方と回収計画を立てることがとても重要です。
開業に必要な初期投資の内訳と、近年注目されている初期費用を抑える選択肢について以下を参考に。
初期投資の見積もり(例:30坪の美容室を開業する場合)
費用項目 | 内容・内訳 | 金額(目安) |
物件取得費用 | 敷金(6ヶ月)+礼金(1ヶ月)+仲介手数料(1ヶ月) ※坪単価3万円×30坪×8ヶ月分 |
約 720万円 |
内装工事費用 | 内装デザイン・施工費(こだわる場合は坪あたり55万円 × 30坪) | 約 1,650万円 |
設備購入費用 | ・ボイラー:120万円 ・セット椅子+鏡:10席 × 10万円 ・シャンプー台:3台 × 30万円 |
約 310万円 |
▶ 初期費用合計
720万円+1,650万円+310万円 = 約2,680万円
その他の必要資金
上記以外にも、開業準備には以下のような費用が発生します。
- 家具・家電:待合スペースや収納など
- 消耗品・材料:カラー剤、シャンプー、タオルなど初期在庫
- 保険料:火災・賠償責任保険など
- 宣伝・広告費:チラシ・SNS広告・Web制作など
- 登記や契約に関する手数料
トータルでは3,000万円近くの準備資金が必要になるケースもあります。
👉美容室開業について詳しく知りたい方は『1人美容室の開業資金はいくら?相場・内訳・調達術【2025年版】』をチェック
初期費用を抑える選択肢:SALOWINのサービス
「開業したいけれど、まとまった初期資金の準備が難しい…」という方には、SALOWINのサポートサービスもご検討ください。
サービス名 | 内容概要 | 初期費用の目安 |
ALL SHARE | 内装・設備・契約までをシェア型で提供。 初期費用ゼロで開業が可能(場所により金額変動あり) |
初期費用:ゼロ円 |
me by,, | オリジナル店舗を少ない資金で実現できるプラン。 開業支援付きで安心してスタート可能(場所により金額変動あり) |
初期費用:約100万円 |
まとめ
美容室開業には大きな初期投資が必要ですが、計画的に資金を使い、必要に応じて支援サービスを活用することで負担を減らすことも可能です。 |
美容室開業時の事業計画|収支計画の基本
美容室経営を成功させるには、毎月・毎年の「お金の出入り」を把握し、黒字を続けていく仕組みが必要です。
特に、繁閑差・物価変動・税負担などにも対応できる柔軟な設計が求められます。
月次・年次の収支見積もり
項目 | 内容例 |
売上(収入) | カット・カラー・パーマ・指名料などの施術売上
物販売上(シャンプーなど) |
固定費(支出) | 家賃、人件費(給与+社会保険)、光熱費、リース料、広告費、保険料、通信費など |
変動費(支出) | 材料費(薬剤・カラー剤)、消耗品、カード手数料など |
その他支出 | 設備の修繕費、研修費、広告の追加出稿、予備費など |
📝 繁忙期(春・秋・年末)/閑散期(梅雨・真夏) を考慮した月別の売上予測が必要です。
損益分岐点(黒字になるライン)を知る
経営を安定させるために、「どれくらい売上があれば赤字にならないか(=損益分岐点)」を必ず計算しておきます。
例
- 毎月の固定費:100万円
- 材料費率:20%(売上のうち20%が薬剤などで消える)
→ 売上が 約125万円 を超えると黒字化
※損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
キャッシュフロー管理
- 利益が出ても、お金が手元に残らなければ経営は続けられません。
- 毎月の「現金の増減」を記録し、急な支払い(税金や修繕)にも対応できる余力を確保しておくことが重要です。
税金・資金繰りのポイント
種類 | 内容 |
法人税 | 法人化した場合、年1回の決算後に支払い。黒字額に応じて発生。 |
消費税 | 開業から2年後以降に課税対象となる(売上1,000万円超の事業者)。事前準備が必要。 |
余剰資金の使い道 | 設備更新・スタッフ育成・新店舗準備・内部留保・投資信託などの運用など、使い方を設計。 |
キャッシュの残し方 | 売上の一部を「税金用口座」などに分けて管理するのが主流。クラウド会計と連動し可視化する例も。 |
🔑 まとめ
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👉”美容室の運転資金”を詳しく知りたい方は『美容室の運転資金は固定費×3か月|資金繰り早見表&調達先5選』をチェック!
美容室開業時の事業計画|オープンまでの実行計画
タイムラインの作成
開業までのスケジュールを立て、主要なマイルストーンを設定します。準備期間、オープン日、プロモーションの開始時期などを具体的に計画します。
行動計画
各ステップの詳細な行動計画を立て、各行動に対する責任者を指定します。
内装工事、設備購入、スタッフ採用とトレーニング、プロモーション活動を実施します。
オープニングイベントの計画や、特別キャンペーンを実施します。メディアやSNSを活用して、オープンを広く知らせます。
オープン後も継続的にプロモーションを行い、顧客のフィードバックを収集してサービスを改善します。定期的なイベントや特別サービスを提供し、リピーターを増やします。
👉開業の流れを詳しく知りたい方は『【2025年完全ガイド】美容師が開業するには?費用・手続き・物件選びまで初心者向けに解説!』をオススメします!
まとめ
美容室の開業には多くの準備が必要であり、90%以上の経営者が不安を抱えるのも無理はありません。
しかし、しっかりとした事業計画を作成することで、その不安を軽減し、ビジネスの成功に向けた確かな一歩を踏み出すことができます。上記のステップを参考に、自分自身のビジョンに合った事業計画を作成し、夢の美容室開業を実現させましょう。
サロウィンではフリーランス美容師のためのシェアサロンだけでなく小規模〜大規模まで美容室経営のトータルサポートサービスを提供しております。 ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。 |