長年かけて築いてきたあなたの美容室。
「そろそろ手放すべきか」と悩んでいませんか?
「体力的に続けるのが難しくなってきた」「家庭の事情で経営を続けられない」「新しい挑戦をしたい」──そう考える理由は人それぞれです。
しかし、いざ閉店となると、これまで支えてくれたお客様やスタッフの顔が浮かび、なかなか決断できないという方も多いでしょう。
そこで検討したいのが「売却」という選択肢です。閉店せずに、あなたのお店をまるごと次の経営者に引き継ぐ方法──それがM&Aです。
本記事では、仕組みや流れ、価格相場、よくある失敗と対策、選ばれる店舗の条件までをわかりやすく解説します。 美容業界の視点と、M&Aの専門知識をあわせて、「売却してよかった」と思える判断の助けになる情報をお届けします。
サロウィンでは美容室の出店、移転、売却について全てのご相談が可能です。 ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。 |
美容室M&Aとは?
「M&A(エムアンドエー)」とは、“Mergers and Acquisitions”の略で、企業やお店を「合併・買収」することを意味します。
一見、難しそうに聞こえるかもしれませんが、近年では大企業だけでなく、個人経営の美容室でも当たり前のように行われている方法です。
たとえば、美容室のオーナーが「そろそろ引退したい」「別の仕事に専念したい」と考えたとき、店舗を閉めるのではなく、別の経営者にお店を引き継いでもらうことができます。
美容室のM&Aには、大きく以下のようなスキームがあり、年々増加傾向にあります。
- 事業譲渡(Asset Deal)
- 株式譲渡(Stock Deal)
- 合併(Merger)
- 会社分割(Corporate Split)
- 経営陣による買収(MBO/Management Buy-Out)
- 外部経営者招へい(MBI/Management Buy-In)
- フランチャイズ権の譲渡
- 資本・業務提携(JV/Joint Venture)
美容室業界のM&A動向(2025年時点)
年度 | M&A相談件数(全国) | 前年比増加率 |
2020年 | 約8,100件 | — |
2021年 | 約9,200件 | +13.6% |
2022年 | 約10,880件 | +18.2% |
2023年 | 約12,500件 | +14.9% |
2024年 | 約14,300件 | +14.4% |
※出典:中小企業庁「中小企業白書」
このように、M&Aの相談件数は年々増加しており、美容室業界でも同様の傾向が見られます。特に、経営者の高齢化や後継者不在といった課題を背景に、事業の存続や発展を目的としたM&Aが注目されています。
👉美容室の売却の基本用語については『美容室売却を成功させる方法|完全ガイドと査定ポイント』をチェック!
美容室売却と閉店、どちらを選ぶべきか?
美容室を手放すとき、多くの経営者は「売却か、閉店か」で悩みます。
どちらも正しい選択肢ですが、それぞれにメリット・デメリットがあり、向いている人が異なります。
閉店はすべてをリセットできる方法です。すぐに経営の重圧から解放され、次の人生に進みやすいという面もあります。
一方、事業譲渡し、お店の価値を引き継ぎながら、収益にもつながる方法もあります。
「どちらが正しいか」ではなく、「自分にとって納得できる選択かどうか」が大切です。
売却と閉店、あなたに合うのはどちら?
状況・考え方 | 向いている選択肢 |
スタッフや顧客を守りたい | 事業譲渡 |
お店に愛着があり、できれば続けてほしい | 事業譲渡 |
少しでも店舗の価値をお金に換えたい | 事業譲渡 |
体力的・精神的にもう完全に区切りをつけたい | 閉店 |
家族や別事業に集中したい、手続きは最小限にしたい | 閉店 |
💡 判断のヒント
|
どちらを選ぶにしても、あなたのこれまでの努力は決して無駄になりません。自分とお店にとって、いちばん納得できる形を探していきましょう。
👉M&A以外の売却方法については『美容室売却・譲渡完全ガイド|期間・事例・注意点を徹底解説』をチェック!
売却を考えるタイミングときっかけ
美容室を売却するタイミングは人によってさまざまですが、共通しているのは「今後も経営を続けるのが難しい」と感じ始めたときです。
実際に売却を選んだオーナーからは、こんな声もあります。
「経営の第一線から退くことを決めたとき、閉店ではなく“引き継ぐ”選択をしてよかった。スタッフも仕事を続けられ、常連のお客様にも感謝された。」
美容室売却を考える主なきっかけは以下の表です。
カテゴリー | 具体的な内容 |
引退・健康上の理由 | 年齢、体力低下、病気、介護など |
家庭・生活の変化 | 子育て、パートナーの転勤、親の介護など |
新たな目標 | 別事業に挑戦、他業種へ転向、留学など |
地理的な事情 | 引っ越し、地元へのUターン、移住希望など |
収益と将来性 | 利益は出ているが将来に不安、継続の意思が弱まった |
「そろそろ引退したい」「体力が続かない」「家族の介護が必要になった」などの個人的な理由。あるいは「他にやりたいことができた」「地方に引っ越すことになった」といったライフスタイルの変化。こうした出来事が、売却を真剣に考えるきっかけになります。
美容室売却のメリット・デメリットまとめ
⭕️美容室を売却するメリットとは?
美容室を売却することで、これまで築いてきた店舗の価値を“お金”に換えることができます。閉店してしまえば内装や顧客との関係、スタッフの雇用などが失われてしまいますが、売却であればそれらを引き継いでもらうことが可能です。
また、売却することでスタッフの雇用が守られたり、常連客が継続して通えるなど、お店に関わる人たちを守る選択肢にもなります。信頼やブランドを維持しながら、円満に引退できるのが大きなメリットです。
▶ 売却のメリットまとめ表
メリット項目 | 内容 |
店舗価値の現金化 | 内装・設備・顧客基盤など、事業全体の価値を売却益として受け取れる |
スタッフ・顧客の継続 | 引き継ぎにより、従業員の雇用を守り、お客様も引き続き通うことができる |
信頼・評判の維持 | 閉店による悪印象を避け、地域とのつながりを残したまま次の経営者に託せる |
❌ 美容室を売却するデメリットとは?
一方で、美容室を売却するには注意点やリスクもあります。まず、売却の話を進める中で情報が漏れてしまうと、スタッフやお客様が不安を感じて離れてしまう恐れがあります。
さらに、買い手との交渉や契約書の作成には法律や税務の知識が必要で、専門家のサポートが不可欠です。また、売却によって得た利益には「譲渡所得税」がかかるため、思わぬ納税が発生する可能性もあります。
▶ 売却のデメリットまとめ表
デメリット項目 | 内容 |
情報漏洩リスク | 売却前に従業員や顧客に知られると、退職・解約につながる恐れがある |
契約交渉の煩雑さ | 条件交渉・書面作成・法的確認など、慣れていないと進行が難しい |
納税対応(譲渡所得税) | 売却益に対して税金がかかるため、税理士との事前相談や計算が必要になる |
このように、美容室の売却には多くのメリットがありますが、進め方を誤ると損やトラブルの原因にもなり得ます。
「良い売却」にするためには、早めの準備と信頼できる専門家の協力が欠かせません。
美容室M&Aの流れ|完全10ステップ
美容室を売却するときは、思いつきでいきなり売ることはできません。スムーズに進めるには、一定の流れに沿って準備と手続きを進めることが大切です。
まず最初にやるべきは、「売却する」という自分の意思をはっきり決めること。次に、売上や経費、顧客リスト、賃貸契約などの情報を整理しておきます。これらの資料が整うと、M&Aの仲介会社やアドバイザーと相談しながら進められます。
買い手探しでは「ノンネーム資料」と呼ばれる匿名の店舗紹介資料を作り、それに興味をもった相手とは「秘密保持契約(NDA)」を結んだうえで詳しい情報を開示します。
その後、面談・条件交渉を経て「意向表明書(LOI)」が出され、問題がなければ最終契約を交わし、引き継ぎ(クロージング)へ進みます。
美容室M&Aの流れ【10ステップ】
ステップ | 内容 |
① 売却意思の決定 | 本当に売却するか、目的を明確にする |
② 情報の整理 | 財務状況・顧客情報・賃貸契約などをまとめる |
③ アドバイザー選定 | M&A仲介会社や専門家に相談する |
④ ノンネーム資料作成 | 店舗を特定されない形で買い手向けの紹介資料を作成 |
⑤ NDA締結 | 秘密保持契約を結び、詳しい店舗情報を開示できる状態にする |
⑥ 面談・交渉 | 買い手と面談し、理念や条件が合うか確認する |
⑦ LOI受領 | 買い手から「この条件で買いたい」という意向表明を受け取る |
⑧ デューデリジェンス | 財務・法務などの詳細なチェックを受ける |
⑨ 最終契約締結 | 条件を確定し、正式な契約書(SPA)を交わす |
⑩ クロージング実施 | 実際に引き渡しと代金のやりとりを行い、M&A完了 |
売却価格の決まり方と相場のリアル
美容室を売却する際、「いくらで売れるのか?」は誰もが気になるポイントですよね。
実際の売却価格はお店ごとに異なりますが、おおよその相場感はあります。
たとえば、小規模で個人経営の美容室の場合、300万円〜700万円程度が一般的。
一方、都心部で利益が出ていて、スタッフも定着しているような店舗なら、800万円以上で売れることもあります。
ただし、価格は単に“広さ”や“内装のきれいさ”だけでは決まりません。もっとも重視されるのは、「利益が出ているか」や「顧客が定着しているか」などの経営状態です。
他にも、スタッフが残るかどうか、店舗の場所や家賃、設備の状態なども大きな評価ポイントになります。これらを総合的に見て、買い手が「この価格なら買いたい」と判断するのです。
✅ 美容室売却の価格相場(目安)
店舗タイプ | 想定売却価格(目安) |
小規模・地方店舗 | 約300万~700万円 |
都心・黒字経営型店舗 | 約800万円以上 |
多店舗展開・法人運営型 | 数千万円以上も可能 |
※出典:M&A総研調査
✅ 売却価格を左右する主なポイント
評価項目 | 内容の説明 |
売上と利益 | どれくらい稼いでいるか。安定した利益があると評価が高い |
顧客数とリピート率 | リピーターの多さ、顧客との関係性が価格に影響 |
スタッフの定着率 | 継続して働くスタッフがいると、運営の安心感があり高評価 |
立地・設備・契約条件 | 駅近や人気エリア、設備の良さ、家賃や契約条件も価格に反映される |
\ポイント/
買い手は「すぐに運営できる状態」を評価します。譲渡時には“引き継ぎしやすい店舗”を意識しましょう。 |
おすすめのM&A仲介会社と選び方
美容室を売却する際、多くの方が最初に悩むのが「どこに相談すればいいの?」という点です。そこで重要なのが、**M&A仲介会社(またはM&Aプラットフォーム)**の活用です。
M&A仲介会社は、あなたのお店を売りたいという想いと、買いたいという希望を持つ相手をつなぎ、交渉から契約までをサポートしてくれる専門家です。
ただし、仲介会社ならどこでもいいわけではありません。美容室のような小規模事業の売却では、業界特化型のサポート実績があるかどうかが非常に重要です。また、料金体系にも注意が必要で、成功報酬型なのか月額固定型なのかで、コスト感が大きく異なります。
以下のチェックポイントとおすすめサービスを参考に、自分に合った仲介先を選ぶことが成功の第一歩です。
✅ M&A仲介会社を選ぶときのポイント
チェック項目 | なぜ重要? |
美容業界に強いか | 業界の事情や価値を理解している会社の方が話が早く、的確なマッチングが可能 |
成約実績・サポート体制 | 途中で放置されないよう、過去の実績や手厚い支援があるかを確認 |
契約形態(報酬タイプ) | 成功報酬型なら成約しなければ費用がかからない。月額固定型は費用負担に注意 |
無料相談の有無 | 最初は無料で相談できると安心してスタートしやすい |
✅ 美容室売却におすすめのM&A仲介サービス
サービス名 | 特徴 |
TRANBI(トランビ) | ネット完結型で匿名売却が可能。美容室の事例も多い |
Batonz(バトンズ) | 業界最大級のマッチング数。小規模店舗向けのプランも充実 |
日本M&Aセンター | 中規模~大規模案件向け。専門スタッフによるフルサポートあり |
事例:地方の美容室を移住のため売却、フリーランス継続へ
概要
地域:愛知県の住宅街にある美容室 |
オーナーの声:「売るなんて考えてもなかったんですが、移住が決まったタイミングで“閉店ではもったいない”と気づきました。結果的に、後輩の美容師が店舗を買ってくれて、私は移住先でフリーランスとして働いています。M&Aにして本当によかったです。」
\成功ポイント/
|
Q&A:よくある質問
Q1. 赤字の美容室でも売却できますか?
A. はい、赤字でも売却できる可能性は十分にあります。
売却の判断は「今黒字かどうか」だけでなく、立地の良さや店舗の内装、スタッフのスキル、そして顧客の定着率など、総合的に見て決まります。特に、買い手は「この店舗を自分が経営したら利益が出るか?」という視点で見ているため、赤字=売れないというわけではありません。将来性があると判断されれば、買い手がつくことは珍しくありません。
Q2. 売却すると税金はかかりますか?
A. はい。美容室を売却して利益が出た場合、その利益には「譲渡所得税」がかかります。
具体的には、売却金額から取得費(開業時の内装費など)や仲介手数料などの経費を差し引いた「利益部分」に対して課税されます。税額は個人か法人か、売却額の大きさによって異なるため、事前に税理士に相談しておくと安心です。うまく準備すれば、節税につながるケースもあります。
Q3. 従業員にはいつ伝えるべきですか?
A. 従業員への伝達は、売却が確定したタイミングで行うのが理想です。
買い手が決まり、雇用条件や引き継ぎ内容が明確になった段階で「安心して働ける」旨を丁寧に説明しましょう。なお、交渉中は開示が難しいため、決定後に一斉通知するのが一般的です。伝えるタイミングと説明の仕方で、スタッフの安心感は大きく変わります。
美容室売却は「次に引き継ぐ」手段
美容室を売却するという選択は、「終わり」ではなく「新しい始まり」です。
これまで築いてきたお店の価値を次に活かし、スタッフやお客様の未来も守る方法として、M&Aはますます注目されています。
この記事では以下の重要ポイントをお伝えしました:
- 売却は閉店よりも多くの価値を残せる方法である
- 準備・流れ・価格の仕組みを知れば、初心者でも安心して進められる
- 信頼できる専門家や仲介会社のサポートが成功のカギになる
「売れるかどうか」よりも、**「誰かが引き継ぎたいと思えるお店かどうか」**を考えてみてください。
少しでも「売却が選択肢かもしれない」と感じたなら、まずはM&A仲介会社へ無料相談など、小さな一歩を踏み出すことから始めましょう。
サロウィンでは美容室の出店、移転、売却について全てのご相談が可能です。 ご相談だけでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。 |